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十五話

『私はフェル。私の魔力で魔法を使えるようにするから』


僕の頭に直接声が響いた。凄く頭がキンキンする。

フェル?誰?僕は鳥さんを見た。鳥さんも僕を見ている。あぁ、この鳥さんってフェルって言うんだ。

天使系かな。凄く質の良い布が使われているなぁ。良いなぁ。……え?僕は洗脳されたんじゃないかって?後で説明するよ。


じゃなくて!フェルは魔法が使えるようにといった。さっき、コリュがナルフェ(目の前に居るでっかい人形ね)は魔法しか効かないって……。よし、僕の出番だ!

フェルノ光が消えたと同時に僕は試しに炎を出した。


「ファイアー!……出た!フェル!ディ達をお願い!」


フェルが頷いてディ達に向かったのを横目に見ながら僕はナルフェを見た。

うん。効いている。僕は続けて魔法を発動しようとするが、ナルフェも攻撃を仕掛ける。それを避けて今度はウォーターを唱え、そのままサンダーも唱えた。

さっきのファイアーで火傷した所がいきなり冷えた途端に電撃が走る。しかも、ウォーターで出された水は不純物でいっぱいだ。電流が走りやすい。


……さすがにやり過ぎたかな。そう思ってナルフェを見た。うわぁ、綿(僕らの中身)がいっぱい出ているよ。でも、痛みを感じないのかまた僕に攻撃をする。今度は両手で連続で。

さすがに避け切れなくてバリアーを張ったが力ずくで破られ、僕はギリギリ避けた。あ、服破れた。

バリアーはダメか……。にしても凄い力の持ち主だなぁ。僕のバリアーは結構強力なのに。さて、早く片をつけないと……!異世界と通じちゃう!でも、どうしよう。


そう僕が考えているうちにも攻撃は続く。僕はバリアーと体術で何とか避ける。バリアーは破られるけどちょっとは時間稼ぎになる。気休め程度だけどね。

と、僕の横から刀が出てきた。魔力を帯びている……!華僑の刀だ!


「こうすれば効くだろ!この、バカ力!」

「華僑!……君がいうことじゃないと思うけどね。大丈夫?」

「お嬢様、一言多いと思いますよ。私は大丈夫です!ほら!!」

「ナイトに聞いていない。ディは?」

「俺も治ったが、魔力が使えねぇからまだ戦えねぇ。悪ぃ」


華僑の刀はナルフェに刺さり、華僑の力で後ろにとんだ。

とりあえずナイトを一発殴って、ディの傍に行った。


「僕がディの身体に魔力を纏わせるよ。華僑、ナイト時間稼ぎよろしく!あと、詠唱も唱えるから」

「あんまり魔力が大きすぎますと大変ですよ?まぁ、分かりましたけど」

「無理するなよー」


二人はナルフェと戦い始めた。僕はディの手足に魔力を送った。すると、ディの手足の周りが魔力で覆われた。それをディが見た瞬間、ディは二人の元へと向かった。

まったく、お礼も無いんだからっ!……僕が詠唱を唱えるときはかなり大きな魔法を唱えるときだけだ。倒れなきゃ良いんだけど。ん?そうだ!コリュとフェルに手伝ってもらおう!

僕はコリュとフェルに協力を要請した。二人とも頷いてくれた。ちらっと三人を見た。ちょっと苦戦している。もう少し頑張って……!


「じゃあ、いくよ!」

「えぇ」


僕は詠唱を唱え始める。コリュとフェルは僕にどんどん魔力を送ってくれる。

僕は間違えないように早口でどんどん詠唱を言う。僕の周りに魔力があふれ出す。それがどんどん大きくなってディ達にも届いた。そしてここに居る全員を包み込んだ瞬間、僕の魔法は発動された。


「ペクティス!」


僕はもう立てなくてその場に座った。周りを見た。

ディ、ナイト、華僑の三人は力がみなぎった様に元気になっていく。逆にナルフェはどんどん弱っていく。


この魔法は魔石に直接関与する魔法だ。まぁ、結構難しいし、魔力を凄い消費するけど。ナルフェの魔石から奪った魔力を三人に送る。特にディは同じ格闘系だから一番力がみなぎる。

格闘系の魔石には動きを良くする魔力が篭められている。だから今三人は凄く動きやすくなったはずだ。んで、ナルフェは動きにくくなったはず。補助魔法の一種かな。これ。


「き、貴様等ァァァ!!俺に何をしたぁ!君達は本当に悪い子だ!」

「まだ言ってんのかよ。さて、これでテメェの負けは決まったな。覚悟しろ」


ディが言い終わったと同時に三人はナルフェとの決着をつけた。

僕はフェルに魔力を貰っている。……あれ、二人から魔力を全部取るつもりでいたんだけどなぁ。どれだけあるんだろう。この子。僕の倍以上?それとも底なし?まぁいいか。

三人が僕のところに戻ってきた。と、華僑が刀の切っ先をコリュに向けた。


「お前、全部説明しろ。いや、それよりも空のヒビを止める方法を教えろ。それから全部話せ」

「え、えぇ。放すから刀下げて頂戴。あのヒビをとめる方法はほぼ無いわ。遅かったのよ。でも、手立てが何も無いわけじゃないわ。一人の人形の魔力を全てかけてなんかの魔法を唱えれば止められる筈よ。でも、全てかけるから死ぬわよ。第一その魔法をあたしは知らないわ」


皆は黙った。もう、何も出来ないと知って。いまきっと、皆は絶望に包まれているんだろうな。何のために此処まできたのかってね。でも僕は思わなかった。その魔法を知っているからだ。

ただ、死ぬのが怖かったから使わなかった。知らない振りをしていた。でも、もうダメだ。僕がやらないと……!


「じゃあね、皆。楽しかった。僕がやるよ。知っているもん。その魔法。じゃ、バイバイ」

「おい!ルイ!」


華僑が僕を呼び、


「お嬢様!?」


ナイトが止めようと僕の腕を掴み、


「待てよ!」


ディがぼくの前に立った。僕は何も言わずに二人を払い、ダッシュで城を出た。

僕は泣きながら魔法陣を宙に画く。ヒビを止める魔法は超高等な召喚魔法。異世界の神を呼び出す魔法だ。

……あぁ、遠くからみんなの声が聞える。あ、ディが死ぬなって言っている。僕だって死にたくないよ。でもね、皆が死ぬんだったら僕が死ぬよ。


サラ、いっぱい歌を教えてくれてありがとう。最後に会ったのがあの状態でゴメンね。


アーマ、君とは最初敵だったね。でも、楽しかった。またどこか出会えたら悪戯しようね。


華僑、いつだったか君に助けられたね。あの時、華僑がいなかったら僕はいなくなっていたかも。ありがとう。


ナイト、いっつも僕に付きまとってちょっとウザかったけど、でもいっぱい助けられた。色々教えてくれた。死に行く僕を止めてくれてありがとうね。


ディ、君と過した時間が一番長かった。始めて会った時は嫌な奴だと思ったけど、今は凄く良い奴だと思っているよ。誰よりも僕を助けてくれて、皆を思って、一番仲間思いだったね。……お別れしたくないな。


魔法陣が書き終わった途端皆が城を出た。三人の顔を見た瞬間僕は泣いた。

でも、ニッコリ笑って、


「ありがとう。さようなら。……時空の神よいま、この世界と異世界をつなぐ道を塞げ。ディフェレント!」


僕の魔力がどんどん吸い取られていく。魔石から取られていく。最後に見たディは泣いていた。

――バイバイ、皆。大好きだったよ。

次回、最終回

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