十一話
「僕、ルイを追いかけるよ。この中で一番動けるのは僕だもん」
ルイが出て行ってから、俺達は話し合った。
アーマが椅子から立ち上がりそう言った。
俺はふと窓の外を見た。すげぇ街が壊れていてほぼ廃墟と化している。
「ですが、貴方はあのヒビから来る魔力に弱いですよ。近づいた途端動けなくなります」
アーマは不満な顔をして座った。
世界と世界の間には異空間がある。その異空間は者によっては害となる。俺たち魔道人形は天使、悪魔系に当たる。
先に言っておくが、天使、悪魔系は貴重で色々他と違うんだ。
「誰か知り合いに天使系が居ないのか?」
俺はナイトをじっくり見ながら言った。
誰といいながらナイトに質問した。
「何故私を見るのですか」
「てめぇは良く女といるだろーが」
そう、ナイトは遊び人。まぁ、最近は収まってきたが。
街に行っては女に囲まれて遊ぶ遊ぶ。
「否定はしませんよ。まぁ、心当たりが無いわけではないですよ。でも、戦闘に全員向いていないですよ?」
勿論その女の中には天使系もいたはずだ。
「ちっ、使えねぇ」
「そりゃそうですよ。……ん?あの人形なら何とかなるとは思いますよ」
ナイトが顎に手を添えて言った。
「誰?」
「私の元同僚ですよ、華僑。勤めていた城の魔法系。彼女はお嬢様に匹敵出来るほどだった筈です」
それはかなりの凄腕だ。
ルイは知っての通り、この世界で一番の魔法使い。それに匹敵するということはかなりの使い手だ。
「でも、ナイトはその城に行きたくないんでしょ?」
アーマが両肘を付きながら聞いた。
ナイトはいつの間にか頬杖をしていた。
「当たり前じゃないですか、アーマ。ところでサラは何時まで黙っているのですか」
「んー、ちょっと考え事。あ、私はルイの所に行かないわよ。そのかわり、ウィットについて調べてあげる。アーマと一緒に」
サラはニッと笑った。
と、華僑が普段は見ない心配そうな顔をしてサラを見た。
「大丈夫か?」
「平気よ。華僑は心配性なんだから」
「「「(そう思わない)」」」
もうっ。とか良いそうな雰囲気だ。
あー。うぜぇ。そのラブラブムードを如何にかしろ。
俺はそれを壊すように今出されたことを纏めた。
「よし、少し纏めるか。俺とナイト、華僑はナイトが居た城に向かってから、ルイの元に。サラ、アーマは身の危険が及ばない程度にウィットについて調べる。これで良いな?」
俺は全員の顔を見た。
さっきまでそれなりにいつものほんわかムードだったが、もう、キリッとしている。
「ディが仕切っているのが嫌だけど僕は賛成」
「私も異論は無いです」
「俺もだ」
「私もよ」
「じゃあ、決定。行動するのは明日にするか」
俺はアーマを思いっきり睨みつけてから最期に言った。
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『ボス、ルイを連れてきました』
『おぉ、でかしたぞ!コリュ』
『あたしの方で準備を進めておきます。いくわよ、ルイ』
『……(皆…、僕の身勝手な行動を許して)』