17.ついにバレてしまった
琴莉がまさか来るとは…
いや1番心配していたし一緒に家に行きたいと言っていたのだから来てもおかしくなかった。
「凪咲ちゃん体調が悪いのにどこかに出かけるの?いるものあるなら代わりに買いに行くよ?」
琴莉は疑問よりも心配の方が勝ってあまり気にしていないようだ。
「あ、えっとそうね、ちょっと買い出しに行こうかなって」
凛音はこの状況に困惑しながら答えた。
「じゃあ私が買い出し行くから家で待ってて。何が欲しい?」
「えっと、スポーツドリンクとレトルトのお粥とうどんをお願いしてもいいですか?」
「わかったよ!じゃあ家で待っててね!」
そう言い琴莉は買い出しに行ってしまった。
「話を聞いていましたがどうします?僕の家で待ってますか?」
「正直に言いますと美礼ちゃんにバレますね。美礼ちゃんは1回、私の家の中に入ったことあるので如月さんの家に上げてしまうと違う家だと気づきます。」
「まじですか?」
(まさか凛音の家に来たことがあるとは…)
「なんとか家に入れずに帰らせることってできないですよね?」
「玄関で物を受け取って終わりなら大丈夫だと思います」
「それでなんとかするしかないですね」
「仮に美礼ちゃんが帰らなかったら…」
「詰みですね」
とりあえず俺の家に入り琴莉が帰ってくるのを待った。
ピンポン。インターホンが鳴った。
「なんとか家に上げないようにしますね」
「お願いします」
凛音は玄関に向かって行った。俺はドア越しに2人の会話を聞く。
「はい」
「買ってきたよー」
「ありがとうございます。これを食べて休みますね。」
凛音は不自然がないように帰らせようとしている。
「じゃあ私が用意するから出来るまで待ってて」
だが琴莉は純粋に凛音を休ませようとしているみたいだ。
「いえ、風邪を移すと悪いので大丈夫ですよ」
「凪咲ちゃんがちょっとでも休めるようにお手伝いしたいな」
見えてないけど上目遣いで言っている姿が想像できる。
「ですが…」
「私は凪咲ちゃんに早く治って欲しいのだからね?」
「えっと…」
凛音は琴莉の押しには弱いみたいだし琴莉が善意で言っているのが分かるだけに申し訳なくなってきた。
(ここらへんが潮時かな)
「小鳥遊さんもう隠すのは辞めましょうか」
「如月さん…」
「え、なんで如月さんがいるの!?」
2人の反応はそれぞれだ。凛音は諦めの顔をしているし琴莉はとてもびっくりしている。
「八乙女さん説明するのでとりあえずリビングに来てもらってもいいですか?」
「分かりました」
2人ともリビングにきて椅子に座った。
【・・・・・・・】
(沈黙が気まずい)
「とりあえず部屋を見ての通りここは小鳥遊さんの家ではないです。ここは僕の家です。」
「はい。リビング入った時からそうじゃないかなって思っていました。」
「どこから話しましょうか」
「じゃあここは私が」
凛音が説明をするようだ。
「まず私と如月さんが同じアパートに住んでいる理由は私が如月さんに配信環境がいいアパートがないか聞いたところから始まります。」
「・・・・・・」
琴莉は黙って聞いている。
「如月さんが住んでいる所なら配信環境が確実にいいので空き部屋がないか聞いた所、空いていると教えてもらったのでここに引っ越してきたの」
「じゃあ結構前から仕事以外でも2人は関係があったってことですか?」
「まぁそうですね。ですが隣人になったからと言っても関わりはほぼありませんでした。」
「私たち以外でこのことを知っている人っているんですか?」
「いないです」
「美礼ちゃん黙っていてごめんなさい」
凛音は深々と頭を下げた。
「凪咲ちゃん頭を上げて。私も謝らないといけないことがあるの。」
「え、どうして?」
まさかの返答に凛音は驚いている。
「私、2人が付き合っていると正直思っていたの」
(なんでそう思っているんだ?俺と凛音は仕事では業務連絡とかしかしてないのに)
「私、追いかけて見てたんだよね。2人が駅近くで男達と揉めててそのあと個室の飲食店に入っていく所。2人を見つけてストーカーぽいことしてしまってごめんなさい。」
あの日のことを見られていたようだ。
「そうだったんですね。正直に言ってくださりありがとうございます。」
「あの信じてもらえるかは分かりませんが八乙女さんが見たあの日は確かに小鳥遊さんとご飯を食べに行きました。ですがあれは初めて2人で行ったんです。」
「そうなんですか?」
「そうです。なので僕たちは付き合っていないです。それに僕はメンバーに手を出したりしませんし恋愛もする気はありません。」
これを言った途端、凛音の顔が暗くなったのは気のせいか?
「分かりました。信じます。疑ってしまってごめんなさい。」
「こちらこそ黙っていてすみませんでした」
お互い謝って話が終わったと思ったが
「話は戻るんですがなんで凪咲ちゃんは如月さんの家に居たんですか?」
(おっと気づいてしまったか)
気づかれたくなかったから微妙に話をずらしていた。
「それはですね、僕が小鳥遊さんの家に行ったら出てきたのはいいのですが小鳥遊さんが無理に動いて出てきたのですぐ倒れてしまって僕が勝手に家に上がるわけにもいかなかったので僕の家に連れてきました。」
「それはしょうがないですね」
琴莉はチラッと凛音の方を見た。
「ちなみに凪咲ちゃんを運ぶ時おんぶしました?それともお姫様抱っこですか?」
琴莉はニヤニヤしながら聞いてきた。
「それは黙秘権を行使します。」
お姫様抱っこで連れてきたことは黙っておく。
凛音を見ると恥ずかしそうにしている。
「説明も終わりましたし私たちは帰りますね」
「そうですね。付き合わせてすみません。小鳥遊さんは帰って寝てください」
「じゃあ私は予定通り凪咲ちゃんのご飯の用意とかしますね」
そう言って2人は部屋へと戻って行った。
戻ってきた2人は凛音の部屋に入った。
「凪咲ちゃん、如月さんのこと好きでしょ?」
凪咲は顔を赤くして美礼の方を向いた。
「なんでそう思うのですか?」
「だって如月さんがメンバーと恋愛するつもりはないって言った時、露骨に顔に出てたよ」
凪咲はそっぽむいてしまった。
「凪咲ちゃんって如月さんにどう運ばれたら嬉しい?」
「黙秘権を行使します」
「あーあー2人ともつまらまいよー!」
「うるさいですよ」
凛音は恥ずかしそうにしている。
「私は応援するよ、その恋」
「え?」
「たぶんだけど凪咲ちゃん、それ初恋でしょ?」
「はい」
「実るといいね」
「頑張ります」
2人はここで本当の友達になった。




