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キャサリン夫婦とお城

野蛮な雇い主の下を命からがら抜け出したアウル兄弟、仕事をすることと引き替えに新しく住む場所を見つけた。しかし、野蛮な雇い主との関係は終わらないようだった。幸せを見つけ掛けたアウル兄弟に、野蛮な雇い主の魔の手が近づく。

 数々の店のテントがならぶ大通りの一番脇となる場所で、カゴに入った南瓜を販売する女性がいた。その女性の横では、他にも、生きたチキン一羽を網に入れて、それを販売する女性、そして・・・、

"家政婦いかがですか?"と書かれた木の板を手に持つ少女が立っていた。身なりはきれいとは言えなかった。おそらく孤児なのだろう。とっても痩せていた。

 他にも、"何でもいたします"と書かれた看板を持った女性もいた。来ているのは布一枚だけ。

 そんな身売りをする少女、女性、中には中年男性もいた。彼が手に持つ看板には、"手先が器用です、何でも作れます"と書かれていた。彼の看板の文字は、木を掘って作られていた。

 8人ほど、そんな人達が並び、その最後尾に、ショーの時に着る泥で汚れた黒スーツ姿のアウル兄弟が朝から立っていた。

二人で持つ看板には"一生懸命働く双子です"と書いてあった。

 「いいかアール、僕らは二人だ。二人を雇えるのは、お金持ちだけだ。お金を持ってそうな人に笑顔を送るんだ! 間違っても奴(野蛮な雇い主)みたいなのを捕まえちゃダメだ。分かったか?」朝日が綺麗な朝、早くから多くの人達で賑わう市場の片隅で、アウル兄弟は次なる居場所を求め、活動していた。

「うん、分かったよ、兄ちゃん。」弟アールは兄アウルと真剣になってお金を持っていそうな人を捜した。

 二人の活動は、夕方まで続いた。夕方になると焦りが出てきたのか、二人は拾ってくれそうな人達が通るたびに、二人バラバラに挨拶をした。

「頑張ってーー働きまーーす。」兄

「洗濯、掃除、食事、何でも出来まーーす。」弟。

朝から続けているため、二人の声はカスれていた。

 一人の男性貴族が身売り達の前で止まると、"何でもいたします"と書かれた板を持っていた女性の手を掴むと、互いに一言も言葉を交わすことなく、その場を後にした。

「兄ちゃん、あの女の人、何するのかな?」弟アールは、疑問に思った。

「変なことするんだ、そうに決まってる。」兄アウルは答えた。

さらに数十分後、巨大な体の大工仕事をしてそうな男性が、身売り達の前にくると、ニヤ笑いの表情で、"家政婦いかがですか"と書かれた板を持ったアウル兄弟と同じ年くらいの少女を、力任せに引っ張った。少女は怖がっていたが、生きるためにはこうするしかないのか、ペコリと一礼すると、怖いとおもう気持ちを懸命に抑えて、その男性についていった。

「まただ、女じゃないと拾ってもらえないのかなぁ・・・」弟アールは言った。

「無茶言うなよ、よし、アール、僕らは男だから、女性の雇い主を捜そう、それならきっと上手くいく。」兄アウルは、マダムと思われる女性を懸命に捜しながら言った。

「ほらいたぞ! あの人が近づいてきたら、一緒に声を掛けるんだ!」兄は買い物をせずに歩いている中年女性を見つけると、その人を軽く指で指した。

「あの人だね、分かったよ、兄ちゃん。」弟もその女性を確認した。

茶色のフカフカのコートを羽織った高級そうな女性が家来と思われる女性を二人後ろに連れて、アウル兄弟の近くに来たところで、

「こんにちは」兄

「おはようございます」弟 二人は全く違う挨拶をした。

「フフッ!」女性達は双子を見て面白かったのか、少し口で笑うと、そのまま通り過ぎていった。頭に来たアウルは弟を軽く蹴った。

「なんだよそれ、いっちゃったじゃないか。」兄は怒った。

「そんなーっ、じゃあ、今度は一緒に言おうよ。」弟アールは、痛てっ、という表情で言った。

「何て言うんだ?」兄は次の挨拶の言葉を弟に考えさせた。

「う・・・ん、あっ、そうだ!!! アレだよ兄ちゃん。ショーの挨拶!!」弟はひらめいた。

「そうか、ショーの挨拶か、僕らがずっとやってきたやつだ、なるほどなるほど、さっきのは取り消すよ。」兄は弟アールの蹴った部分の土を払い落としながら言った。

「・・・あ~あ、もう遅いよ。」


 アウル兄弟のいる方向に、次なるマダムが向かってきた。こちらも高級そうなドレスに身を包んでいて、しかも、その隣には、その主人と思われる黒スーツの男性も一緒にいた。

 そして、マダムが身売り達の所を気にしてアウル兄弟達の近くにやってきたところで、

『いらっしゃーい!!』二人は鏡に映したように、10才の可愛い笑顔を送り、看板を持っていない手を振った。ショーの始まりの挨拶と全く同じやりかたで、二人は元気に挨拶した。

 その挨拶は大成功だった。

「あらっ!?」マダムが二人に注目してくれた。しかしそれだけではなく、アウル兄弟の隣にいた中年男性や、その他、その周辺を歩いていた通行人のほとんどが、その挨拶に惹かれ、こちらに注目してきた。

 マダムがアウル兄弟の前に来た。二人はドキドキした表情できょうつけをした。

「あなた達、年はいくつ?馬の世話は新聞配達も出来るかしら? 庭の手入れも出来る?」アウル立ち寄りも背の高い小太りの女性は、わるそうな感じはしなかったが、優しいという感じでもなかった。あくまで冷静な態度と声で二人に質問してきた。

「はいっ、僕らは10才です。馬の世話や新聞配達はやったことないです、だけど、きっと出来ます。」兄アウルが率先して質問に答えた。その隣で、弟アウルはビシッときょうつけをした。

「そう、丁度よかったわ、今まで雇っていた家政婦が新聞配達係の男と恋をして出て行ってしまったの、今日はその変わりの仕事人を捜していたところなの。あなた方でよかったら私の家で住み込みで働いてもらえるかしら?」

『おっ、お願いします。』二人は同時にそう言うと、同時にお辞儀した。

「あらっ、面白い子達ね。」マダムは受けた。


 こうして、アウル兄弟は再び住むところを得ることが出来た。

 アウル兄弟とマダムは、市場外に待機していた馬車に乗り込み、市場から次の村との間の道を走り、マダムの住む小さな小さなお城にたどり着いた。

 マダムは、兄アウルに朝の新聞配達(周辺の家10件分)と食事係を担当させ、弟アールに庭の手入れ、馬の世話、城の手入れを任せた。

 二人には広い部屋と、大人用の大きなダブルベットを与えた。服装もショーの時に使う黒のスーツから、兄アウルには緑のシャツと帽子、弟アールには青のシャツと帽子、その上に薄いオレンジ色のおなじ色のつなぎ服(上着とズボンが一体の服)を着させた。髪の毛は、伸びたい放題跳ねたい放題だった長い髪を、短くカットした。


 マダムの名は、キャサリン。今年50才で丁度5年前に二人息子を世に送ったばかりで、現在は夫と二人で城に住んでいる。子育ても終了し、現在は一人の時間を楽しむようになっていた。夫は市場にある二店舗のオーナーをしている。

 キャサリンはとても落ち着いた人、というのも、元々そういう性格だったわけではない。巣立っていった二人息子がこの城にいるとき、お金のトラブルが絶えずに、全く騒がしい生活を20年間続けた。二人息子が巣立ってからは、この城もやっと静かになった。お金がある生活には、トラブルもついて回る、キャサリンはそれを学んだ。そして、現在は穏やかな生活に憧れ、お金の贅沢もほどほどに、静かな生活を送るようになった。子供は好きだが、二人息子と毎日衝突ばかりしていたため、実の息子には散々な様子。今まで雇っていた若い家政婦も新聞配達係と出て行ってしまった。そんな時、目に付いたのが、見るからにお金とは縁のなさそうなアウル兄弟だった。


 夫は朝早くから夜まで帰ってこない、その間、キャサリンは、数年前から始めた本の執筆をもくもくと行っている。気が向けば、一人で散歩したり、アウル兄弟を話し相手にして過ごした。そんなキャサリンの口癖は"お金のトラブルはもう勘弁してほしいわ"

 キャサリンの城に務めてから約1ヶ月。この日も、日が昇る少し前から、兄アウルは30分程度で終わる新聞配達に出かける。

 空が少しだけ明るく感じられるようになり、この時間になると、二人は自然と起きるようになった。

「ふあっ・・・、おい、アール起きろよ、時間だぜ。」眠そうに目を開けると、隣でグッスリ寝ている弟アールの背中を軽く蹴ってから、アウルは起きあがった。

「ふみゃぁっ・・・」弟アールは変な振動を受けて目が覚めた。

「顔洗うぞ、早くしろよ。」兄アールはそう言うと、部屋の隅に置いてある容器に入った水を手に取り、鏡を見ながら顔を洗い出した。その直ぐ後に、弟アールが参戦してきた。二人で鏡に映る自分の顔と相手の顔を見ていつもの診断が始まる。

「あれっ、今日は似てない」兄アウルと弟アールの顔が少し違うようだ。

「本当だ、だけど、あれっ・・・段々似てきたよ。」弟アールが見ると、違っていた顔も段々と似てきた。

『よし』二人の顔が一致した、ところで、二人はそれぞれの朝の仕事を始めた。


小さな小さなお城の玄関の郵便受付口には、早朝に10軒分の新聞が置かれてくる。それを兄アールが周辺の家に配って回る。

「よし、今日も頑張ろうっと」兄アールは、緑の帽子を被ると、新聞を鞄に入れると、鞄を肩から下げ、一軒目の家に向かって走り出した。一軒目の家まで、600メートルは離れている。配達件数は少ないが、一軒一軒が離れているため、結構走らなければならないが、最後の5軒は全部お店なので、一つの場所に集合していた。

 10軒目のお店は24時間営業の酒屋で、こんな朝早くまで、5人ほどのお客がいた。どのお客も独身。その中でも一番若く美しい20代の女性がいつも決まって同じカウンターの席に座っていて、40才前後のネクタイをビシッと決めたマスターとまるで恋人の様に話をしている。

「おはようございまーす!」と元気な声で、兄アウルが自分の肩と同じ高さのカウンターに来て、マスターに新聞を渡す。すると、

「アウル君おはよう、いつもありがとう。」と、マスターがあめ玉サイズの氷を一欠片分けてくれる。「ありがとう!」アウルはそれを口に入れた。

「おはよう!」と、氷を口に転がすアウルの帽子を好みの位置に直すのが、カウンターに座っている美しい女性客の癖だった。朝の新聞配達の疲れも、その女性の美しい顔を見るだけで、吹っ飛ぶ、それどころか、いつも顔が真っ赤になってしまった。

 アウルはすっかりこの店の小さな人気者になっていた。

「アウル君、いつか二人でこの店に来てくれ、みんな喜ぶぞ!」マスターは白い綺麗な歯を見せてそう言った。

「じゃあ、またね、アウル君。」美しい女性客は何度もアウルの頭を撫で撫でした。

「はい、それでは失礼します。」照れまくった兄アウルは顔を真っ赤にして、元気に挨拶すると、店を後にして、プチ城にいそいで向かって走り出した。

 兄アウルが新聞配達に行っている間に、弟アールは一生懸命二頭の牛の乳搾りを一生懸命に頑張った。

 二頭分が終わる頃の同じタイミングで、息を切らして兄アウルが走って帰ってきた。

「アーールーー、終わったかーー?」兄アウルが小さな庭を駆け足で走ってきた。

「ふぅっ、終わった、間に合った!」弟アールの乳搾りが毎度同じタイミングで終わった所だった。

「さぁ、朝食を作らなきゃ、このミルク、もらっていくぞ。」先ほどはすっかり照れ照れの赤い顔だったが、毎日見ている弟のつまらない顔を見て、正気に戻る。

「それじゃ僕は牛の世話をしているよ。」弟はそういうと、バケツに入っている水を牛に与えたり、牛の体を洗ったりした。牛の世話が終わると、次は馬の世話をした。それが終わると、丁度兄アウルが作る朝食が出来上がった。

「アール、来いよー」食卓の窓を開けて、兄アウルが庭に向かって叫ぶと、

「はーい、兄ちゃん」と、窓から見えない場所から声が帰ってくる。アウルとアールの二人の声は、全く同じ声。この呼びかけの時は、キャサリンがいつもクスクスと笑う。

 物静かなキャサリンと、双子のアウル兄弟は、今日も穏やかな朝食を迎えることが出来た。キャサリンは、特に面白い事がなくとも、驚くような出来事がなくとも、穏やかな日々が一番良いと、アウル兄弟の前で口癖の様に言っていた。

 

 本当に、本当に、穏やかな生活が2ヶ月も続いたある日の昼、アウル兄弟は夕方の仕事までの間、庭にいくつもある巨大な木の上に昇っては、小鳥のさえずりしか聞こえない穏やかなな時間を十分に満喫した。

 つい以前までは、野蛮な雇い主の下、緊張の解けることの無い生活を何年も続けてきたため、今の平凡な生活がとっても幸せに、いや、贅沢に感じられた。

 この日も、道から庭に入る間の場所にある大きな木に、午前中の仕事を終えた二人は昇ることにした。

「僕から昇るからな。」兄アウルは、靴ヒモを窮屈な位に縛り直すと、慣れた手つきで、一つ一つしっかりと昇った。大きな枝の分かれ目までくると、今度は弟アールの番だ。

「兄ちゃん、いくよ。」弟は言った。

「早く来いよ!」兄は大きな太い枝に座ると、足をブラブラ揺らしながら、根本にいる弟アールにそう言った。

「よいしょっ、よいしょっっっと!!」三歩昇ったところで、ドジな弟アールは、足を滑らせ、地面に尻餅をついた。

「アッハハハハッ!何やっているんだ、それでも双子かよ、早く昇って来いよ。」兄アウルは弟アールの失敗を見てはいつも笑った。

「双子だよ。」弟アールは悔し混じりに言い、そして再度挑戦し、二回目で無事に昇ってきた。枝分かれの場所まで弟アールは昇ると、少し息を切らしながら、兄とは別の太い枝に座った。

 二人の頬に、気持ちの良い風が触れた。


風がとても気持ちよかった。


「平和だね、アウル兄ちゃん。」一面青く広い空を眺め、世界の広さを感じながら、弟アールは切り出した。

「・・・、そうだな」兄アウルも同じ表情で答えた、そして何か言いたいことを思い出した様だった。

「ところで、アールは大きくなったら何になりたいんだ?」

その質問の答えを、弟アールは少しも考える間もないようだった。どうやら弟アールは将来やりたいこと、したいことを既に決めているようだった。

「ヘヘッ、なんだと思う?」

「なんだよそれ、ったく、アールの事だから、チキン屋とかだろ?」兄アウルのプライドが少しだけ傷ついた。質問をした兄アウル本人は、まだ将来の事を何も決めていなかったし、考えたことが無かった。というのも、物心ついた頃から野蛮な雇い主の下で双子芸で稼ぎ続けてきたため、将来もずっと双子芸、もしくは芸人として生きていくものだと思っていたからだ。

「・・・」兄アウルは弟の表情をチラッと見た。弟アールの表情は、とても照れくさそうだった。一体弟アールは何を考えているのだろうか、兄アウルはとても気になった。

「チキン屋か、兄ちゃん面白いね。」弟アールはニコニコしながら言った。

「笑うなよ、とにかくその表情は一生芸人じゃないんだろ?」

「芸人じゃないよ、それよりも、僕はもっと大きな事をするんだ!」弟アールは遠くの空を見つめた。

「何だよ、教えろよ!」兄アウルは少し怒った。

兄アウルは、溜息を一つつくと、大好きな女性の顔を頭に思い浮かべた。弟アールには内緒だが、兄アウルが毎朝行っている新聞配達、その新聞配達の最終地点が、朝までやっている酒屋で、毎朝、若い青年がマスターを務めていて、カウンター席には、非常に美しい女性が座っていて、兄アウルの好みの女性だ。いつも綺麗な手で兄アウルの髪の毛や頬に触れてきて、とろけるような奥の深い瞳で見つめてくる。兄アウルは城に戻るまで、いつも頬が赤くなってしまう、そして・・・

「あれっ、兄ちゃん、また顔が赤くなってるよ、新聞配達から帰ってくるときも赤くなっているね。」弟アールは兄の異変に気が付いた。

「!!?」そして、いつも見ている弟アールのつまらない顔を見ると、うっとり気分の兄アウルの顔色や表情が瞬時に元に戻る。

「新聞配達は大変なんだ、アールには務まらないだろうな。」兄アウルは少し目をパチパチさせ、表情を普段通りに戻した。

それでも、酒屋にいる女性の事が頭に浮かぶだけで、兄アウルはとっても興奮してしまう。

「あーっ、ほらほら、顔が赤くなってきたよ。」

「あっ、アールにはまだ早いって言っただろう、それより、早くアールが将来なりたいものを教えろよ!」兄アウルは、女性の顔を頭から消すために、頭を左右に強く振った。一方弟アールは恥ずかしそうな表情をした。

「・・・う~ん、恥ずかしいな、恥ずかしいから言えないなぁ。」弟アールは下を向いた。

「なんだよそれ、恋人でも出来たのかよ。」

「そんなんじゃないけど、・・・・・いっ、今は言えないんだ。」弟アールは結局、言わなかった。

「ったく。・・・あれっ!?」兄は見たことのある馬車が道の遠くの方から近づいてくるのを見て警戒した。

「どうしたの、兄ちゃん?あれっ、あの馬、どこかで見たことあるよ。」弟アールも兄の目線の先み目をやり、見たことのある馬の存在に気が付いた。兄アウルは太い枝に身を隠すようにしつつ、乗車している黒い服の人に目の焦点を合わせ、そして確信した。

「・・・・、間違いない、あの雇い主だ。あいつが近づいてくる。」

「大変だ兄ちゃん、隠れないと。」弟アールは慌てた。

慌てる弟アールの横で、兄アウルは、上を見ると、二人が木登りしている木の枝に、隙間無く葉が生えているのを確認した。

「よしっ、アール、もっと上に昇るんだ、そうすればきっと見えない、早くしろよ。」兄アウルは落ちないように注意しながら、弟アールでも昇れるような太く丈夫な枝を選ぶと、その部分をを指差した。

「そこだ、アール、その枝を使うんだ! 失敗したら蹴飛ばすからな。」

「分かったよ、兄ちゃん!」弟アールは、振り返ると、落ちないように、兄アウルに迷惑が掛からないよう注意しながら、今いる場所よりも更に上に登り始めた。

「僕はこっちだ。」兄アウルも枝を昇り、沢山の葉に隠れるような場所を選ぶと、動かないようにじっとした。

「動くなよ・・・」兄アウルの指示の元、二人はじっと動かなかった。葉と葉の僅かな隙間から、野蛮な雇い主の乗った馬車を見ることが出来た。

「あの人、僕らが勝手に出ていったから仕返しに来たのかな。」弟は心配した。

「まさか、だけど、偶然であってほしい。」兄は返答した。


野蛮な雇い主が乗った馬車は、アウル兄弟が数年間世話をし続けた黒い馬が引く馬車に乗って、城の前を通る道を適度なスピードで走っていた。

その頃馬車では・・・


「おいっ、この村の娯楽施設には、まだ到着せんのか。」野蛮な雇い主は少々イライラした表情で、アウル兄弟が住むこの町の娯楽施設で、一体いくら儲かるのか・・・を考えていた。

「へっ、へいっ、親分、娯楽施設はまだ10分は必要ですが・・。」付き添いの二人の子分の内の一人は、野蛮な雇い主を怒らせないように気を遣いながら返答した。


 野蛮な雇い主は、アウル達がショーに出演していた村で、一財産を稼いだが、それだけでは満足出来ずに、更に稼ぐため、女性の双子を利用して、更に稼いだ。

しかし、それだけで終わらせようと思わなかったらしく、今度はこの隣村で、女性の双子を使い、もう一財産稼ごうと考えたのだ。


「この村のショーはだな、観客が男共ばかりらしいな、ああっ?」野蛮な雇い主は子分に聞いた。

「へいっ、自分の嫁さんの事などほったらかして若い女の踊りに夢中らしいです。 へへっ、親分が見つけてきたあの女の双子なら、人気一番は確実です。がっつり儲かります!!」

「その通りじゃ! この俺様は美人は一級品しか雇わねぇ。腰振ってるだけの女共にはかなわねぇ。  今日は早速交渉だ。次の開催時には、あの双子の女で荒稼ぎだ。お前ら、村の隅にいたるまで、しっかり宣伝しとけっ。  当日はいつもの倍の客で賑わせろ。 フッフッフッ。」野蛮な雇い主は汚い歯を見せ、一杯に笑った。

「お前ら、今日はうまい酒を飲ませてやるぜ!」

「はい、親分。」二人の子分は気合いを入れて返事した。





 

 


 

<<これは、実際に起こった実話を、そのまま物語にしたものです。物語の中には、前世や過去世催眠という言葉が出てきますが、こちらも本当の事実です。実際に起きた事実の断片を一つの物語にしました、事実95%間接材5%です。>>


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