来週から拓也はバイトへ行く
引きこもり生活を続けていた中学三年生の拓也、父親からバイトの紹介を受ける。
「拓也、いいか!」朝の食卓、拓也が食事を取っていると、普段は何も言わない父親が口を開いた。
「・・・うん。」
(怒られるかな・・・)
拓也は弱々返事をした。小学校の頃から、父親は非常に教育熱心で、その為か、叱責には遠慮がなかった。何度も何度も怒鳴られたし、お説教も、酒が入っているときは永遠3時間以上は優に続いた。そもそも、お酒が入らなければ、お説教は以外と短い。
「来週から、配達業者のトラックの待機役のバイトを始めなさい!」父親は拓也の目をしっかりと見て言った。
「ええっ!?バイトするの!??」拓也は驚いた。驚いた拓也は母親の方にも目線を送ってみたが、母親は気に掛けないフリをして、全員分の温かいミルクを用意していた。
「遊び盛りの子供に金を稼がせるのは気兼ねだが・・・」
(そうでもないかな)拓也は何となくそう感じた
「だが、稼いだお金は全部自分で使っていいことにする。どうだ!?」父親の呼びかけに、きっと反対すると思っていたが、拓也の反応は以外だった。
拓也は父親の提案に驚いた。
「お父さん、僕・・・・」僕学校に行っていないのにいいの?と拓也は聞きたかった。働くことに対して、不思議と拓也は抵抗が無かった、それどころか、働ける事がなぜか懐かしく思えた。しかし、学校に行かないことに気にしない父親が不思議だった。「いいか拓也、俺は中学の時は自分の親には悪いけど好き勝手やって来た、だけど親には迷惑を掛けないことだけはしっかり守った。俺が不良をやっていたのだから、拓也が学校に行かないことは責める気はない。だけど、何かを一生懸命にやってほしい。それに、良い出会いもきっとある。世の中にはいろんな人がいるからな。」
拓也は考えた。
「その仕事は僕にも出来るの?」拓也は久々に父親に質問した。普段ほとんど話さない間柄なので・・・
「もちろん!!正直言うと、座っているだけの仕事だから、拓也にだって出来る。知り合いの配達業者に昨年入社した18才の運転手がいて、雇い主の人の話だと、見た感じ、拓也と気が合いそうだってよ。」父親は押した。
「18才!? 色々とうるさそうな年頃だ・・。」拓也は少し嫌がった。5歳も年が離れている人と上手くやっていけるのだろうかと考えた。
「なぁ拓也、小学校までは俺があれこれうるさかったけど、おまえにだってやりたいことがあるだろう?」いきなり父親の質問が変わった。
「・・・・」拓也は今一番やりたいと思っていることをあれこれ考えた。しかし、昔からそうだったけど、この父親は絶対に首を縦に振らない人だと知っていたので、あきらめることにした。
「特に、無い。」拓也はサバサバと答えた。
「それでいいんです!」この答えに拓也は驚いた。
「えっ!?」本当だろうか・・・
「自分は父親として、今まであれは駄目、これは駄目と、本当に多くの事を縛り上げてきたのだが、拓也という人間にとって、その教育の仕方は間違っていると最近考えるようになった。」父親は手振りも混ぜて話した。
「そのために、拓也は自分の殻に閉じこもるようになった。俺は自分の子供があれこれやりたいと思っていたことを今まで何一つさせてあげなかった、それは大きな間違いだと思う。拓也もそう思っていただろ?」拓也はとりあえず首を縦に振った。
「自分の人生なのだから、自分でやりたいことを見つけないと面白くないし、親や他人に命令されるだけの人生は、そんなもの全然面白くないはずだ。」
「面白くなくたっていいよ、どうせ僕誰も友達いないし。それに一人でいるのが好きなんだ」拓也は少しさびしそうだった。
拓也と父親の会話を黙って聞いていた母親が、ここで初めて参戦してきた。
「拓也が小さい頃、まだ幼稚園の頃に、よく私に『なぜ僕一人なの??』って聞いてきたじゃない?」父親と違って母親は優しい。
それは友達が欲しくて言ったんじゃなくて、兄弟が欲しくて言ったこと。もう昔の話だけど。
「母さんの言った通りだ、一人が好きな人間なんてどこにもいやしないさ、本当は拓也も口では一人が良いとは言っているけど、心の中では誰か一人でも仲の良い友達がいて欲しいと思っているに違いない。」父親は付け加えた。
「今度のバイトで一緒に働く方は18歳だって! 年が近くてよかったじゃない!」母親は嬉しそうに言った。
「18歳なんて、もうおじさんだよ!!」拓也は言った! 両親ともに笑っていた。
「良い収穫は必ずあるわよ!頑張ってね。」母親はまだ笑いを残しながら言った。
拓也は少しふくれた。
<<これは、実際に起こった実話を、そのまま物語にしたものです。物語の中には、前世や過去世催眠という言葉が出てきますが、こちらも本当の事実です。実際に起きた事実の断片を一つの物語にしました、事実95%間接材5%です。>>




