死へと続く娯楽ショー
お城の仕事をせっせとこなすアウル兄弟と、城の主の夫妻とで、娯楽ショーに出かけた、しかし、そこには野蛮な雇い主がが影を潜めていた。アウル兄弟達のやっと掴んだ幸せが壊れようとしている。
それから三日後のある日の夕方、小さなお城では、アウル兄弟と主人と婦人の四人で、和やかな夕食をとっていた。
今日の兄アウルが作る食事は、いつもより美味しかったのか、小食の婦人が喜んで食べていた。
「アウルの今日のパスタはとっても美味しいわ、上手になったわね、嬉しいわ。」と、キャサリン婦人は食べ始めてから終始笑顔だった。
「キャサリン、兄ばかり褒めていたら、弟が膨れてしまうぞ。」トーマス主人がそう言うと、キャサリンは弟アールの顔色を見た。するとキャサリン夫人と目が合った弟アールは首を必死に横にブンブン振った。
「アハハハッ」それを見た兄アウルは思わず笑った。
「二人とも、頑張って働いてくれている、お陰で、食事は美味しいし、同僚からも、馬の手入れが良いと評判だ、なっ、アール。」トーマス主人が弟アールの仕事ぶりをたてると、弟アールは、照れくさそうな顔を押さえる為に、頬が赤くなった。
「あらっ、可愛い。」キャサリン夫人はニッコリした。
「そうだ思い出した。」トーマス主人が全員に話しかけた。
「実は明日、この村の娯楽施設でショーがあって、同僚から誘われているんだが、よかったら全員で見に行こう。確か明日は新聞配達もお休みだったと思う。たまにはいいもんだ。」トーマス主人は、ナプキンで口元を綺麗にしながら話した。
"そっちはどうする??"
二人は同時にお互いの顔を見た。二つの顔が同時に動いたところを見たキャサリン夫人は、思いっきり高い声を上げて笑い出した。笑った衝動で、手で握っていたフォークを落とした。
トーマス主人も、キャサリン婦人がフォークを落としたことで笑った。
次の日の朝、弟アールが毎日世話している馬に牽引された馬車に、双子のアウル兄弟と、トーマス夫人は乗り込んだ。
「ハイッ」
トーマスが鞭を振った。四人を乗せた馬車は、グラグラ揺れながら、前に進み始めた。
普段ほとんど馬車に乗らない兄アウルと、弟アールは、グラグラと揺れる馬車の感触をニヤニヤと楽しんだ。キャサリン夫人は、そんな二人の表情に気が付くと、何だか楽しそうだった。
今回のショーの誘いをしたトーマス主人の同僚の家は、施設までの道の途中にある。同僚の家の前には、同僚のケント主人が既に待っていた。
馬車が止まり、ケント主人は元気に挨拶すると、アウル兄弟の横に座った。
「ケントさん、今日は誘いをありがとう。そこに二人で緊張して座っているのが、いつも話していますアウル兄弟です。ケントさんのお陰で、今日は楽しい一日を過ごすことが出ますよ。」トーマス夫人はご丁寧に挨拶した。
「いえいえ、こちらこそ。こんにちは。」ケントさんは年相応の落ち着いた挨拶をした。
「あっ、」兄アールは何かを言いかけると、弟アールの方を向いた、せっかく、兄アールが勇気を振り絞って挨拶をしようとしているが、弟アールが、あっちを向いたので、兄アウルが弟アールの太ももにパンチした。
「はっ、はいっ」弟アールは振り向いた。
弟アールが振り向いたことで、ケント主人の目には、見た目が同じで緊張した顔が二つ並び「クククッ」と、ケント主人の笑いを誘った。アウル兄弟は二人同時に背筋を伸ばした。
『はっ、初めまして、"アウール"です。』二人の挨拶がシンクロした。
「ハッハッハッ」トーマス主人は大笑い。アウル兄弟の隣に座っていたキャサリン夫人は、もらい笑いした。
良い雰囲気で、馬車は走り続た。
窓の外を見ていた兄アウルの目に、大きな建物が見えて、その建物の入り口付近には、ショーを見に来たお客さんが大勢いた、そして、、入り口に入っていった。「アール見ろよ、人が一杯だ」
馬車が止まると、体の小さなアウル兄弟が先に馬車を、ジャンプして降りた。
続いて綺麗なドレスに身を包んだキャサリン夫人が、トーマス主人とケント主人の手を借りて、馬車を降りた。
血は繋がっていないけれど、見た目は立派な家族。
「お久しぶりです、トーマスさん、おはようございます。」普通の服装をした男性が、通りがかりにトーマス主人にご丁寧に挨拶した。
「やぁ、おはおう。」トーマス主人も挨拶を返した。
「トーマスは顔が広いんだ。」ケント主人は、アウル兄弟にそう言った。
「そっか、お城に住んでいるからな。」兄アウルは、弟アールに小声で話した。
「そうだね、兄ちゃん。」弟アールは頷いた。
会場の後ろ真ん中に、トーマス主人達は横一列に座った。
「子供達の姿をあまり見かけないぞ。」人で一杯の観客席を見渡したトーマス主人の目には、少々お行儀の悪い男達が多く目に付いた。
「そっ、そうですか、今日のショーは子供向けよりも、私達、大人の男性向きなんですよ。」ケントは少し返答に困った様子を見せた。
一行は、ショーを楽しんだ。
アウル兄弟は知らないが、野蛮な雇い主の新たなる稼ぎ頭である、双子の女性組も登場し、それが一番の大盛況だった。
いくつかの組のショーが終わり、次の組へ切り替わる間のザワザワとした場内で、司会者の男性は観客席を見渡し、そして、偶然にもアウル兄弟を目が合った。
そしてその司会者は、フと気が付いた様に、アウル兄弟の元へ、駆け足でやって来た。
「失礼ですが、あなた方はもした、遠くの、カンマ村のショーで活躍している兄弟では??」
キャサリン夫婦は、一体何がどうなっているのか? 間違いだろうか? という素振りをした。
「ええと・・・」アウル兄弟は、2人で目を合わすと、恐る恐るトーマスの目をチラッとみた。
「何のことだい?」トーマスは怒ってはいなかった。すると司会者が、
「パパとママですか? 私、何度かアウル兄弟のショーを見たことがあります、本当に面白くて、カンマ村のショーの中では、とっても人気がありましたよ。」
「おまえ達、ショーが出来るのかい?」トーマス主人は、アウル兄弟が以前に漫才をやっていたのかもしれない事実に、大変嬉しそうだった。
「にっ、兄ちゃん・・・」弟アールは戸惑った、漫才をやっていたことは、アウル兄弟にとって大きな自身でもあり誇りだったが、キャサリン一家に養子縁入りしてからは、野蛮な雇い主から隠れるために、それを隠し続けてきた。少し困った表情をした兄アウルは、現在、養子として大切にしてくれている現状の感謝の気持ちを再確認すると、隠し事をすることは出来ないと、判断した。それに、野蛮な雇い主にバレなければ、騒ぎにはならない、と、思った。
「ええと、はい、僕ら、少しだけ(嘘)ですが、ショーに出ていたんです。」兄アウルは、隠し事をしていた事でトーマス主人から怒られると思い、子供スマイルでごまかしながら、真実を述べた。
「はいっ、少しだけだけど・・・」弟アールも、遅れながら、少しだけ、を再押しするように言った。
「凄いじゃないか、お前達、知らなかったよ」トーマス主人はテンションが高くなり、喜んだ。
「やっぱりそうですか、出会えて光栄です、一度、お話してみたかったです、私、ここで司会をやっております、よかったら、いえ、是非とも、飛び入りでショーを見せて頂けませんか、もちろん、出演料もそれなりに。」司会者は心が弾んだようだった。
「それはいいわね、昨晩のアウル君達の漫才はとっても楽しかったわ、是非もう一度見せて欲しいわ、きっと大成功するわ。」キャサリン婦人も身を乗り出し喜んだ。
断れない状況に、アウル兄弟は困惑したが、野蛮な雇い主に知られなければ、大丈夫だろうと考えた。
「では。」司会者はアウル兄弟の手を取ると、得意げに壇上まで連れて歩いた。
"神様、何事も起きませんように・・・"兄であるアウルは、歩きながら目を閉じ、心の中で強く願った。
司会者とアウル兄弟が、ざわめく客席を経由してステージ上に上ると、周囲は何事かと、注目した。
「突然ですがショーを見に来てくださった皆様」司会者が大きな声で叫ぶように観客に呼びかけた。そして、カチコチに緊張した2人の兄弟を指し、
「遠く離れた村で大人気の双子のショーをご覧下さい! 子供漫才、アウル兄弟です。」司会者はそう言うと、ステージを後にした。
「何だと」ステージの裏方にいた野蛮な雇い主は驚き、慌ててカーテン越しからステージを見た、そこには、探していたアウル兄弟がいた。
「見つけた、だが、あいつら、こんな所で何をやっていやがる・・・」
観客席からステージ上のアウル兄弟に大きな拍手が飛んできた。
遠くに見えるキャサリン婦人とトーマス主人は、とっても嬉しそうな目をしていた。
緊張していた兄弟は、大きく深呼吸をすると、昔、毎日こなしていたショーを思い出した、すると、自然と、力が入ってきた。そして小さな声で兄アウルは言った。
「よしっ、アール、いくぞ。」
「うん、兄ちゃん。」弟アールは大きく返事をした。
アウル兄弟は、会場のざわめきをうち消すように、両手を同じタイミングで叩き、パチンと大きな音を出た、ざわめいた会場が一瞬で静まった、そして、さっと左右に離れるように距離を置くと、同じタイミングで両腕で左右対称にL字を作ると、元気一杯の声と笑顔で
「いらっしゃーーーい」と合図した。
すると会場から大きな拍手が返ってきた。
「アール、あの村で最後の日にやった漫才をいくぞ、ついてこいよ」アウルは叫んだ。
「双子漫才します、ご覧下さーい」アウル兄弟はそう言うと、得意の双子漫才を披露した。
『昨日行われた"転がり屋"さん達のショートコントのリプレイ』
『おととい行われた"大好評"さんの新ネタのリプレイ』
『昨日一番人気"ニューヨーク"さん達の滑りネタのリプレイ』
2人はとっても新鮮な顔つきで、ショーをこなしていった。観客も、初めて見る双子の男の子漫才に、とっても大喜びで、大きな拍手でレスポンスした。
「次だ、いくぞアール、アドリブだ、ついてこいよ」兄アウルは、上がってきた会場の熱を更に加速させるよう、弟アールに呼びかけた。
『ママ(キャサリン婦人)の物真似その1』そいう言うと、兄アウルは平和的性格のキャサリン婦人の行動を面白おかしく真似ると、意志が通じる弟アールは、トーマス主人や自分たちになりきり、ツッコミを入れた。そして、会場で見ていた大勢の人達がそれを大きな笑いに変えた。キャサリン夫人ネタを三本ほどこなすと、続いて
『弟アールと馬』という題名で、兄アウルは四つんばいになり「しっぽがかゆいよぉ・・・」とコールすると、弟アールが兄アウルのネタを察知して観客側に顔を向けながら「馬の手入れが僕の仕事さ」と大きな声と元気一杯でそう言うと、兄アウルが真似る馬に近づき、手入れをする仕草をすると、兄アウルが真似る馬は、手で表現した尻尾で、弟アールをパチンとはじくように手を動かすと、弟アールは「あれーっ」と、左右に大げさに吹っ飛び、それを何度か繰り返し、普段からドジばかりする自分自身を表現し、観客からは本日一番の大爆笑が飛んだ。
大歓声の中、キャサリン婦人とトーマス主人は、まるで自分たちの子供の輝く姿を見るように見入っていて、キャサリンの目は感動の涙を浮かべて輝いてた。
「素晴らしい、さすがはカンマ村で一番人気なだけあるぞ」と、自身が司会を務めるショーステージの盛り上がりに感動した様子で言った。
そして、本日一番の盛り上がりを作った所で、
『はいっ』と、姿勢をぴーんと伸ばし、至近距離で開始時と同じく腕でL字を作り、最高の笑顔で2人のショーを締めた。
会場は大盛況 拍手がしばらく続いた。万弁の笑顔で観客席に手を振った。観客席から"可愛い可愛い"の声がいたる場所から聞こえてきていた。
アウル兄弟のショーの盛り上がりは、当日の出演者のだれよりも大きく、女性双子達よりも、遙かに大きく盛り上がった。
ステージから降りると、2人は、表現者から、普通の幼い少年の態度に戻ったように、元座っていた場所まで、拍手の中、駆け足だった。とっても照れくさかった。2人が椅子に飛び乗るように座ると、大きな声援の中、アウル兄弟は婦人と主人に抱きつかれるように頭をなでなでされた。
アウル兄弟は、この瞬間に、ここしばらくで一番の幸せを全身で感じた。わき出るほどの幸せな輝く空気に包まれるような感覚を感じた。
その後、数組のショーが終わり、アウル兄弟とトーマス達は、とっても充実した気分でショー会場を後にした。
しかし、ショーステージ裏では、野蛮な雇い主が、怒りの矛先として、女性双子をムチで一発叩いた。
「あいつら、この俺様を出し抜くとはな、この女共よりも受けが大きかったのは許さねぇ、いや、それどころか、こんな所に隠れていやがったとはな、ふっ、おとなしくしていれば見逃してやった所だが、俺様自慢の女共のショーを出し抜くことは絶対に許さなん、この俺様へのご恩も忘れてのこのこ生きていることも気にくわねぇ、おい野郎共、出るぞ」野蛮な雇い主は近くで待機していた馬車役の部下にそう叫ぶと、アウル達一行を追いかけるように、出口へ走っていった。
直ぐさま、馬車に乗り込むと、観客用の馬車集合場へ行き、丁度アウル一行が乗り込んでいる最中の馬車を見つけ、それを尾行した。
「ふっふっふっ、俺様を怒らせた事へのご褒美として、業火の地獄を見せてやろう、あのガキ共にな。」
<<これは、実際に起こった実話を、そのまま物語にしたものです。物語の中には、前世や過去世催眠という言葉が出てきますが、こちらも本当の事実です。実際に起きた事実の断片を一つの物語にしました、事実95%間接材5%です。>>




