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仕事外の時間を過ごす。

名前も近い、見た目も近い、性格も非常に近い二人は、共に一人っ子。初めての兄弟感覚を楽しむ。

 拓也が池田運輸のバイトを始めてから約二ヶ月が経過した。

 拓也と和也は非常に親密になっていった。

 仕事の方も順調。


 今までずっと甘えてきた拓也は、このバイトを通じて、社会人としてのマナーや言葉を少しずづながらに覚えていった。


 しかしながら、和也には一つ不安があった。それは、拓也の将来のこと。世間一般からすると、13才ならまだまだこれからなんだから、別に心配する必要はない、と思われている。

 どういうわけか、和也は拓也の将来がとっても心配で心配でならなかった。


 とある日の仕事帰り、同じ帰路を二人で歩きながら、和也は前を向いたまま今一度拓也に将来の事を聞いてみた。

「なぁ拓也、前にも聞いたことだけど、将来どうする?」

「将来?」拓也は将来の事など全くもって気にならないようだった。

「そう、将来。」和也は相づちを打った。

和也の裏帽子を最近真似するようになった拓也は、お気に入りの帽子をギュッと押し込んで、答えたくないのだろうか、一息溜息をついた。

「ずっとトラック運転手の助手をやっているわけにはいかないだろ?」と、和也。そして少し間を置いてめんどうくさそうに拓也は答えた。

「僕、二十歳になったら死ぬから。」拓也は冗談交じりな声で答えた。

「はっ!? なんで二十歳になったら死ぬの?」和也は拓也の方を見て言った。拓也の顔色は、将来の事など、全く興味がないね! という感じだった。

「じゃあ、あと7年経ったら死んじゃうって事?」少し呆れた様に和也は聞いた。

「そう! あと7年経ったら死ぬの」拓也は小さくあくびをした。

「へぇーっ、じゃあその7年間はトラックの助手?」拓也は聞いた。拓也は首を縦に振った。

 拓也が全く本気にならないので、和也は諦めた。だけど、心配な気持ちは変わらなかった。

「僕はあと数年しかこの会社にいないけど、そうなったらどうする?」和也は本音を漏らし、拓也の反応を疑った。和也は自分そっくりの弟の様な拓也がとっても気に入っていた。和也に兄弟はいない。仕事中はもちろん、仕事が終わった後でも一緒に行動する拓也を和也は気に入っていた。

「うーん、このまま・・・」拓也はボソッと言った。

それを聞いた拓也はビックリした。

「ええーっ、僕いないのにどうするの?」

「・・・・・・・誰か、いるかも、相手が。」拓也は本音ではなく、一言一言を適当に選んで言ったいた。そしてそれは和也にしっかりと伝わっていた。

「まーーじーーかーーー??」プチ切れした拓也は、拓也にいつものコチョコチョを思いっきりやった!

「アハハッハハッ」和也は爆笑した。コチョコチョで喜ぶところがやっぱり子供らしかった。

「俺たちずっと一緒やぜーーー」和也は更なる連続コンビネーション技を抵抗する拓也に向かって繰り出した。

「うわああーーーーっ、もちろん一緒ですよ!!! ギャーーーーッ」まんべんな笑顔で拓也はそう言った。


 それが聞きたかった


「ハアッ、  ハアッ、  ハアッ、」和也の攻撃が止んでしばらく、拓也は笑いを止めるのに苦労した。

 拓也への攻撃を止め、ふと和也が明るく輝く夕日から届く日の光が温かいことに気が付き、拓也の腕を掴むと、歩行を止めた。二人で眠くなるような暖かさの夕日を眺めた。


 その後、和也は昨年位からによく足を運んだアメリカンチックの店に拓也を連れて行った。

 "GBカフェ"というお店の入り口はまるで西部劇に出てくる酒屋のスイングドアの様で、中は非常に位く、重低音の効いたロック調の音楽が鳴り響いていた、その為、非常に孤立感が出て良い。

 和也が慣れたようにドアを開けて入ると、和也は初めてで緊張しているのか、何も言わずにグジグジしていた。

「どうしたんだ?」和也は同じ背丈の拓也の背後に回ると、背中を両手で押して入れようとした。拓也は生意気にも背中を後ろに倒すようにして拒んだ。

「だって、なんだか怖いよ・・・」拓也のテンションは下がり調子。

「もう、大丈夫だって! よいしょっ!!」和也はそう言うと、和也を無理矢理押して店内に入った。そして三段ある木の階段を下りると、テーブル席が綺麗に並んでいた。店内には今風の若者や大学生達が大勢いた。

 二人用のテーブル席に座ると、和也はメニューを拓也に見せた。

「拓也と食事するの初めてだけど、どんなのを選ぶの?」和也はメニューと緊張している拓也の顔色とを交互に目線をやった。

「うーーん・・・・」和也は難しそうに悩んでいたが、それは遠慮しているようにもみえた。

「僕だったら・・・、コレと、これかな。」拓也はさらりと言った。すると、

「僕も同じのでいいや!」と拓也は即決!

「えええっ、真似するなよー」和也は笑った。すると和也は白い歯をスッと見せて、

「本当にこれでいいよ。」和也の選んだメニューが拓也のお気に入りでもあったのか、緊張していた拓也は急に嬉しそうな顔になった。


 しばらくして・・・


日本人?と疑いたくなるようなラフな服装の店員さんが持ってきた品を見て、拓也はビックリ!!

 超大盛り!!

「ええええーーーー!?」拓也は驚きの声を上げた。和也は、見たか!と言わんばかりの笑顔だった。

「こちら、お飲物になります。」先ほどの店員さんと似たような服装をした女性の店員さんが持ってきたドリンクの大きさにもビックリだった。

「うわぁっ、先輩、どうなっているんですかこれ?」拓也は目を大きく開いてマジマジと見ながら言った。そうここの料理は量が多い、といってもアメリカの食事量が基準になっているので、量は半端じゃない。和也が注文したチキンライスは通常の3倍もの量があった。普通の家庭で育った拓也にとっては今までに見たこともない量の食事だった。

「おいしいよ!」慣れた手つきで通常の二倍の大きさが2倍はああるジュースを和也は一口飲んだ。

「僕、こんなに食べられるかなぁ・・・」和也は笑いながらも少し困った様子。

「13才は育ち盛りだろ! 全部食べるんだ!」和也は催促した。

「・・・」拓也は特に気にしていなかったので、

「僕みたいにチビになりたくないだろ!?」

「フフッ、うん・・・」和也の質問に少し笑った拓也は、通常よりも大きなスプーンで和也オススメの美味しい食事を食べ始めた。

 出てきた料理は、大きなチキンライスに、巨大シーザーサラダ、どちらも大きなお皿を使っていた。そして、通常の二倍はあるコカ・コーラ。お値段的には非常にお買い得で、通常のファミレスよりも200円程安かった。


 食事も中盤の頃、和也はこう切り出した。

「なぁ拓也、さっきの事、まだ聞いても良いか?」

「!?・・」拓也は食べながら和也と目を合わせた。そして和也と目があった瞬間、拓也は"また将来のことか・・"と悟り、少し間を置いて首を縦に振った。


 一生懸命食事と格闘する拓也に、和也は気に掛かっていた将来の事を真剣な口調で聞いた。

「なぁ拓也、拓也のパパは何て言っているんだ?」

「・・・さぁ」拓也はそっけなく答えた。

「さぁって、拓也は好きにしていいってことか?」

「うん、そうだ。」拓也はそう答えたが、和也はそんなことはないと思っていた。父親はいつになっても息子の事が心配なんだそうだ。和也には子供がいないけれど、18才になり、少しだけど、父親の気持ちが分かるようになっていた。


「そんなことないだろ? パパとかママとか、拓也の将来の事心配してるだろ?」和也は更に聞いた。

「ううん、本当に、何も言われていない。」和也は食べながら答えた。

そんな親がいるのかな、と和也は疑問に思った。拓也は高校卒業して直ぐに、大学にも行かずこの運送会社で働いていた。勉強は出来る方ではなかったので、普通の会社で勤務することは諦め、肉体系の会社で働くことにした。そして誰でも出来る仕事として、現在の会社を親に勧められた。どんな職業で働くか、どんな会社で働くかは、特に言われることはなかったが、キチンとした形で就職するのが大切だと親に教えられてきた。だからだろうか、和也は拓也が学校に行っていないことや、就職に関して無関心な事が非常に気になっていた。

「今働いているのは親の薦めでしょ?」和也はジュースを手に取り、拓也に問いかけた。拓也は頷いた。

「だろーーー!?」和也が急に大きな声を出すので、拓也はビックリして口から物が出そうになり、賢明にそれを堪えた。

「じゃあ、今の仕事をすることに関して以外は、何も言ってないんだな?」

「うん」と、拓也。

 和也の疑問が一つ晴れた。


役員会議が終了した所で、二人の食事は終わった。

「じゃあ行きますか!」と和也が切り出すと、拓也は席を立った。

 するとなぜだろうか、椅子に座ったままの和也が突然笑い出した。

「あれっ!?」拓也はとっさに周囲を見渡したが特に変わったことは無かった。特にあるとすれば、レシートの入った受け皿を持った店員がこちらの席にやってきた事だっただけ。和也に手をグイッと引っ張られると、

「おわっと!!」拓也はストンを腰を下ろした。

「いつもありがとうございます。」店員さんは和也達のテーブルの前に膝を付くと、明細を和也に見せた。何度も足を運んでいるため、この店員さんとは顔見知りだった。「!? 双子ですか?」拓也を見た店員さんは少し驚いた様子で、和也に聞いた。

「ううん、ちょっと違うけど、まぁそんな所かな・・・ヘヘッ」和也は嬉しそうに返答した。 

 和也は椅子に座ったまま店員さんが両手で持っている受け皿にお金を乗せると、スッと立ち上がり席を後にした。

「拓也、行こうぜ。」

「うん!」拓也は少し驚き交えた声で返事した。

「ありがとうございます、また来て下さい!」アメリカンチックなラフな服装の店員さんはそう挨拶した。

 外食経験の少ない拓也にとって、今日は、今回の店は非常に刺激的だった。こんなみせもあるのかー、と、拓也は呆然としていた。

 

 帰り道を二人で歩いていると、拓也が聞いてきた。

「先輩って兄弟はいますか?」

「兄弟!? いません、ずっと一人!」和也は少し寂しそうな返事をした。

「僕も一人なんですよ。」拓也もそう言った。

「へぇ、一人で寂しいか?」和也は一人兄弟の寂しさを知っていたので、きっと和也も同じだろうと思いそう聞いた。しかし

「全然、平気」と、拓也からは意外な言葉が返ってきた。

 

 僕とは違うのか・・・


一人でいて寂しくない、そんな考えでいる拓也が、独りぼっちで密かに寂しい思いをしていた和也には理解できなかった。

 暗くなった夜道に、夜店の明かりが灯る中、和也と拓也は地面を確かめながら歩いていた。暗くなってしまっては、もうどちらが和也なのか拓也なのかが区別出来なかった。

 二人とすれ違う人達のごく数人は、双子が珍しいのか、すれ違った後、ちらっと二人の方を向いたりした。

「拓也、どうして一人で寂しくないんだ?僕には理解出来ないんだけどな・・・」和也は首をかしげた。拓也は地面に目線を当てながら、次に足を置く場所を確かめながら前に進んでいた。

「だって・・・」拓也は言葉をそこで止めた。

「だって?」気になった和也は拓也の目を見て聞いた。すると、恥ずかしがりながら、小声で拓也はこう言った、

「・・・先輩がいるじゃないですか・・・」


「おおっ、もう一回言ってみな!!」嬉しい一言を聞いた和也はスッと拓也の背後に回り、コチョコチョ臨戦態勢に入った。

「アハハッ、もう言えませんよ!」笑うと隠していた真っ白な歯を出し拓也はそう言うと和也は思いっきりコチョコチョ攻撃をぶちかました。

「うわあああっーーー」拓也が満遍な笑顔で大笑いした!

「ハハッ、もう一度言うまでノンストップやぞ!!」拓也は更に攻撃力をアップさせ、二度と言ってもらえないと知りながらも、拓也をコテンパンにした!


 お互いに、独りぼっちだということを知った一日となった。

<<これは、実際に起こった実話を、そのまま物語にしたものです。物語の中には、前世や過去世催眠という言葉が出てきますが、こちらも本当の事実です。実際に起きた事実の断片を一つの物語にしました、事実95%間接材5%です。>>


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