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6

空中散歩をしていたら、ポツンと頭に水滴が落ちてきた。

おいらには雨が降ったときはとっておきの場所がある。

家が立ち並ぶ場所から少し飛んで山の方に前にラーメン屋だった

建物がぼろぼろのまま残っている。

車の通りも少なく、静かな場所に赤い屋根がぽつんと目立つのだ。

おいらが着地して空を見上げていると、見慣れない顔が降り立ってきた。

おいらは警戒して少し距離をとる。

「急に降ってきたなあ、 混ぜてもらってええか?」

やけに馴れ馴れしいカラスだ。おいらはここを縄張りなどと思っていないし

威嚇的な態度をとるカラスからはすぐに退散する。

「見ない顔だな」

「そりゃーそうさー。うちは南の方からずーっと北に向かって飛んできたんや」

「どっかに向かってるのか?」

「別にどこかを目指しているというわけでもないんやけどな。旅ガラスやぁ」

「旅・・・?」

「せっかく羽があってどこへでもいけるんや。あちこち行ってみようと思ってね」

バチンと衝撃を受けた。おいらにも羽はついている。

「そちらはずっとこの町にいるん?」

「あぁ。ものごころついたときはこの町にいた。」

「この町はどうや?うまいものはあるか?」

「・・そうだな。お墓の周りは甘いものがあるが縄張りが激しい。」

「あはは。お墓の周りはどの町もそうなんよ。ボスと子分で占めてるな」

「ふうん。どこもそうなのか」


それから旅ガラスは今まで食べた各地のうまいものの話や、出会った鳥たち

から聞いた情報やら、珍しいカラスの話など延々聞きなれない言葉を交え話した。

おいらには未知の世界で、少しだけ自分も旅したような気になった。

「またどこかで会ったら声かけてな。うちは旅ガラスのカンクやぁ」

雨上がりの空にカンクはバサバサと音を立てて飛んで行った。

小さくなるまでカンクの姿を見上げいたら空に虹がかかっていた。


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