十二話
またサラ達と分かれて3日。元々ナイトが居たと言う城に着いた。
ナイトは体中をマントで覆い、フードを被った。
ディも始めに貰ったマントをつけていた。そして、フードをルイみたいに深く被った。
二人とも似ている格好。
「私達は基本喋りませんからね。むしろ喋りたくないです。ディと私の素性は知られています。華僑、貴方だけが頼りなんですよ」
「はいはい。で、どうすれば良いんだ?」
「城に入ったら適当な兵士に獅兎を探していると言って下さい。多分つれてきてくれます」
「分かった」
俺達は城の中に入った。
城下町は城の中にある。だから街の人は安心して暮らせるらしい。治安も良く、住みたい街ベスト3に入っているほどだ。ミワ王国って言っていたな。
随分賑やかだなぁ。大きな道の両端には色々な店があり、その奥には集合住宅。見回りの兵士と街の人が笑顔で挨拶したり、小さい人形とぶつかっても兵士は笑顔で助けている。兵士だけじゃない。柄の悪そうな近衛兵も悪いことをしていない。キザっぽい騎士も居る。
……そうか、此処の騎士はみんなキザになるのか。ナイトも例外じゃなかったのか。
俺は適当な兵に獅兎について聞いた。すると兵は城の奥へと案内してくれた。
着いた部屋は魔法陣が多くいかにも魔法を研究しています的な場所だった。兵はその奥に行って呼んできてくれた。
兵と一緒に出てきたのは獅子とウサギを足して2で割ったような人形。
兵は部屋から出て行った。
「はじめまして。赤髪。自分、何か用?」
「貴女に頼み事があってきました」
と、ナイトとディがフードを取った。
獅兎はそこまで驚いた様子ではなく、むしろやっぱりと言う雰囲気だった。
「力のある天使系を探しています。探してくれませんか?」
「探すのはヤ。でも自分、天使の卵持ってる。孵化する。きっと力なる。でも、お前達、悪、心持つ。力なくなる」
変な喋り方だな。理解しにくい。
と、ディが
「つまり、俺たちが悪しき心を持っていなければその卵から生まれた人形は俺たちの力になる、と」
「そ。まってて」
ととと。小走りで奥に行って何かを持って戻ってきた。
手にあるのは、銀の細い針金で作った物の上に綺麗な緑色の羽のある卵。すごく、綺麗でずっと見ていたいほどだ。
ん?卵??卵から生まれる人形なんて聞いたこと無いぞ。
「そう、特別。これ、特別。……名前」
「獅兎は心が少し読めるんですよ。と、この人形は華僑です」
獅兎は俺を見た。俺の目を。
心が読める、か。凄いな。そして、ナイトたちは何でコイツの言うことを理解できるんだ。
「華僑。良い。卵、2,3日」
……お願いだからもう少し分かりやすく喋ってくれ。
俺には理解できない。
「お前、失礼。ルイ、どこ。……ウィット?あぁ、そういうこと。わかった。これ、やる」
そういって何かを取り出した。小さなわっか。一箇所だけ宝石みたいな七色の石がある。これも綺麗だ。
にしてもさっきの一瞬で俺たちの心を見て状況を把握するって凄い。ふと獅兎を見ると勝ち誇ったような表情だった。
……あまりさっきから変わってないけど。
「孵化する。それ、つける」
つまり、孵化した人形にそれを付けろと。
よし、少しは理解できるようになったぞ。
「サンキュ。じゃあ、俺達は街の宿屋に孵化するまで滞在するか。それから出発だな」
「ダメ。ナイト、残る。皆、待っている。帰ってきて」
「嫌です。先に言っておきます。もし誰かが私を連れ戻そうというならその人形を倒しますので」
そのままナイトはフードを被った。ディも被った。卵は俺が持っている。
獅兎は少し寂しそうな顔をして奥に消えて行った。