召喚っていわゆる誘拐のひとつだと思うんだ。
「なんだ?」
急にあたりが霧に包まれたのかのように真っ白になった。
俺の部屋は普段、霧なんて発生しない。
しかも・・・この霧、けむい。
「ごほっ・・・。霧じゃなくて煙じゃねえか!!」
一瞬火事かと思ったが、それにしては煙が黒くない。
火事の場合いろんなものが燃えて煙が黒くなるはずだ。
窓を開けようと立った瞬間、
嘘のように煙がはれた。
「よっしゃああああああ!!!召喚成功だあああああああああああ!!!」
ガッツポーズで天を仰ぎながら絶叫している勇者みたいな恰好をした人と
「な、なんだと?!嘘だ。今まで失敗し続けていたのにこんなところで成功だとおおお!?」
かなり大げさなリアクションで驚いている魔王っぽい人の、
真ん中に立っていた。(距離はちょっと勇者風ひとより。)
「あ?どこだよここ。」
俺の部屋はいつから魔王城になったんだ。
しかも、場面的には勇者と魔王の最終決戦といったところだ。
「くそっ。だがしかし、俺はまだ負けたわけではない!!」
魔王っぽいひとはそういうと何やら詠唱を始めた。
「あっ。やばい。さぁ!!そこの魔王をやっつけてくれ!!」
勇者はさわやかな顔で魔王を指差し、
俺に命令してきた。
「あぁ?なんで俺がそんなことしねーといけねぇんだ。」
「なっ!?」
俺は新音楽再生機器《XP-1》を持ったままいう。
だってそうだろ?
いきなりわけわからん状態になって魔王倒せだと?
どこの中二病だ。
「そんなこと言わずにやってくれ!!今魔王を倒せるのは君しかいないんだ!!」
勇者っぽい人はぐいぐいと俺の背中を魔王の方へと押していく。
「そんなん自分でやれよ!!明らかにお前勇者の恰好してんじゃねぇか!!」
「勇者だからな!!」
「・・・(ムカッ)」
俺は嫌だと踏みとどまる。
それでも押してくる勇者。
「い・い・か・ら。倒してくれっ!!」
俺の背中を押す手が離れた。
そのことに俺は一瞬油断してしまった。
次の瞬間、
ドンッ
俺の背中が強く押された。




