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拓也の決意

アウル兄弟として生きた世の最後の幸せの一時を思い出した現世の拓也、人生について、これほど考えたことは無かった。 これから拓也は、前世の自分自身の死ぬ瞬間を思い出す。

 <<現実世界>>


 これまでとは一変した空気


 とても短い期間だったけれども、とても楽しかった。

「一度戻りましょう」

過去世療法の誘導役のシェリーから、一度、意識をリフレッシュするよう誘導があった。


 拓也の意識は愛と幸福の大きなエネルギーに包まれていた。


 シェリーの声がとても遠くの方で聞こえた。耳に入ってくる声は、自分ではない他人が聞いているような感じがした。頭の中は、形も時間もない、拓也の意識が感じる色は、何色でもない、目で見る色とは違う、感じるのは、愛のエネルギー、ただそれだけでしかなかった、今、拓也が感じているのは、拓也の持っている言葉をどれだけ使っても、表現できない、しかし、表現する必要もなく、感じているエネルギーに生まれてしまい、ただ、涙が出てきてしまった。


 10歳で死んだイギリス人少年アウルはが、現世の日本に生まれて、そして現在は中学三年生、親の親戚つながりにより、学校には内緒で働きに出ている、なぜなら、拓也は引きこもりの生活を続けていたからだ。


 引きこもりになった理由は、上手く言葉に出来ない。いつからか…小学六年生からだろうか、人生について、つまらない、と、思うようになっていた。


 拓也は、学校では、誰とも上手く合わない。何となく上手くいっていたのが小学4年生位だった。中学三年生の現在、友達はいなかった、引きこもりの拓也に会いに来る友達は誰一人もいなかった。


 母親からは、毎朝30分、お説教を受けた。母親は毎朝拓也の部屋に来ては、長い説教があり、しかし母親は別に拓也の事を心配しているのではなかった。近所の自分自身に対する目線を気にしているだけだった。

 拓也にとっては、家族全員が寝静まる夜が来ることが待ち遠しく、そして、一日の始まりとなる夜明けが来ることは、拓也にとってはとても苦しい一日の始まりだった。


 小学六年生頃から始まった引きこもりは、現在で4年目に入っていた。中学一年の頃は、何度か学校にも顔を出してみた、しかし、拓也を取り巻く環境が変わることはなく、拓也は直ぐに引きこもりに戻ってしまった。


 "楽しい"という言葉が嫌い、それどころか"楽しい"って? 学校が楽しい・部活が楽しい・友達と時間を過ごす事が楽しい、拓也にとっては、それらが一体なんだのだろうといった感じだ。拓也にとっては、他人の楽しく見える姿が全く理解出来なかった、まるで一発ネタで失敗したお笑い芸能人をシラけた目で見る観客のように、拓也には見えた。


 しかし、中学三年生になり、親の半強制の力によりアルバイトを始めた。アルバイト先では、上司とペアを組んで仕事していた。上司の名前は拓也よりも3歳年上だが見た目も背丈も性格も、同じではないが、非常に似ている、名前は和也。

 和也と仕事をしていく内に、拓也は世間一般の"楽しい"を初めて感じた。仕事をしていくうちに、毎日拓也は生まれ変わるように変わっていった。変わったといっても、その状態で学校に行ったとしても、クラスメイトとの会話が上手くいくわけでもなかった。


 例えば、仕事でペアを組んでいる和也の様なタイプの人がクラスメイトの80%だったとしたら、拓也は元気に生きていけるのだろう。別に学校の環境が悪いのではなく、ただ、拓也がそういう人間、それだけだった。


 今回の過去世療法により、拓也は一つ前の自分自身の前世を思い出し始めた、それは普段は使わない意識の一つである"潜在意識"を開くことで可能となる。

 潜在意識が開いたことで、その中に眠っていた拓也自身の過去世を思い出し、知ることができた。過去世を思い出すことは、単に思い出を思い出すこととは違い、思い出した記憶を自分自身で再体験しているような感覚。


 卓也の一つ前の前世は非常に残酷で、悲しい出来事が多くあった、しかし、その狭間で、僅かながら大変に幸せな期間もあった。


 その幸せな感情は、拓也が前世でも一度も体験したことのないくらいに、大きな幸せだった。今世では一人ぽっちの拓也は、何度となく、兄弟が欲しいと願った。


 現世の拓也、前世ではイギリス人少年の兄アウル、いや、兄・弟であることは、それほど違いはなく、常に自分の一番の理解者がいつも近くにいてくれることが、大変に嬉しく、楽しく、幸せだった。


 その幸せの感情、そして、大きな素晴らしいエネルギーに、意識の全体が包まれている幸せな時に、シェリーに一端戻れ指示が出たものだから、拓也のテンションが下がった。


 「シェリー」拓也は不安気な気持ちの中、声ではなく、心の中で、シェリーと呼んでみた、すると、

「拓也お兄ちゃん、私はずっと側にいるよ」と、言葉ではなく、気持ちが返ってきた。 拓也は不安だった、10歳の兄アウルの人生は現代では既に終わった、そして、拓也の記憶の旅の中で、これから終わる人生、その結末に拓也はおびえていた。

「僕は、僕は…」

"どっちの僕?"拓也は迷った。

「双子の兄・アウル」シェリーが教えてくれた。

"そうだ"


「僕は、双子の兄アウルは、これからどうなるの?」それは、これから思い出せば、シェリーに聞かずとも、直ぐに分かってしまうこと、だけど、怖かった。教会では、二人の老夫婦が、アウル兄弟を実の子供のように可愛がってくれた、しかし、ショービジネスでアウル兄弟を利用してた雇い主によって、再び手に入れた幸せを壊されるのではないかと、いや、それ以外にあり得ないと、拓也は確信していた、そうでなければ、これだけ幸せな生活が、その後直ぐに壊れてしまうことは考えられなかった。次に思い出す場面こそ、アウル兄弟最後の瞬間。


「結果が分かった、僕、思い出すよ、僕が死ぬ瞬間を」

「シェリー?」


「うん」


「僕は、前世の僕が死ぬ瞬間を、思い出さなければいけないんだね?」


「そう、だけど、それが、現世の拓也お兄ちゃんの幸せに繋がるの」


「僕に幸せ?」


「拓也おにいちゃんは、幸せになるために、再び生まれてきたの、そして、私はその為にここにいる」


「でも、僕(兄アウル)は、死ぬんだよね?」


「私はずっと側にいる、全部、お兄ちゃんの幸せの為に、繋がっている」

 拓也は、最後の過去世療法の、短い旅に出た。

<<これは、実際に起こった実話を、そのまま物語にしたものです。物語の中には、前世や過去世催眠という言葉が出てきますが、こちらも本当の事実です。実際に起きた事実の断片を一つの物語にしました、事実95%間接材5%です。>>


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