切れた何かと殺戮の幕開け
途中から鈴木裕信(主人公)から第三者視点へ変わります。
地面をたたきながら、
俺は叫び続けた。
叫んで叫んで叫び続けた。
息が切れても、血を吐いても叫んだ。
俺の叫びに勇者と魔王は青ざめている。
やがて・・・叫びが止んだ頃、山田が、
「これ、ヒロのだったの?わり。ごめーんね☆」
ブチン
俺の中で何かがはじけ飛んだ。
鈴木はゆらりと立ち上がる。
地面と服に血がついている。
鈴木は血涙を流していた。
両のこぶしは地面をたたきすぎて真っ赤に染まっている。
しかし、痛みはない。
それ以上の感情が、痛みというものを吹き飛ばしていた。
「悪かったって。元気だしなよー。ほら、今度カラオケおごるからさっ♪」
場違いに明るい声で、
山田はウインクしながらそう言った。
実は、山田は空気がまるで読めない。
高校時代からそうだった。
鈴木は山田の言葉を聞かず、
こぶしを握り、
ゆっくりと山田に近づいていく。
さすがの山田も
やばげな空気に気づいたようだ。
「お、おい。ヒロ?ど、どうしたんだよ?」
山田の腰が抜ける。
もう逃げることができない。
いや、最初から逃げることなどできないことを悟ったのだろう。
無言で目の前に立つ鈴木を
恐怖の目でみつめる。
「い、いや、暴力はよくないよ?話あいでかいけ・・・にぎゃああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
あたりに、身を切るのような叫び声が響き渡る。
鈍い音も叫びの合間に聞こえてくる。
勇者と魔王はその光景にただただ青ざめ、
ガタガタと震えることしかできなかった。




