16.看病
年末年始の企画配信は大きな盛り上がりを見せ大成功に終わった。
特に盛り上がったのはプロゲーマーがいるNexus相手にFPSで翠がいい勝負をしてしまいこんなゲームが強いアイドルがいていいのかよとツッコミを入れながら視聴者は楽しんで見ていた。
1月に入り寒さも増す時期になった。
風邪も流行る時期になってきたなぁなんて思っていたら凛音が風邪を引いたのだ。
そして今、目の前で凛音が寝ていて俺は横に座って看病しているのだ。
どうしてこんなことになったかは朝に遡る。
今日はNoxlunarisの新曲の収録日でスタジオに集まっているのだが凛音だけ時間になっても来ていない。
「いつも10分前には集合場所にいるあの凪咲ちゃんが来てないなんて珍しいね」
「とりあえず電話してみるね」
そういい瑠奈は凛音に電話をかけ始めた。
・・・・・・・
「出ないなー」
「僕も掛けてみます」
・・・・・・・
翠も掛けてみるがやっぱり出ない。
「電話にも出ないなんて何かあったんじゃないですか?」
「そうだよ!何かあったかも」
みんな心配そうにしている。
「とりあえず今日は録れるところをやりましょう。心配ですから今から家に行ってきます。」
「じゃあ私も行く!」
琴莉はついて行きたいようだ。
だが彼女の家の隣は自分の家なのでバレるとまずいが断るのも何か勘繰られるかもしれない。
「美礼は今から収録でしょ」
瑠奈が止めに入った。
「でも心配だもん」
「如月さんが行ってくれるんだから仕事をしなさい」
「はーい」
「それでは任せました」
「はい」
俺はそう言いスタジオを出た。
家に着いたのでインターホンを押してみる。
・・・・・・・
返答がない。もう一度押してみる。
・・・・・ガチャ
「はい、あれ如月さん?」
「大丈夫ですか?収録に来られてなかったですし電話にも出られないので心配で来ました」
凛音が出てきたが明らかに体調が悪そうだ。
「すみません。連絡もなしに。ご迷惑をおかけしました。」
「いえ、それは大丈夫なのですが風邪ひいてますよね?」
「あー確かに頭痛がしますし体がダル、く、て」
まだ話している途中だったが限界だったのかこちらに倒れてきた。
「大丈夫ですか!?」
返答がない。
(まじか!?どうしよう?運ぶしかないけど勝手に部屋に上がってもいいのか?それとも自分の家で寝かせた方がいいのか?でも男の家に連れ込むのと同じだし)
脳内で考えに考えを重ねた結果、自分の部屋で寝かせることにした。
お姫様抱っこをして自室まで運びベッドに寝かせた。
(持った時、体が熱かったから冷えピタでも貼っとくか)
念の為、買い置きしておいたのがここで役に立った。
(あとは起きた時に食べれるようにお粥でも作っとくか。それとみんなに連絡しておかないとな)
連絡を入れたらみんな安心したようだ。
諸々が終わり本を読んで起きるのを待っていたら凛音が目を覚ました。
「あれ?ここどこ?」
どこかわからないようで周りを見ている。
「僕の家ですよ。話していたら急に倒れたので家に勝手に入られるのは嫌かと思いまして僕の家に運んだんです。」
「そうなんですね。ありがとうございます。」
「いえいえ。それよりすみません僕の布団に寝かせてしまって。予備があったら良かったんですけど」
「こちらこそすみません。迷惑をおかけしてしまって。ただでさえ仕事も連絡もしないで休んでしまいましたし。」
「今回は仕方がないですよ。仕事はなんとかなるので大丈夫ですが皆さん心配していたので連絡だけ入れてあげてください」
「分かりました」
そう言いすぐメッセージで送っていた。
「そういえば今、ご飯って食べれますか?薬飲む前に何かお腹に入れておいたほうがいいと思いまして」
「はい」
「分かりました。それじゃあ持ってきますね。あと体温計置いておくので測っておいてください。」
「分かりました。ありがとうございます」
食べやすいように少し冷まして持っていく。
コンコンコン
「どうぞ」
「少し冷ましましたがまだ熱いので気をつけて食べてください」
「ありがとうございます」
凛音はスプーンで掬って一口食べた。
「美味しいです」
「ありがとうございます。薬も置いておくので食べたら飲んでください。」
「はい」
それから彼女はゆっくり食べていた。
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
「動けるようになったので帰りますね」
「大丈夫ですか?まだ寝てていいですよ」
「そうですか?じゃあもう少しだけ休ませてもらいますね」
「はい、おやすみ」
凛音は目を閉じて少ししてから可愛い寝息が聞こえてきた。
あれから凛音が起きて熱を測ったら微熱くらいまで下がっていた。
玄関にきて帰ろうとしている。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ、熱が下がって良かったです。仕事のことは問題ないので体調が良くなったら復帰してください。」
「分かりました。また今度、今回のお礼をさせてください。」
「分かりました。楽しみにしています。」
「それでは失礼します」
彼女は部屋から出た。
「あ、凪咲ちゃん!体調大丈夫?ってか部屋ってそっちだっけ?こっちの部屋のインターホン押しちゃった」
外にはお見舞いに来た琴莉がいたのだ。
「え?美礼ちゃん?」
(え?琴莉がいるのか?)




