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プロローグ
1/1

center monitor

プロローグ

 「…う、…長、室長」

 「………何だい?」

眠気を残した声が部屋に響く。無数のモニターとその前方に椅子だけが置かれた部屋。照明をつけると椅子から不満気な呻き声が返ってくる。

 「うたた寝も程々に。有事なのですから。T813の膨張が再開しています。協力を要請しますか?」

 「はぁ…」

椅子に身を沈めた部屋の主は何度目かわからないため息をついた。班長との対策会議から二時間待たずの膨張。寝ることも許されない事態に辟易する。嫌々モニターに目を移す。恐らくT814は手遅れだろう。

 「いいよ。T815からT820には協力者いないし。」

協力者に期待はしていない。今回も二時間保たせられないのだから。

 「かなりを見殺すことになっても?」

部下の歯に物着せぬ言いようには呆れたものだ。こちらの良心への配慮など無いに等しい。

 「しょーがないでしょ」

鼻を鳴らしながら、気だる気に応える。

 「縦型膨張なんて止められる速度してないし、少なからず影響受けるとこだって多いんだから。こちらの調節云々でどうにかなるもんじゃ無いよ。」

しばらくの沈黙の後、スピーカーから無機質に声を発する。

 「貴方が真っ先に諦めるのですね。この次元もT813の進行軌道上にあることを理解していますか?」

知っている。奴の狙いが私であることも。この膨張軌道が私に示すものは多い。画面の向こうの部下が思うよりこの状況は絶望的である。

 「わかってるよ。」

今度こそモニターは沈黙する。状況は我々の干渉が後手に回る速度で変化している。方面への干渉は元々徐々に進めていくもので即効策などありはしない。状況を変えるのは各個の奮闘だけだろう。

 「失われるものへの愛着はないのですか。」

絞り出された苦し紛れの問い。

 「仮にも貴方の作品たちだ。」

的外れも甚だしい。部下達は私を始祖として神格化する嫌いがある。

 「ないよ。庭に生かしておいたアリンコの巣が雨で水浸しになってたとて、気にするか?」

部下は唖然となどしない。 

 「なら何故、貴方はモニターを続けたのですか?」

決まっている。そうするしかなかった。概念としてこの部屋に縛り付けられ、どれほどの時間が経ったろうか。心は磨耗しきった。あの頃守りたかったものも消え去った。幕引きだというなら拒みなどしない。

 「さあね」

この諦観を言葉にするのも鬱陶しかった。

ぼちぼち書いていきます。よろしくお願いします。

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