5.面接開始
あれから半年が経った。
この半年間で事務所設立と裏方をしてもらう社員を雇ったり応募してもらった履歴書などを確認したりと慌しい日々だった。
事務所は初めはあまり人がいないので30人くらいが作業出来るくらいのオフィスを借りた。
応募の方はまさかの1000人超えの応募数だった。
この1000人くらいから100人まで絞って面接をする。
日程は1日に10人ずつの10日に分けて行う。
1人1人きちんと話を聞きたいと思い1時間くらいを予定している。
実は書類選考の段階でほぼ採用予定の人もいる。
実際に会って話してみないと実はやばい人だったとかもあるかもしれないので確定ではない。
「いよいよ明日から面接かぁ。
もしかして推しもいたりして?なんちゃって」
わずかな希望を持ちつつ面接の日を待った。
当日
今から1人目の面接が始まる。
コンコンコン
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのは20代前半の身長が高めで茶髪の爽やか系イケメンだ。
「本日はよろしくお願いします!」
陽キャのオーラを感じる。
椅子の横まで進んできた。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
五十嵐理玖と申します。
よろしくお願いします。」
「どうぞお掛けください」
「失礼します」
面接らしい質問をしていくことにする。
「まず志望動機を教えてください」
「はい、志望動機はVtuberというまだ世間に普及していない状態から広めていきたいという御社の考えや高い壁に挑戦するところに感銘を受けました。
自分も曲を作って動画を投稿しているのですが万人受けするような曲ではなく聞き慣れてないようなリズム感などを取り入れた曲に挑戦してるので御社の新しいことに挑戦する姿勢が重なっていると思ったので御社で頑張っていきたいと思い志望しました。
所属できたらまだ音楽家の卵ですが楽曲提供ができたらと思います。」
面接官をするのは初めてなので素人目線だとすごく真面目に見える。
履歴書に目を落としさっそく1番聞きたかったことを聞くことにした。
「動画投稿をしているようですが活動名をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「はい、活動名はRIKUって名前でやっています」
履歴書にこの名前で活動していることを書いているのを見て驚いた。
今はまだ登録者3万人くらいの音楽家の卵だがRIKUとは未来の有名ボカロPなのだ。
今から1年後くらいに彼の代表曲が出るのだが1年足らずで1000万再生され11年後には2億再生を記録し新曲を出せば1000万再生をぽんぽん出すくらい人気になるのだ。
推しが所属していたVプロに曲を書き下ろしたりもしていたので彼の曲は聴いていた。
今の時点で採用は決まっているがせっかくなので未来の大物がどういう人かを知りたいのでいろいろ質問をしていく。
いろいろ聞いてみたが正直、この人には頭が上がらない気がする。
未来とはいえ彼の曲のファンだったこともあってこんな人が俺の事務所に所属していいのか?って思うほどだ。
「最後の質問になりますが他にも受けている事務所があったりしますか?」
「いえ、ここだけしか受けていませんし受ける予定もありません」
彼の言葉を聞いてお世辞かもしれないがここまで言ってくれてすごく嬉しい。
「最後に質問があったりしますか?」
「1つだけあります」
「どうぞ」
「仮に所属が決まったあとも今の活動を続けていいですか?」
「もちろんです。やりたいことを支えるのも事務所の仕事だと思うので続けてもらっても大丈夫です。」
「ありがとうございます」
彼には彼の活動をこれからも続けて欲しいしもちろん支援は惜しまない。
「これで面接は終了したいとおもいます」
「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました」
彼はドアまで歩いていった。
「失礼いたしました」
彼は部屋を出ていた。
「1人目からすごい人が来たもんだ。
始まったばかりなのになんか疲れたな」
この後も順調に進んでいき1日目が終わったのだった。




