理不尽な姉貴
大分前の事だ。
俺は姉貴に音楽再生機器を乗っ取られてしまった。
いつの間にか俺の大好きな曲が全部消え、
全部ロックに入れ替えられていたのだ。
俺の大好きなボカロや歌い手さんの音楽がっ・・・。
俺はもちろん姉貴に文句を言いに行ったさ。
だけど、
「あ、あんたもう使わないでしょ?私貰ったからねー。」
姉貴は俺から見ても美人で、
髪を金色に染め、
ロックをこよなく愛し、
レディース(暴走族)からひっきりなしに声のかかるほど強い。
有無を言わさぬ圧倒的な迫力に
俺は完全なる敗北を悟った。
いらないって・・・3日使わなかっただけだぜ?
3日山田ん家に泊まりに行ってて部屋に忘れただけだぜ?
しかし、後の祭りだ。
仕方なく、
俺は音楽再生機器のない生活を送っていた。
そんなときだった。
「6980円だとっ・・・!?」(←冒頭の場面)
俺はたまたまできた自由時間に
たまたまその某電化量販店に行き、
たまたま在庫一掃処分ワゴンセールを見つけたのだ。
そこにあったのは・・・。
「音楽再生機器《XP-1》・・・。しかも現品限りだとおおおおおおおお?!」
そう。
夢にまで見た音楽再生機器がそこにあったのだ。
しかも普通に買えば3万円ぐらいする《XP-1》が、6980円で。*商品名は架空のものです。
これは次世代の音楽再生機器で
32GBという膨大なメモリー容量に加え
美麗グラフィックで動画が再生可能だ。
しかも、動きはスムーズ・高品質な音質。
姉貴にとられたものは音楽しか聞けない。
これならユーチューブやニコニコ動画のあんな動画やこんな動画が
家でも外でも自由に視聴可能だろう。
これを逃したらきっと即座に売れ、
もう手に入ることはないだろう。
「・・・。」
俺は商品を手にしたまま無言で財布の中身を確認する。
7023円(電車代込)
俺は運命を感じた。
すぐさま商品をレジへと持っていく。
たとえ家までの道のりを電車に乗れず歩いて帰って行くことになったとしても、
俺は・・・心の中に春が来たような気分で
小躍りしながら新音楽再生機器のはいった包みを抱え
2時間の道のりをスキップしながら歩いて帰ったのだ。
一週間後・・・俺の心に氷河期が来るとも知らずに。




