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1.推しの卒業

 2030年4月20日、今日は推しの卒業ライブ


 俺、如月玲央はVtuberの推しがいる。

 夜桜凛音、Vプロ所属の1期生で登録者は200万人の人気Vtuberだ。


 Vtuberにしては珍しく配信よりもアーティスト活動に力を入れていて曲がバズったことのある実力派という一面がある一方配信をすればPONをやらかす場面が多く愛嬌のあるキャラだった。


 そんな彼女が今日卒業する。


 卒業理由は運営との方針の違いと活動の限界という理由だった。


 活動の限界とは事務所にいる以上彼女のやりたい事に制限がかかる事があるそうで辞めるそうだ。


 彼女は10周年の配信でソロライブで全国ツアーと登録者日本1のVtuberになりたいと宣言していた1年後の卒業発表でこの理由なので事務所と何かしらで揉めたのだろう。


 それでも彼女の要望により卒業ライブはリアルと配信どちらもやりたいという事で会場は3万人は入る規模の大きい会場でライブをやらせてもらえるそうだ。


 リスナー目線では運営は頑張って彼女の活動を支えてきたと思うし人気になったのは事務所の大きさによるところもあると思うから彼女の中で妥協出来ないことがあったのだろう。


 チケットは彼女の人気もあって即完売の中、俺はチケットを運よく手に入れることができ現地で参加している。


 ライブ前のアナウンスがなった。

 もうすでに周りに泣いている人がいる。


 ライブが始まった。

 1曲目は彼女の有名曲だ。

 コールがある曲なだけにすごい盛り上がりを見せた。


 そして次の曲からは彼女が出してきた曲を古い順から歌っていった。

 まるで彼女の軌跡を辿るようなセトリだった。


 アンコールで歌う曲はファンに向けた新曲を歌いあげた。


 歓声が湧き上がる。


 夜桜凛音から最後のコメントがあった。


「みんなありがとう!卒業発表からそんなに時間が経ってないのに時間を作ってライブに集まってくれて本当にありがとう」


 そうこのライブは実は卒業発表から2ヶ月ちょっとしか経ってない。


「私はこんなにも愛されていたんだと改めて気づきました!今まで無茶振りはあったと思うけどここまでの無茶振りは初めてだけど付き合ってくれてありがとう!」


「これからもその無茶についてきたいよ!」「こちらこそありがとう」などの声援を送っていた


 遂に凛音は泣き出してしまった。


「Vプロのみんな仕事だけじゃなくてプライベートでも遊びに連れ出してくれて嬉しかった!よかったらこれからも誘ってください!」


「リスナーのみんな夢を叶えれなくて一緒に夢を追いかけれなくなってごめんなさい

ほんとはもっと活動を続けることがリスナーのみんなに恩を返せることだったと思います。

私の活動は終わってしまうけどVプロのこれからを応援して行きたいと思います!

これが本当に最後の曲になります!」


 そして最後の曲はVプロの全体曲だ。


「11年間、長い間応援ありがとうございました!」


 ライブが終わってしまった。


 俺は泣きながら帰路についた。


「はぁ〜本当に終わってしまった」


 ライブが終わったことにより卒業したという事実をより実感してしまった。


「俺はこれから何を生きがいにしていけばいいんだ」


 約9年間推し続けて配信を見ることは生活の一部にまでなっていた。

 それがこれから無くなるのだ。


「もっと早くから知ってれば長く推せたのにな」


 推しは推せる時に推せとはよく聞くが十分に推していた人からするともっと早く知ってればその分推せたなと思う。


「もう一度卒業ライブを観よう」


 配信では同節80万人を記録していた。

 それだけ多くの人から愛されていたし卒業を惜しまれていたと思う。


「明日、起きたらここ2ヶ月くらいのことが夢だったってことは無いかな」


 今は現実逃避をしないと心が壊れそうだ。


「もう寝よ」





「もう朝かー」


目を擦りながら周りを見る。


「あれ?ここ実家?なんで?しかもなんか目線が低い気がする」


 自分の体を確認する。


「小さくなってる?」


 カレンダーを確認すると2010年4月だった。

初めて小説を書いてみました!

誤字脱字や文章的におかしいところがあるかもしれませんがご了承ください。

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