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十三話

ピシっ、ピシピシピシっ!

宿の私達が取った部屋のテーブルの上に置いておいた卵がとうとう孵化するらしい。

卵には無数のヒビが入り始めた。私はすぐにディと華僑を呼んだ。


ずっと見ていると光った。目を閉じ、また開けるとそこには緑と水色を混ぜたような綺麗な色を主な色とした綺麗な鳥が居た。その色はオーロラを思わせる。

頭から背中は色があり、足の方は白。尻尾はそれなりに長く先っちょがくるんとしている。

なんというか、美しいとしか言いようが無い。鳩よりも少し大きいぐらい。

その鈴とした姿は何故か、私は神を思わせた。神々しい。

この世界に神はいないはずだ。それなのに何故私はそう思う?


「すっげぇ……。これって本当に人形なのかよ?」


ディがそう言い、鳥に手を伸ばした。鳥はディを見つめて動かない。

ディの手は鳥に触れた。


「……絹か?これは。とにかく俺たちを作っている布よりもすげぇ高価なもんだと思う。天使系と見て間違いないと思うぜ」

「ふーん。そういや、孵化したら獅兎に見せる約束だっけ」

「えぇ。行きましょうか」


再び獅兎の元へと向かった。

獅兎を呼び、鳥を見せた。すると、獅兎は珍しくいつもの表情を崩した。


「凄い。お前達、凄い。心、綺麗。鳥、綺麗。名前、お前達、つける」

「端からそのつもりですよ。フィルです」


三人で考えた名前。

……ネーミングセンス無いとか言わないで下さいよ。


「そう、フィル。良い。凄く良い。北、ずっと北、ルイ、いる。早く、行け」

「あぁ。サンキュ」

「ありがとう」

「分かりました。では」


私達はまた宿に戻り、身支度をしてすぐに出発した。フィルはディのフードの中にすっぽりと納まっている。

馬に跨り、走らせた――。


途中、何度も何度も敵に出くわした物の、全て倒し、北へ北へと進んだ。

そして、空が時空のヒビでいっぱいになった頃、とうとうお嬢様がいるであろう城についた。

フィルはその間ずっと成長してきた。もう今は羽を伸ばすと1mはあるであろう巨鳥に。恐らく一人ぐらいなら乗せられるであろう。しかし、美しさはさらに磨きかかった。


「おい、あれ見ろよ。魔石が……」


ディが指差す方向を見ると魔石が空に昇っては砕けて、昇っては砕けて……。藍色の魔石に茶色の魔石、銀色の魔石に水色の魔石、白の魔石に黒の魔石……。魔法、格闘、武器、音楽、天使、悪魔だろう。


もう、私達の真上の空はヒビなんかなどではなく、もう異空間が見えていた。

異空間を見た瞬間私はヒザから崩れ落ちた。

――あれは気味が悪いなんて物じゃない。頭が狂いそうだ……!

べシィ!誰かが私を殴った。


「しっかりしろ、ナイト。お前、発狂するつもりかよ」

「す、すみません……。って、ディと華僑は平気なんですか?」

「フィルが守っているらしい。お前も来い」


私はフィルと一番遠い。だからか。フィルの魔力が私まで届かないみたいだ。

……にしてもでかいですね。もう、ディの身長超えてますし、私と同じぐらいですかね?

そのまま私達は城の中へと入っていった。


気味悪い。瘴気が強いというかなんと言うか……。フィルが居なかったら平常心ではいられませんね。これ。お嬢様は無事でしょうか。

ずっと歩いていく。しかし、誰も居ない。罠か?しかし、足を止めるわけにもいかず、そのまま歩いた。暗い廊下の遠くに誰かがいる。二人だ。後ろにもいる。


「誰だ?テメェ」


その人形はゆっくり私達に近付いて来た。私達は戦闘準備をする。

帽子をかぶっていますね。魔法使いでしょうか。シルエットがお嬢様と似ている……いや、あれはお嬢様だ。誰かを引きずっている。


「ルイ!大丈夫か!?」


華僑が声をあげた。

お嬢様はもっと近付いて顔を上げた。その目の下には隈があり、疲れ果てている。服も帽子もボロボロで怪我もしている。

お嬢様が引きずっていたのはあの、コリュだった。彼女はお嬢様よりも怪我が酷い。


「たす、けて……!」

「っ~、リュア!」


私は回復呪文を唱えた。しかし、発動されない。何故?


「ハァハァ…、こ、此処は、ま、りょく、が、無効、化され、るの、よ……!」


まだ喋れたのか。コリュが説明した。

……何故私達に味方するような発言を?彼女は敵ではなかったのでしょうか……。

分からない。何が起こっているんだ……?

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