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8話 合同捜査本部

7月20日まで毎日投稿(午後8時50分ごろ)目指します。

テレビをつけると、朝のニュースで早速小泉農水相のことがトップニュースで報道されていた。

「昨夜未明、小泉農水相が横須賀市内で何者かに斬られて市内の病院に救急搬送されました。命に別状はない模様です。5月18日に起きた枝葉議員の事件との関連性が疑われています。警察庁は同一犯とみています」

そのあと、評論家やコメンテーターたちが好き勝手に言っている。

「コメ価格を下げるといいながら下げられなかったことで怒った人がやっちゃったんですかね?」

「まだ就任して10日くらいでしたよね。大臣が変わったからってそんなに早くコメは下がりませんよ」

「物騒な世の中になったものですね」

「本当にね」

「大臣経験者と現役大臣が狙われたわけでしょう? 警察は何しているんですかね」

「そもそもなんで小泉農水相一人だったんですかね? 大臣には警護がついているはずでは?」

「小泉農水相本人が深夜に起きて散歩に行きたいといったとか言わなかったとかって聞きましたけど」

「それ本当ですか?」

「さあ」

「さあって」

アナウンサーが新しいニュースを読み上げる。

「ただいま速報が入りました。警察はこの事件に関して合同捜査本部を設置することを決定しました」


枝葉議員、小泉農水大臣が相次いで通り魔に斬られた連続斬りつけ事件を受けて埼玉県警・神奈川県警による合同捜査本部が立ち上げられることになった。

「現職大臣が斬られるというあってはならない出来事が起こってしまった。なんとしてもホシを上げなければならない」

威勢よく叫んだのは神奈川県警和田本部長。

そのあと、会議では2人の斬った刃物が酷似していることから同一犯であるという証拠を提出。

しかし、単独犯か組織的な犯罪かについては捜査本部内でも意見が分かれていた。

「枝葉議員襲撃時の目撃情報を総合したところ、犯人は10代後半か20代の男性。服装は青いシャツにジーンズ。顔は影に隠れてよく見えなかった。手には何も持っていなかったにもかかわらず、両手を振り下ろしたら枝葉議員の上半身が血まみれになったとのことです。

「小泉農水相は目撃情報がありませんでした。おそらく、一人になるタイミングを見計らった計画的な犯行と思われます」

埼玉県警警備部部長はいう。

「狙われたのはどちらも政治家だ。山神のように宗教がらみで恨みを買った可能性がないか調べる必要があるだろう。組織的犯行の可能性も視野に入れて捜査をする。この件については警視庁公安部にも捜査協力を仰ぐことになる」

「公安が介入してくるってことか。まあ当然だな。なにせ現職大臣と、元官房長官が斬られているんだ」

公安警察。特殊高等警察という黒歴史を受け継いだ警察の中でもえりすぐりのエリートが配属される部署だ。主に極右や左翼、国際テロ組織などを監視している。

公安警察は捜査能力に関しては必ずしも刑事警察と比べて高いわけではない。彼らの仕事は主に極右、極左、国際テロ組織などの監視および情報収集だからだ。

公安が主導した捜査で有名なのは地下鉄サリン事件をはじめとしたオウム関連の事件、それに警察庁長官狙撃事件などがあるが、後者は未解決事件になっている。

合同捜査本部が立ち上げられたがいいが、捜査は難航した。小泉農水相を襲撃した事件については目撃者がいないうえ、なぜか犯人を映しているはずの防犯カメラの映像が使えなくなっていたからだ。

そして、凶器の問題だ。

殺傷事件の場合、凶器が見つからなければ犯人だと立証することは困難だ。

枝葉議員の目撃情報からわかるとおり、犯人は手に何も持っていないのに振り下ろしたら枝葉議員が血だらけになったのだ。

つまり、捜査本部がなにをしようが、凶器が見つからない以上犯人が逮捕されるはずがないのだ。


ネットでは枝葉の時と違い、批判的な声が強かった。

「小泉農水相で米の価格が下がると期待したのに」

「斬るなら前の大臣を斬れよ」

「江藤を斬れ」

「JAが備蓄米放出して価格を下げようとした小泉を斬ったんじゃないか」

「余計なことをするな」

「テロは許せない」

米の値下げを期待していた人たちに恨まれてしまったようだ。

もちろん、擁護する声もあった。

「小泉は父親が郵政民営化で外資に売り渡したのと同じように、JAを外国資本に売り渡そうとしていた。国賊の小泉は斬られても仕方がない」

「みんな落ち着け。あいつが総理大臣になったら日本は終わりだ。そういう意味では犯人ナイス」


小泉親子は売国奴。信用してはいけない。

次回、7人の世直し侍の宿主たちが登場。

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