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恋愛の価値観が薄い世界で激重男と付き合っても元世界の価値観からして普通になってしまいほのぼのしかしないって本当ですか?

作者: リーシャ

ハロハロー、こんちはー。


冒頭から挨拶させてほしい。


この世界に生まれた幸運を見せたのでね。


私は二度生まれた。


所謂転生というのか。


兎に角記憶がある状態で今の世界に生まれた。


どう死んだのかは知らないけど、どう生きたのかはバッチリ覚えている。


この世界、どうやらパラレルワールドっぽくて。


パラレルワールドじゃないかもしれないという、あやふやなジャッジ状態。


色々違う。


シンプルに簡潔に言うならばファンタジー世界である。


異世界の部分も結構あるのだ。


一番すごいのはファンタジー生物がいるってこと。


ユニコーンとかファンタジーである筈の幻獣が現実に存在する。


変なところは恋愛感。


人間なのに恋愛しても手を繋がないしキスしないし、ハグも愛の言葉も言わないの。


変なのだ。


まあ、相手に笑いかけるくらいはするみたいだけど、好き好きアピールってやつをしないのだ。


どうやってそれで恋愛するのかという疑問は面白くて、科学的に人工で赤ん坊を作れるらしくて必要ないんだと。


歴史も学んだんだけど、どうやら昔昔、ファンタジー生物のエグいやつが人間を襲うので子孫を残せず、恋愛なぞしている余裕も暇もなかったのだとか。


その名残で今も恋愛観が無味無臭らしい。


その余裕が現代ではある筈なので皆、恋愛感を復活させてみよ?


死滅しないからやらないよねー。


ハイハイ分かってます。


恋愛観はないくせに家族愛は元世界のように存在している。


普通に親に愛された。


父と母は穏やかな夫婦。


ただし、愛してるとかも言わないしバードキスもしない。


淡白故に悲しい。


テレビドラマとか恋愛ドラマとかもう、塩のないおにぎりである。


いざ恋愛シーンを見ると互いに目を合わせて笑みを浮かべあってるだけ。


それでさえも「微笑む必要はない」とクレームがくるらしい。


こんなことでクレーム出すな!


ただでさえつまんないのに無表情で目を合わせていたら、なんか気まずい第三者の気分になる。


キスもハグもないなんてえ。


海外ですらキスもハグもない。


どこに行ったんだい、ハグ!


ドラマと言えば代名詞の海外ドラマにRなシーンも存在しないなんて非常に深刻な理由があれば良いのに、ないのだ。


恋愛感消去。


消去消去消去。


ここまで来たらディストピアだよね。


これがこうだったら人形でも置いておいた方がマシだ。


人形にキスさせて?


ダメなのかもしれない。


子供が見るからダメかも。


くー!


キスさせて!(役者に)


ハグも、それ以上も!


なんかこう物足りない。


そんな不満から自作の小説を書いている。


自分でサイトを作ってこっそり活動している。


まあ、読む分には需要があるみたい。


破廉恥ですとか個人サイトに来てまで言う事じゃない。


消した。


お前に私の不満は理解できまい!


やはりこの世界にも重い女と重い男が居るらしく、それぞれの恋愛コミュニティから弾かれているとのこと。


なんって、勿体ない。


精々重いと言ってもキスとかハグとか好きだとか言葉に出すだけだもん。


私からしたらレベル1のスライムなのだが。


可愛い。


愛おしくなる。


産んでないのにカッコワライ。


実は私、キスもハグもOKな女優をしている。


演技なので恋愛と関係ない要素故に汚物扱いとか、非難とかされない。


でも、結構需要ある。


顔は極々平凡な分、他のところでアピールすると恋愛観のお亡くなりになっているこの世界には稀有な価値観となる。


女優も副業の一つなんだけどね。


キスハグオールOKな仕事はマネーが違う。


お金に困らない程ね。


父達は嫌悪もなく、作品が出る度に見たぞって報告してくれる。


尚、キスとハグなので恥ずかしさはない。


キスと言っても頬とかだもん。


この世界の恋愛感の差がよく分からない。


自分達に関係ないならば嫌がられないという。


テレビにクレームを入れたのは敏感な人だけだと思われる。


ポチポチとスマホみたいななにかを打って今日の更新をする。


『彼は私の反論を聞く間もなく激しく唇を重ねてきた。歯をぶつけないようにしながらも荒々しく情熱的な相手に少しずつうっとりしていく。しかし、彼女は自分のやるべき事を思い出すと彼から離れた』


うーん全然過激じゃない。


ノーマルノーマル。


この世界じゃアダルトの域みたいでこっちが、んな馬鹿なと言いたくなる。


『わたしは可笑しくないのではと思わせてくれます』


これはコメントの一つなのだが、こういうコメントが結構来る。


やはり同志は必要だと強く思うよ、うんうん。


ここで、一つ、別件のことを言いたい。


小説という趣味全開のために、良く情報を収集することがあるルミ。


観察して気づいたのだが、ナンパな男と呼ばれる人がいると聞き、小説用に観察してみた。


お前が好きだって言いながら、キスしてた。


あたまに。


唇にせんかい!


ナンパといっても、結局そこ止まりかよ。


がっかりだよナンパくん。


淡い御付き合いの、お間違いだったらしい。


でも流石に、女性が耐えきれずナンパ男に平手お見舞い。


真っ赤な紅葉が咲いた。


アニメ以外で、あそこまで綺麗に頬に残るそれを見たのは初めてで、資料用に写真撮っちゃった(星)


そんな日々を送っているととんでもない俳優が事務所に新人として入ってきた。


「初めまして」


犬系、子犬系にカテゴライズされる男の子。


トマリ。


彼はこちらにてけてけとやってくると、手を握りしめてきた。


「え?」


「あ、あのう」


「と!トマリくん!?なにやってるの??離しなさい!」


トマリのマネージャーが顔を青くさせ、ルミとトマリの手を無理やり離す。


この世界で手を握るって、普通にやばい行動だ。


「す、すみません!ルミさん!」


マネージャーが平謝り。


「別に大丈夫ですよ。大袈裟にしないであげてくださいませんか」


ルミからすると手を握るくらい、なんでもない。


「あ、あの、手を突然握ってごめんなさいっ。で、でも!ボクルミさんと共演したいです」


どう見繕ってもこの子はルミに惚れてる。


「あの、あのあの、ルミさんの演技に惚れましたっ。最高でした。特に『愛しい君。いつか会えるその日まで』を初めて見た時は凄く感動しました」


と、ファンみたいなことをいう。


実際ファンらしい。


「あ、あの、ルミさんって呼んでいいですか?」


「トマリくん、もうやめなさい!」


「あの、どうでしょう!だめ、ですか?」


犬のか細い鳴き声が、今にも聞こえてきそうな上目遣い。


役者の素質が確かにあるなこの子。


見つめ合う程度でキスになってしまうような恋愛の価値観世界で、これはかなりの変人枠。


名前呼びは例えるならば呼び捨てだし、なんなら親しい間柄。


恋人よりも上の夫と言う人がたまーに居るレベル。


彼は妻にしか言わない名前呼びをしたいと、周りに伝わるここで言っているのだ。


「えー、えっと。構いませんよ」


「え!」


周りがざわりとなる。


名前呼びを嫌がる人が多い世界。


夫が相手だろうと、嫌な女性の割合は多いと統計が発表されていた。


「う、嬉しい」


トマリは涙を流す。


「はっ!」


ルミはこの性格にピンときた。


ヤンデレだあああああ!!!


ついに現れたか、期待の星よ。


「ほら、ハンカチどうぞ」


涙を拭くと、彼に渡す。


「それ、あげる。今後持っておけばすぐ拭けるよね」


トマリが固まってハンカチを見る。


それから、そうっとポケットにしまう。


しまう動作に周りが止めるが、トマリはポケットを守る。


ヤンデレ、ヤンデレ。


前の世界ならば、健気な仕草だなと好きなこの私物を持っちゃう男子のほのぼの。


ここでは、異性の私物を持つヤバいやつ扱いになる。


「皆さん、落ち着いてください。私が新人の彼にエール目的送ったプレゼントなので」


プレゼントを異性に渡すのも結婚するときがほとんどで、基本文章を書いた手紙を渡すくらいがギリギリなのだ。


新人俳優を励ますためにと理由をつけておけば、まあ、ルミの人徳で許される。


ルミはキスあり女優なのだから。


そのキスだって、ほっぺとか額とかだし。


そんなデカい仕事を持ってくる女優は、かなり需要が高い。


「ルミさん、ハンカチありがとうございます」


頬を赤くした彼はまたルミの手を握る。


「や、やっぱり手を握るの平気なんだ」


「はい。平気ですよ」


凄い、凄いと泣いてずっと手を繋いでいる彼は、周りに引き離されるまで近くでこちらをずっと見てた。


これ、この子逸材。


異世界恋愛観に染まる女は、ヤンデレ並みの男の子に将来が楽しみだと笑みを深くした。




その後、付き合うことになるがルミとの待ち合わせで早くきすぎるというこの世界ではありえない待ち方。


特別な日でもないのにプレゼントを渡してくる、常識的におかしなやり方。


電話やメールも日に一度、少なくても3日や4日に一度。


電話も5分以上という、短いけどこの世界では長電話だと判断される長さ。


それをやってのけるトマリは完全にヤンデレ男だった。


が。


相手はルミだ。


たどたどしく、メールを送ってきたり五分過ぎても話したそうにする様子が、ほのぼの過ぎて癒されていることは、本人しか知らないことだろう。


子犬系ヤンデレだよ。


ルミにとっては理想の男子でしかなかった。

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