五話
「おい!城に盗賊が入ったんだとよ!!しかもかなり強いらしい!」
馬を買う前に少し休憩をしようとして俺達は酒場に入った。
ルイはまだ寝ている。チッ。重ぇ。
ナイトにルイを渡して席に着き、適当に物を食っていたらいきなり扉が勢い良く開いた。海賊の人形が大声でそう叫んだ。
「嘘だろ……!?国王って今寝込んでいるんじゃ……。国王がやられたらどうするんだよ!」
ザワザワと酒場がざわめく。
……ルイの奴まだ寝てやがる。俺たち三人は目を合わせてルイはナイトがおぶって酒場を出た。
「おい!お前たち何処行くんだ!」
さっきの人形が俺達に声をかけた。
客がこっちを見る。俺はにっと笑って、
「助けるんだよ。腕ならしだぜ?腕ならし」
「ほらディ、早く行きますよ」
ナイトが呆れたようにして出て行った。
「ルイはどうするんだ?ナイト、ディ」
華僑が俺達に聞いてきた。
未だにスヤスヤ眠っている。……まぁ、いつか起きるか。
「あぁ?連れて行くに決まってるだろ」
それからダッシュで城に向かった
入り口の兵は倒れている。ふん。軟弱そうな奴等だなぁ。
そのままズカズカ入っていった。と、ルイが起きた。
「ふわぁ……。あれ?ここ何処?」
「城だ。盗賊退治するぜぇ?」
……なんか俺、すげぇ楽しそうだな。ナイトの背中からルイが降りた。
まだ少し眠いのか目を擦っている。と、ナイトがそれを止めさせる。華僑は呆れる。
……随分緊張感ねぇな。
と、目の前に盗賊らしき人形が現れた。
「て、テメェら誰だ!?」
「いや、そう聞かれましても答える人形は居ないと思いますが……」
ナイト、それは言っちゃだめだ。決まり文句なんだよ。
と、小声で言ったらナイトが納得した。盗賊にも聞えたらしく涙目だ。
……コイツ等強ぇのかよ。
「良くも馬鹿にしたなぁああぁぁぁぁぁ!!!!!」
「……馬鹿にしたも何も無いと思うが」
華僑が冷静にツッコミして、向かってきた盗賊を返り討ちにした。
その後、大声を聞いてやってきた盗賊を次々倒していった。
また走って王座へと急いだ。
「あ……」
「なんじゃ?」
ヨボヨボのウサギの爺さんが剣を持ってそこに立っていた。服は寝巻き。
「あ?寝込んでいたんじゃねぇのかよ!」
つい大声で不躾な事を言ってしまった……。
あーあ、確かこの王国は国王になめた口聞くと捕まるんだっけか。
「「「ディ!!」」」
「しまっ」
「いいんじゃよ。君達が来てくれたおかげで敵がそっちに向かったのじゃから。確かにわしは寝込んでいたが死ぬわけにはいかないからのう」
ニッコリと笑った。
あぁ、良かったぜ……。面倒なことにならなくて。
それから残党を俺達が倒し、けが人をルイとナイトが治していった。
ついでに散らかった所もルイの魔法で直した。
「ほっほっほ。そなた達のおかげで死人がでんかった。礼をするぞ。何が良い?」
今、俺達は王の前にいる。……ルイはまた眠りこけたが。
「礼と言われましても……」
「俺達は金に困っている」
「ディ……!」
「そなたはディというのか。気に入ったぞ。ならば礼として100000$でよいか?」
「あぁ。助かった」
随分俺が気に入られたのか、ついでに泊めて貰った。
次の日、やっと馬を買い、城下町を出た――