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10話 勉強会1~なぜ投票したくないやつしか選挙にでていないのか~

7月20日まで毎日投稿(午後8時50分ごろ)目指します。

(作者注釈 以下、発言者の頭に惑星名を表記します。主人公の発言の頭には冥王星とつけます)

顔立ちの整った男性が笑顔で語りかけてくる。

水星「いいなあ。冥王星なんて俺が名乗りたかったよ。ふつう水星っていったら女性的だし」

太陽「水星さんは冥王星ってかんじじゃないですよ」

木星「冥王星は極限。この世界の果て。つまり終わり」

土星「冥王星とは。なるほど。つまり、あなたが2人を星に送ったわけですか」

火星「星って、あの2人は生きているだろ。って、この人が世直し侍の一人なのか!」

なんで世直し侍のことを知っているんだ。火星という男、いったい何者だ。

さっきからしゃべらない月。柿音さん。やっぱりおしゃべりは苦手なのか。

冥王星「あの、勉強会って聞いたんですけど、民主主義を考えるって何について考えるんですか?」と聞く。

太陽「そうでしたね。最初にその説明をしなければいけません。この勉強会はいまの日本の政治や社会の在り方を憂う国士たちの集まりなんですよ」

水星「最初は太陽さんと2人でどうすれば今の政治をいい方に変えられるかって考えていたんだけどね、ほかにも共感してくれる人たちに参加してもらっていまの8人が集まったんだよ」

水星さん。明るい笑顔から目が離せなくなる好青年風の男性で、コミュ力が高そうだ。有名企業で働いていたりするんだろうか。俺のような中途半端なやつとは醸し出すオーラが違う。

冥王星「参加者を増やしてどうするんですか?」

水星「最初は資金や後援者を集めて政党を作って選挙に出ようとか、いろいろ考えていたんだけどね、その前に基本的なことに気づいちゃって」

太陽「同志ですよ。志を同じくする、何があっても絶対に裏切らないそういう仲間が必要だと。歴史を研究すると組織が内部から崩壊した事例は多い。日本でも新党が内部分裂した事例は珍しくない。賛成党にN国党。それでまず民主主義について考える会に信用できる人間を集めることにしたわけです」

水星「いまは情報化が高度に進んだ時代だ。安易なつながりは計画の露見をもたらすことになるんだ」

計画のろけんって、なんだばれたらヤバいことをしようとしているのか。やっぱり怪しい集まりだ。

太陽「要するに、信頼できる少数の仲間とだけつながって、大きくするのはそのあとにしようという話です」

本題に入ろう。

冥王星「信頼できる仲間となにをするつもりなんですか?」

太陽は笑いながら「世直し、かな」と答えた。

冥王星「世直し」

太陽「冥王星さん。君はいまの民主主義といわれているシステムはあまりに欠陥が多すぎると思いませんか?」

冥王星「欠陥って言われてもなあ。そもそも政治とかよくわかってなくて。この前20歳になったばかりで、選挙行ったことないんです」

太陽「それはおかしい。いまは18歳以上に投票権があるはずです。冥王星は都民ですよね。それなら昨年7月の都知事選、10月の衆議院選挙の投票権もあったはず」

冥王星「実は実家が東京じゃなくて、住民票だっけ? あれうつしてなくて」

太陽「なるほど。では、選挙に行きたいと思っていますか?」

冥王星「行った方がいいんでしょうけどね。でも正直政治家なんてどいつもこいつも同じような感じで、たまに変な奴がいるけど、変な奴には入れたくないし」

水星が言う。「そうなんだよ。冥王星の言う通り。いまの選挙というシステムはおかしいんだ。まず6月の都議選なら25歳以上、参議院選なら30歳以上であればだれでも立候補できる。しかし、投票したい候補者がいない」

俺は思わずうなずく。

水星「選挙では立候補している連中の中から投票しないといけない。でも、候補者がろくでもないやつばかりなら?」

冥王星「投票先がないですよね」

太陽「それが選挙というシステムの欠陥だ。候補者がゴミしかいなければゴミから選ばなければならない。それが嫌なら投票を拒否するしかない」

冥王星「それはなんていうか不毛ですね」

太陽「不毛なだけならいい。実際には、粗悪な人材が選挙に出馬して、知名度のせいで投票してしまうんです。選ばれた議員どもは選ばれたからと、権力を使いたい放題。ジャン=ジャック・ルソーの言葉を知っていますか。

『イギリスの人民は自由だと思っているが、それは間違いだ。彼らが自由なのは選挙のときだけである。代議士が選出されるや否や奴隷になり、無に帰してしまう』」

なんか太陽さんって頭いい感じの人なのかな?

冥王星「自由なのは選挙の時だけで、それが終わったら政治家どもが好きかってやる。ふざけんなよ」

水星「その通り。政治家たちは選挙のときだけはへこへこと頭を下げて、当選したらふんぞり返って高額報酬を得て、政務活動費を使いまくる。毎晩料亭や高い店に行ってうまいものを食べる。税金でだ。これが正しい政治の在り方だとは思えないだろう?」

冥王星「まったくその通りだと思います」

水星「そんな政治を変えたい。でも、いまの制度ではどうやっても政治を変えることができない」

冥王星「なんでですか? ろくな候補がいなくて困っているなら、ちゃんとした候補に選挙に出てもらえばいいんじゃないんですか?」

太陽がため息をつく。

太陽「それがそうはいかないんですよ。優秀な人というのは、言い換えると政治家以外の道でも通用する人間ということになる。優秀な経営者、弁護士、研究者。人格に優れた宗教家など、日本にも優れた人間は確かにいます。日本を憂い、よくしたいと願う人たちが。しかし、彼らは優秀で、社会的地位も持っています。選挙に出馬するためには仕事を辞めないといけません。それまでの身分や地位を捨てて選挙にチャレンジしないといけない。

弁護士や税理士、医師などの会社に縛られない国家資格に裏付けされた専門職ならとにかく、人材の流動性が低い日本では優秀な成績を上げている人材に民間企業をやめて選挙に出ろとは言いづらいのです。アメリカの場合回転ドア方式といって、優秀な人材が民間と政府機関を行ったり来たりするのですが、日本の制度では民間は民間、政治家政治家でそれぞれのキャリを積む形式になっている。政治家の民間への再就職は難しいといわれていたりしています」

話を聞いて少しわかった。日本にも優秀な人間はいるけど、その人たちは選挙に出ない。

今日は都議選投票日でした。

都民に住んでいる皆さん、投票したい候補いましたか? いたらラッキーでしたね。

作品内の都議選は勉強会の後に書く予定です。

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