第7話 旅の始まり(3)
「悪者......退治? 」
「なんじゃ? おぬしは国を救うためにわしを訪ねてきたんじゃなかったのか? 」
状況が呑み込めていない私にアムールが再度問いかけてくる。
「い、いえ......。力を貸していただけるんですか? 」
「当たり前じゃろ。助けを求めているやつを放っておくことなんてしたら僧侶を名乗れんからのう。
それに、ここでおぬしについてかなくても、いずれ邪魔者としてわしを消しに来るだろうし......」
私は、己の無知を深く恥じることとなった。彼らを英雄たらしめている正体、その核心を、今ようやく理解したのだ。
彼らは、選ばれた英雄として救済を行っているのではない。救いを求める手に、ただ愚直に応え続けてきた。その献身の積み重ねが、彼らを「英雄」という高みへ押し上げたのである。
「で、おぬしはどうする? 決めるのはおぬし自信じゃよ」
そんなこと、もちろん決まっている。決まっているが......。
「う......くぅ......お、おねが......お願い」
涙ばかり出てうまく言葉が出てこない。
私が胸を詰まらせていると、頭に手が乗せられる。
「ここまでよく頑張ったな。」
―――その一言を聞いた瞬間、押し殺してきた心が涙と共にあふれ出てきた。
一度あふれ出したものは留まることを知らなかった。
私は自然とアムールの胸に頭を預けひたすら泣きじゃくった。
広い草原に一人の少女の声が響き渡った。
***
(この距離はまずい! しかし、転送魔法も間に合わない......)
刹那の瞬間、私は脳にあるすべての細胞をフル稼働させ、思考する。
今この瞬間にも、アムールの魔法が放たれようとしている。
(......クソ! 一か八かやるしかない! )
腹をくくったことを見せつけるかのように、右手の剣を握りしめる。
そして、固く握りしめた剣をアムールの左腕に勢いよく振り下ろすと同時に、左手では一つの宝石を砕く。
そして爆風と共に私の身体は少し離れた拠点へと転移した。
―――「アプロ様!? ご無事でしたか! 」
一人の部下が私のそばに駆け寄ってくる。
「ええ......」
「中央のアプロ様がいる場所辺りからものすごい業火が上がってましたので、何か良くないことがあったのではないかと......!!! 」
部下が私の身なりを見て驚愕する。
鎧は焼かれ、魔法が直撃した部分の皮膚は爛れていた。あちこちの傷が口を開き、鮮血を迸らせていた。
「い、いったい何が......」
「少し体を焼かれてしまいましてね。......なんとか、奴の左腕を切り落として、命からがら離脱してきたというのが現状です。」
(あのアプロ様がここまでの負傷を負うとは......。なんて奴らだ)
部下の表情に不安が宿る。
私は不安を和らげるように、言葉を発する。
「しかし、奴も左腕を失ったの誤算だったはず。今から全勢力をもって―――」
瞬間、私の脚から感覚が消えた。そして、入れ替わるように、体中を針で刺されてたかのような痛みが私を襲った。視界は歪み、次第に意識さえ保てなくなった。
「~~~様! ~~~~か~~」
次第に部下の叫ぶ声も聞こえなくなり、意識を失った。
その日、私は撤退を余儀なくされた。
読んでいただきあっざす!
次回もオナシャス!




