海の奇跡
ある日の朝、一本の電話が…
この電話が出来事の始まりだった…
ブーブー…
『ん?』
裕也は、携帯を取り、開いた。
楓だ…
『もしもし、どうした?』
『裕也?海行こうよ。』
楓からの電話は、サーフィンの誘いだった。最近、波乗りを始めた楓。やっと立てるようになった。
この時って面白い時なんだよね。
『これから?もっと早くTELしろよな…。』
『俺は、朝が弱いんだよ!』
と、言う事で中途半端な時間に海に行く事になった。
この時間帯は人が多く、初心者の楓は危ないからポイントから離れた所で練習をさせていた。
『んじゃ、今までのおさらいね。』
基本は、パドル!結構、運動神経が良い楓は、飲み込みが早くさまになってきていた。
周りに注意しながらテイクオフ!横乗りしないように!マナーは、シッカリ教えた。
初心者は、自由がきかない為、事故がおきやすい。
そんな時だった…
『ヒャッホー♪』
楓がテイクオフしようとした時、前を横切るヤツがいた。
『うわっ!』ドバァ…
『楓!』
楓は、波に飲み込まれた!
『ぷはー。危ね〜!』
ほっ…無事だった…。
あの野郎!ふざけんなよ!絶対許さね〜からな!
今のは、かなり危なかった!ぶつかったりしたら大変な事になる!ふざけた事をした奴らにムカついていた!
『裕也?気にすんなよ…。な?俺は、全然大丈夫だからさ!』
『何もなくて良かったよ…。楽しくやろうぜ!』
少し安心した。
裕也は、気を取り直して波乗りの練習を再開した。
『そ〜!おっ!今のいい感じ……。』
海にいると時間がたつのが早かった。嫌な事も全部忘れて夢中になれる場所。
俺は、海と仲間。ただ、それだけで十分幸せだった。
夕陽が徐々に沈む頃、俺達は海からあがった。
『今日、凄く良かったじゃん?』
『何か、コツ掴んだかもしんない。』
二人で楽しく今日の事を語りながら歩いていた。その時だった…
『あれ?さっきのへたっぴ君じゃん?ははっ…。』
マナーの悪かった連中が浜辺でたむろしていた。
『裕也!無視しろ!な?』
『……。』
裕也は、“ぐっ”とこらえてその場を去ろうとした。
『おい!そこのなんちゃって!何“ガン”たれてんだ?』
裕也は、我慢の限界だった。
『楓!悪い…。』
『マジかよ…。痛いのヤダな〜…。』
楓もしぶしぶ後をついていった。
『お!きたきた。泣いて帰ればいいのによ。ははっ!』
『お前等、な〜に調子乗ってんだ!ん?』
相手は四人か…。死んだな…。楓は、覚悟を決めた…。
四人相手に勝てる訳もなくボロボロにやられた。
でも、楓の事をバカにし、海をなめてる奴等!俺は、許せなかった。負けてもいい!カッコ悪くてもいい!ただ、奴等を殴りたかった。
その時だった…
『その位で止めとけよな?お前等のやり方は汚えんだよ!』
…誰?
ショップのマスターだった。お客さんと一緒に海を見に来たらしい。
『お前等、ローカルなめんなよ?』
『い、行くぞ…。』
『次、この海で見かけたら、ご臨終だぞ?わかったな?』
四人組みは、その場から去っていった。
『いて〜。楓!大丈夫か?』
『大丈夫じゃね〜!無理だろ?あんなにいたらよ!イテテ…。』
『大丈夫?』
すっとハンカチを出してくる女性がいた。
『あ!ありがとう…。でも、大丈夫っす……!』
裕也は、断りながら、すっと相手の顔を……。
優希だった…
まるで、優希だった。
思わず楓の顔を見てしまった。
楓も、“開いた口がふさがらない”そんな顔をしていた。
マスターは、お客さんと散歩がてらにポイントを教えていた。
その中の一人。俺達と、同い年の子、安藤早苗。
俺は、思わず“優希”と言いそうになった。その位似ていた。
『裕也?お前等、少し状況考えて喧嘩しろよ。』
マスターは、少しにやけた顔で話していた。
でも、俺の耳には届くはずもなく…
優希がそこにいた…。
優希と出逢った時も怪我の時。すっと、優しく差し伸べてきた。ハンカチを…
俺は、正直迷っていた…。
優希…




