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第17話 終わりの始まり

 建物はすべて木造で建てられており、目立って大きい建物はない。基本的に大少にかかわらず、教会があるのだが、この村には存在しておらず、近年でも稀にみるほどの小集落のような場所だった。

 村には若者が少なく、高齢者が多い。万が一襲われたら村を守ることすら危ういだろう。

 アムールは、村に行くたびに簡単な獣よけの結界を張っていたため、今回の出来事はどうにも不自然な状況なのであった。


「家の外壁にも特に目立った痕跡はないのう」


 アムールが外壁を触り確認を行っていると、家の中からシェリの声が突き抜けてきた。どうやら、自分より先に中へ足を踏み入れていたらしい。


「アムール! こっちに来て」

「なんじゃ。何か見つけたのか」


 アムールは周囲の警戒をしながらドアノブに触れる。


「......」


 ふと、握った手から違和感を覚える。

 ドアノブに触れた瞬間、アムールは二つの異なる魔力の残滓を拾い上げのだ。一方は紛れもなくシェリのものだ。だが、もう一方はどうだ。アムールほどの研ぎ澄まされた感覚をもってしても、それが誰の魔力なのか、正体を暴くことは叶わなかった。


「なんでドアノブ握ったまま止まっているのですか?」

「いや......なんでもない」


 シェリの声に気付かされる。

 アムールは今一度心を引き締めるとドアノブを捻り、家の中に足を踏み入れていった。


 家の中は外と同じように争った形跡がなく、明かりがついていないことと、人がいないこと以外は何ら普通の家であった。


「それで、何か見つけたのか?」

「こちらを見て下さい」


 シェリに服の裾を引っ張られながら奥へと足を進める。

 すると、ほのかに香ばしい匂いが鼻腔を刺激しだした。香りをたどり目線を動かしていくと、テーブルの上には2つのスープと食べかけのパンが置かれていた。


「これは......」


 アムールが恐る恐る近づいていく。テーブルの上のスープからは、まだ柔らかな湯気が立ち上っていた。つい数分前まで、誰かがここで食事をしていたに違いない。


「変じゃないですか? このスープもパンも......まるで誰かがさっきまで食べていたような状態で置かれているなんて」


 シェリがおびえる横でアムールは眉にしわを寄せていた。

 なぜなら、彼の中で一つの恐ろしい事実が確証を帯びようとしていたからである。


「シェリ。お主、先の戦いを仕掛けてきた『アプロ』という騎士とは面識がないのよな?」

「え、あ、はい。お城の中の衛兵たちとはよく遊んでもらっていたりしましたが、彼のような方は見たことも聞いたこともなかったです......」

「そうか......なるほどな」

「あの......何かわかったのですか?」


 シェリの疑問には答えることができなかった。

 もしもこの仮説が真実を射抜いているのだとしたら、彼女の心に更なる深い傷跡を刻むことになる。それだけは、何としても避けなければならなかった。


「いや......何でもない。ただの思い違いじゃ」


 アムールはシェリの返事を聞くことなく家の中を再び探索し始めた。

 その顔は、石のように固く、険しい表情であった。

豆知識

アムールは最近、本を読むとき目を凝らすことが多くなったぞ!


読んでいただきありがとうございます!

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