九話
「すぅ、すぅ……」
暴れて疲れ果ててルイはぐっすりと眠る。
此処は宿。ディとナイトは隣の部屋でコリュに詰め寄っている。俺はルイの看病。
まぁ、看病と言ってもやる事は無いから刀を磨いているが。
あのキツネ、順番に質問していくが口を割らない。こっちも疲れるよ。
ガチャ。ドアが開いた。入ってきたのはディ。
「交代だ。ったく、いい加減に言ってほしいぜ」
「ん?次交代するのはナイトじゃなかったか?平気なのか」
ナイトは何故か一度もルイの看病に回らない。
一番にルイと一緒にいたいと思うんだけどな。
「平気だとよ。で、ルイは?」
「変わらないさ。ま、心配ないだろ。じゃ」
俺は隣の部屋に入った。部屋の奥には縛られているコリュ。その傍には椅子に座っているナイト。
部屋の壁には様々な模様がある。全てナイトが書いたものだ。結界だとよ。
なるべく暴力を使わないようにしているけど、そろそろ限界かな。
「早く言ってくださいよ。ウィットってなんですか?何故貴女はお嬢様を襲った?」
「……」
「キツネ、さっさと吐かないと楽になれないぜ?」
「あたしはキツネじゃない。コリュ」
いや、それだけ反応するのかよ。
ルイが起きていれば魔法で言わせるのに、俺達はその魔法もってないし。あぁ、面倒だ。
しばらく二人でしつこく質問したが何も答えない。と、ルイがおきたのか入ってきた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「うん。平気。ディから全部聞いたよ。ごめん」
見た感じ普段とそこまで変わらなさそうだけど、魔力があまり感じられない。
「別に良いよ。それより魔法使えるか?」
「無理」
やっぱりな。あの暴走で使い果たしたんだろう。
これは、2、3日かかるな。回復するまでに。
「ルイと二人にさせて。話したいことがある」
「……それは無理な相談だな。テメェは魔法を使う。ルイは使えない。何するかわからねぇだろ」
ドアに寄りかかってディが言う。
二人きりにさせちゃいけないと俺も思う。何故か、そう思う。
しかし、ナイトは
「私は良いと思いますよ。華僑と二人で彼女の魔力を抑えれば良いのですから」
「でも、ルイが苦戦した相手だ。二人で平気か……?」
俺は気が進まない。でも、ルイ自身はそれで良いということで渋々従った。
ナイトと二人でコリュに強力な魔法をかけた。
「時間は30分です。それ以上は認めません。貴女がお嬢様に攻撃した瞬間あなたの命は無いと考えてください」
破られそうな気はするけど、ただの思い込みか。
俺たち三人は部屋を出た。
「……俺は嫌な予感しかしない」
「あぁ。何で賛成した?ナイト」
「何となくですよ。もしこれでお嬢様に害を及ぼすようなら承知しませんが」
そのまま俺達はこの後の旅路を考えた。
次は城だな。しかも、ナイトが元々勤めていた城だ。ナイトは行きたくないと言っているけど、そこを通らないとダメだしな。
そして、30分後ルイたちの部屋に入った。
……?ルイの様子がおかしい。ずっと下を向いている。
いや、それよりもなんだ?この部屋の空気は。気味が悪い。
「何をした?ルイに」
「何も。ただ、ちょっとお話しただけよ」
「話だけでルイがこうなる筈がねぇ!」
「貴女にかけた魔法が解けていますよ。お嬢様に催眠でもかけましたか」
コリュは口だけ笑った。
ルイはどうなった?