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カンクと会ってから、カンクのことばかり考えていた。
おいらはこの近くで生まれた。ママンはおいらにエサの取り方や
飛び方を教えて「強く生きるのよ」と言い残し、夕焼けの空に飛んでった。
明日には来るだろうと何日か待ったが帰ってこなかった。
そのうち、カラスはそういうもんだと知った。
母親は身の守り方やえさの場所を教えて、飛べるようになった頃、去っていくものらしい。
だけどおいらは、もしかしたらママンがおいらの成長を見に戻ってくるかもしれないと
待っていたのかもしれない。この町を見ながら、夕焼けを見るとカラスのおいらも切なくなるのさ。
この羽でどこまでも行く?どこへ行く?
自分の羽をくちばしでいじりながら考える。
それからおいらには名前がない。
他のカラスや鳥たちに聞くと、ママンがつけてくれたものもいれば、ヒトがそう呼ぶからと
いうものもいるし、恋人につけてもらったり、あるいは自称のやつもいる。
おいらはカラスと呼ばれたことしかない。
カンクは誰につけてもらったんだろう。
おいらはなんだかおいて行かれた気がして、ちじこもっていた。