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兄弟の様な上司と部下

引きこもり中学生拓也、数也の気遣いのお陰で楽しく仕事をこなす。上司と部下ながら、兄弟の様に仲が良くなっていく。

 数也の仕事は、小物郵便を配達すること。配達区域は狭いが、オフィスが多く、トラックは道路に停車するしかなかった。駐車スペースを探していたらとても時間内には間に合わない量の荷物があった、

 拓也の役目は、数也が荷物を建物の中に運んで納品書にハンコをもらうまでの間、トラックが駐車禁止処分にならないために、トラックの助手席にて待機すること。そしてもう一つが、以外と頭を使う作業で、大まかな住所まで数也が向かい、そこからは拓也の仕事。拓也はどこで交差点を曲がって、目的の建物がどこにあるのかを言葉で正確に数也に伝えること。


 「ええっっと・・・久保町二丁目の1の399は、と・・・」和也と拓也ペアでの仕事が始まって一週間、拓也は配達先リストの住所を見て、地図を不器用にパラパラと調べていた。

 「あった、この大きな交差点がT字路になっている場所の向かいの建物か!?」拓也は地図上に次の目的の建物を見つけると、その場所を一回で和也に伝えられるように、頭の中でしっかりと日本語の文章を作るようにしていた。そうこうしてる内に、トラックが停車している場所の横にあるお店から、青いジャンパーを着た和也がドア付近で今一度お店の中に向かって頭を早々と下げると、直ぐにトラックまで走ってきた。

 「次の目的地は、久保町か。」和也は配達先リストを見て言った。「道は分かった?」和也はいそいでハンドブレーキを解除し、テキパキとハンドルを握りトラックを発進させた。

 「うん、このまま信号を曲がらずに進むと、ええと、壁になっていて、その交差点の右下にある大きな建物。」と、和也はおかしな日本語で一生懸命答えた。

 「へぇー、道路に壁があるんだーーー」拓也のおかしな回答は、和也にとっては楽しい一時を与えてくれる。

 「あーーっ、壁じゃなくてT字路です。」拓也は少し笑った後、こう付け足した。

 

 座っているだけなんてウソじゃないだろうか・・・  拓也は父親の言った言葉を疑った。


 ただ座っているだけだって言ったのは誰・・・   考えることの苦手な拓也は更に疑った。

 考えている内に、拓也が言った"壁"に近づいてきた。

 「拓也、この建物でいい?」和也は質問した。

 「うん」ハッと拓也は我に返ると、そう答えた。

 「うん、うん、うん!!分かった!!」和也は拓也の顔を見て面白おかしく首を振った。

 「ハハハッ!!」拓也は笑った。

 からかわれているみたいだけど、不器用な自分が確実に役に立っている、拓也にはそう思えた。

 「ふう、今日は配達が速く終わりそうだから、終わったら飲みに行こうよ、なっ、拓也!!」和也は拓也の方をポンと叩くと、和也は超真面目な顔で困った表情をした、"未成年なのに・・・"という表情をした。

 「あれっ、アルコール飲みたいの?」まさか本気で飲む気なのかな?という表情で和也は問いかけた。

 「ううん」拓也は真面目な表情を崩して、首を横に振った。

 「俺も18才です!! 残念ですね、」

 「じゅうはち!??」拓也は和也の顔をチラッと見て、年取ったな~という表情をした。それを和也は見逃さなかった。

 「もう18、一応まだ子供の部類に入るけどな!!」和也は答えた。

 「僕13才・・・」拓也はボソッと呟くと、「おぃ! お子ちゃまやぜ!!」と和也に言い換えされた。拓也が少し勝ち誇った顔をしたので、和也は拓也の頬を意地悪につまんだ。拓也は笑った。

 拓也は学校に行っても友達がいなかったので、誰かと話して笑ったのが久しぶりで、とても嬉しかった

 仕事は辛くて大変なものだという印象が少しあり、またそれが子供の自分にこなせるかどうか不安だったけど、なんとかうまくいっている自分が嬉しかった。


 以来、学校に行かない拓也は、この運送会社にてなんとか仕事をこなし続けた。

 

 拓也&和也コンビは抜群に効率が良く、素早く仕事をこなすようになった。


 一ヶ月が経過し、この日仕事が終わり二人の乗ったトラックは池田運送に到着し、二人はトラックを降りると、着替えるために事務所に向かった。

 「・・・ええと、バイトはオレンジのジャンパー・・・・と・・・」池田運輸の社長が二人に近づいてくると、拓也を呼び止めた。それに気が付かない拓也の背中を和也は親切にポンッと叩いた。ハッと状況を理解した拓也は、

 「ああっ、お疲れ様でした!!」と不器用に挨拶し頭を下げた。その時拓也の目には、青い明細を持っている社長の手が目に入った。

 「うむっ、お仕事ご苦労!これが今月分だ。ちょっとガッカリするかもしれないがな、仕事っぷりが良いことは和也からも聞いているから、これから上がることを期待して頑張ってくれ。」そう言うと、社長は両手で拓也初となる給料明細を拓也に差し出した。"もらっていいのかな・・・"という感じで遠慮していた拓也の背中を、和也は少しニヤニヤした顔を俯いて隠しながら、拓也の背中をもう一度ポンッと叩いた。

 背中を押された和也は、右手でそれを受け取ろうとしたので、左手を和也に捕まれ、両手でそれを受け取った。

 「あっ、ありがとうございました。」小学校の卒業賞状を受け取るような感じでお礼を言った。社長も久々に楽しんだのか、嬉しそうな表情をしていた。

 「いやーっ、若のう!! まだまだ学ぶことが沢山あるようだな!!では」社長はニコニコしながらそう言い、拓也の頭をグシャグシャしてその場を去っていった。

 「先輩、お先です。」青ジャンパーの和也は、生まれ初めてもらった給料明細を物珍しそうに眺める拓也の腕を掴み、半ば無理矢理その場を後にした。

 「ああっ、お先でーす」拓也も不器用に挨拶した。

 

 「カワイイもんやね、あの二人。」大桑さんが呟いた。

 「5才も離れているように見えないわ!」仕事が終わって帰りかけていた女性パートさんがクスクス笑いながら言った。


帰り道、しばらくの間一緒に帰路を歩いていた二人、和也は拓也の方に手を乗せて、

「拓也はいくらもらった?」と調子よく訪ねると、和也は照れくさそうな顔をして、和也に見えないように隠そうとした。

「何を笑っているんだ?コノヤロー!!」和也は反撃体制に入った。

「ええっ、和也先輩はこの倍もらっているんでしょ?僕のなんてしょぼいから・・・」そう言うと、拓也は最終金額の部分以外を指で隠し、金額だけをチラッと和也に見せた。和也は身を乗り出してそれを見てびっくりした。

 「5桁!?  ああーっ! 13才で5桁は生意気なんだな!」和也は笑いながら池田運輸の社長がやったように、拓也の髪の毛をグチャグチャにした!

 

 拓也は上の空で何かを考えているようだったので、それに気が付いた和也が、

「なぁ、拓也って、なんでこの会社で働いているんだ?」と、質問した。13才でバイトではあるが仕事をするには何か理由がある。本来13才といえば中学1年生。一生懸命勉強して、一生懸命部活動を頑張って、あるときは恋をして、そう、働いている場合ではないもんだ。和也の質問に、拓也は悩んだ。自分で決めたわけではなく、ただ、学校に行かない日々を続けていたら、ある日の朝、父親からバイトに行くように言われて、とりあえず言われたとおりに勤務しているだけだったから。

「・・・・・さぁ・・・何でだろう・・・」拓也は本気で考え、そして本当に分からないのか、首をかしげた。

「お金が欲しかったのか?13才なのに」和也は俯く拓也の方を見ながらそう言った。「ううん・・・」拓也は"パパに言われたから・・・"と答えてしまっていいのか迷った。すると、

「パパに仕事するよう言われたんだろ?」和也は分かり切った表情で切り出した。俯いていた拓也は少し驚き、顔をふっと上げると、恥ずかしそうに、

「うん、まぁ・・・、そんな所なんです。」と答えた。

「じゃあ、何か夢は持っているの?」和也はさらに質問した。

 

 これは困った・・・


 人生なんてつまらないものだと、拓也はずっと思っていた。学校に行ってもイジメにあうだけだし、家に引きこもっていても何も起きないし。拓也の父親は何かに一生懸命にやることでしたいことが見つかるかもしれないと、仕事をさせた。

「夢は・・・・・・(今のところない)・・・・」拓也がボソッと言いかけるとすかさず和也が、

「社長になることか?」とつっこむと、

「ええっ!? ええと、夢は・・・・」拓也は笑いそうになったのを堪えて繰り返しボソッと言いかけた、すると、和也は「有名人か?」と、カンマ入れずに言った。それに対して何かを言いかけた拓也が何かを言う前に、

「ウルトラマンか? ドラえもんか?」と面白可笑しく問いかけた、すると、困った表情をしていた拓也は笑いを堪えきれずに、遂に吹き出すように笑った。

和也は追い打ちを入れた。

「ピカチューか!?」

「アハハハハハッ!!」普段笑わない拓也は白い歯を出して爆笑した。

「アハハハッ・・・・って何笑っているんだよ!!」面白くなった和也は、止めとして、和也の体中をコチョコチョ意地悪して一分位、拓也を腹が痛くなるくらいに笑わせた。

 普段笑わない拓也は、この日、今年で一番笑った。

  A

 二人はまるで仲の良い双子の様に楽しい時間を過ごした。二人の間にあった距離は和也の気遣いのお陰で、圧倒的な早さで近くなっていった

  

<<これは、実際に起こった実話を、そのまま物語にしたものです。物語の中には、前世や過去世催眠という言葉が出てきますが、こちらも本当の事実です。実際に起きた事実の断片を一つの物語にしました、事実95%間接材5%です。>>


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