十四話
城に入り、そこで出会ったのはボロボロのルイとコリュだった。
何故かルイはコリュを助け、コリュも俺たちに助言をした。華僑もナイトも状況が分からない。
そして、怪我を治そうとナイトが魔法を唱えるものの、発動されなかった。ここは魔法が無効化されるらしい。
ふと、俺はフィルを見た。フィルはルイをじっと見つめている。ルイもフィルを見ていた。と、フィルが光った。
途端に二人の怪我が治った。ルイはフィルに笑いかけた。
「ありがとう、綺麗な鳥さん」
ルイは、そのままフィルに近寄ってフィルを撫でた。気持よさそうにしている。
「おい、テメェ知ってるのか?つーか、コリュ、オメェは何なんだ」
「……詳しい説明は後よ。ルイありがとう。とにかく、お逃げなさい。死ぬわよ。ボスは狂った。もう、誰にも止められない。あのヒビも止められない。手遅れよ」
「どういう……っ!危ない!」
ナイトが聞こうとした途端、コリュの身体が吹っ飛んだ。それを華僑がキャッチした。ナイス。
コリュがいたところを見ると、そこにはフランケンシュタインのデカイ人形が居た。
おそらく俺と同じ格闘系だな。パワーは俺より強ぇ。もしかして、あれがコリュの言っていた『ボス』か?
「ダメじゃないか。悪い子にはお仕置きだよ。さて、君達はなんだい?この俺を止めようとしてきたのか?この魔力が使えない場所で?無理だな。さぁ、無断進入した悪い子にはおs…プギャ!」
「悪ぃけど、喧嘩はヨーイ、ドンじゃねぇんだよ。魔法が使えなくたって俺達は戦えるぜぇ?」
俺は顔に思いっきり蹴りを入れてやった。それを見た華僑とナイトが一斉に攻めた。
ルイとフィルはコリュの所へ向かった。また、フィルが治している。何で魔法が使えるんだ?
「……滅多切り」
「そのままですね。私だったら剣の舞とでも言いましょうか」
「ナイトもそのままの名前だな」
「貴方もでしょうが」
華僑が休む暇もなく連続で『ボス』を斬りつけていった。ナイトも同じようにした。
……随分余裕だな。俺はすげぇ嫌な予感がする。何なんだよ……?
そして、二人の攻撃が一瞬止まった。その隙に『ボス』が反撃をする。二人の身体が遠くに吹っ飛んだ。
「ナイト!華僑!……!?」
俺は『ボス』を見た。傷が一つもない。しかし、二人の攻撃は当たっていた。俺の蹴りも当たった。
傷一つ付いちゃいねぇ。んだよコイツ。無敵か?いや、無敵なんていない。
これか、嫌な予感ってのは。
俺は一旦引いた。攻撃しても意味が無いからどうするか考えるが、何も浮かんでこない。
「ボス、いえ、ナルフェは魔法でしか攻撃が効かないのよ……!でも、此処は魔力は使えないの」
「じゃあ、無理じゃねぇか!テメェ、魔法隊の隊長だろ!魔法系掻き集めて一斉に使えば何とかなるだろうが!」
「無理よ。もう、皆いない。犠牲になったのよ。……!危ない!!」
コリュが俺に忠告した途端、俺の身体も吹っ飛んだ。
「うっ…あっ……!」
「ディ!……!?鳥さん!?」
薄れ行く意識の中、最後に見たのはフェルが今までよりも一番強く光ったことだけだった。