11.まさかの展開
デビュー配信は問題なく終わり3ヶ月が経った。
デビュー配信、1日目の配信がSNSで話題になり珍しさからか2日目から8万人くらいの同接があった。
3ヶ月経った今、登録者が平均7万人くらいで1番多い人で15万人で出だしは好調だ。
今日は配信の方が落ち着いてきたのでNoxlunarisの記念すべき1曲目の収録日だ。
事務所には収録スタジオがまだないのでスタジオは借りている。
初めての収録という事で見にきている。
今は、休憩室で琴莉、凛音、涼葉がテーブルを囲んで座っている。
「みんな歌上手いよ〜凛音ちゃんなんてほとんどリテイクなしでやってるじゃん!すごいよ〜」
興奮気味に椅子から立ち上がり言った。
「そうでもないです。私なんてまだまだです。」
「いやいやめちゃめちゃ上手いよ!?私なんてもうリテイク10回はしてるよ。凛音ちゃんって収録前にどれくらい練習してるの?」
「私が納得するくらいですかね。時間で言うと50時間くらいはやったとおもいます。」
「ストイックやね。あたしはある程度は自主練するけど自分に自信がないから誰かに指摘されながらやる方が性に合うんだよね。」
「それでも涼葉ちゃんも片手で数えれるくらいしかリテイクしてないからすごいよ〜」
ちょっと落ち込みながら椅子に座った。
「琴莉ちゃんも私からしたら上手だとおもうよ。」
「そうですね。初めてなので気にしなくても大丈夫ですよ。」
「そうかな〜」
「それにまだ収録はあるからあたし達もリテイクの数が増えてくよ」
「そうだね!くよくよしてないで頑張る!」
「それにしても凛音ちゃんは歌上手いね。あたし初配信の歌の部分だけ再生して聴いてるよ。」
「ありがとうございます」
照れてそっぽ向いてしまった。
「凛音ちゃん可愛い〜」
「からかわないでください」
「実際、可愛いんだからしょうがないよ」
琴莉はニヤニヤしながら言った。
「あと凛音ちゃん敬語を辞めようよー
同じグループなんだからフランクに喋ろうよ〜」
「わかったわ」
「うんうん」
「そろそろ休憩も終わりだし行こうか」
立ち上がり収録に向かっていった。
「それでは今日の収録を終わります。お疲れ様でした。」
【お疲れ様でした!】
ほとんどの人が帰っていったがなぜか凛音だけが残っている。
「あの社長、少し相談があります。」
申し訳なさそうな顔をしながら話しかけてきた。
いきなりなのでどんな内容か少し心配だ。
「どうかしましたか?」
「実は実家を出ようと思っているのですが配信環境が良いアパートとかって知らないですか?」
深刻な相談ではなくて安心した。
「そうなんですね。予算とか部屋数とかこだわりありますか?」
「10万円くらいで部屋は回線がいい場所ならどこでもいいです。」
あるにはあるが知り合いの配信者が住んでるアパートが思いつくがもちろん男なので紹介はしたくはないが力になりたい。
「そうですね。あるにはあるのですがあまりおすすめは出来ないですね」
「そうなんですかぁ」
落ち込んだ顔をしている。心が痛い。
「知り合いの不動産に聞いてみますね。良いところがあればお伝えしますね」
「分かりました。ちなみになんですが社長が住んでいる所っていくらくらいですか?」
予想外の質問が返ってきた。
「12万円の所です。」
そう今住んでいる所は1LDKの12万円でしかも配信環境で言ったら結構良い所なのだ。
「そこって今、空き部屋ってありますか?」
実は隣の部屋が空いていたので始めに頭に浮かんだが言わなかった。
だって推しが隣に住んでいたら緊張するでしょ。
「仮に空いていたとしてもしかして引っ越してくるのですか?」
「社長が住んでいるってことは配信環境はいいですよね?それに知っている人が近くにいるほうが安心します。」
この子まじかいくら社長だからって男やぞ!
好感度が上がるイベントこなした覚えもないぞ!
「隣が空いてます」
「じゃあそこ引っ越すのでよろしくお願いします」
「分かりました」
「それではお疲れ様でした」
それを言って彼女は帰っていった。
「まじか、これってなんてアニメ?」
衝撃的なことが起こりそんな冗談を言わないと正気ではいられなかった。




