物語の結末
・・・という夢を見たのだ。(勇者が)
勇者はすべてを唱え、鬼を送還することはかなわなかった。
「さぁ!!召喚された者よ。戻るがいい!!そ・・・」
瞬間、鬼の姿は消え、
勇者の掲げた石を勇者の手ごとガッとつかみ、
「ヒッ、むぐっ。」
空いた手で勇者の口をふさいだ。
「召喚という方法で強制的にこの世界に誘拐し、
俺の大事な音楽再生機器(XP-1)を完膚なきまでに壊し、
今度は用が終わったから帰れ・・・だと?」
今まで無言だった鬼が言葉を発した。
鬼は手に力を込めた。
あたりにみしみしと何かがきしむ音が聞こえはじめ、
片手で勇者の手ごとつかんでいた石を砕いた。
「なっ!!なんだとお!?」
勇者の口をふさいでいた手が外された。
「いいのか?!あれを砕いてしまっては君はもとの世界に帰れないんだぞ!!」
勇者は驚いている。
それはそうだ。
鈴木裕信は
自らの手で元の世界へ戻れるすべをこわしたのだから。
「それが・・・どうした。」
鈴木裕信はまだ鬼のままだった。
勇者の腰は抜け、その場にへたり込む。
「俺は・・・お前を殴れれば・・・それでいい。」
「く、くるなぁっ!!」
おびえながら後ずさるその姿は
勇者とはとても言えるものではなかった。
鬼は勇者を壁際まで追い詰める。
「いや、やめて。ごめんなさい。まじすいませんでした。だから、暴力は・・・いぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
この日、一番の鈍い音が、
永く、永く・・・響き渡ったのである。




