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百合あい  作者: おもち
5/6

名前

 入学式は、思いのほかスムーズに進んだ。


 新入生の入場から始まり、国歌斉唱。

 次は新入生全員の名前を学級担任が1人ずつ読み上げていく入学許可宣言だ。


 みくと葵は新入生の誘導という大仕事を終え、ステージ横の音響室に移動していた。

 他の生徒会の生徒らも音響室から入学式の様子をうかがっている。


 ねぇ、みく、と葵が小声でみくに声をかける。

 「朝話していたイケメン君、あの子だよ。名前聞けるね!」


 葵がそう言って指をさしたのは、3組の真ん中あたりに座っている男子生徒だ。

 なるほど。

 

 鼻筋の通ったシュッとした顔立ちに、薄めの唇。

 くっきりとした二重の彼は、みくの目から見ても整った顔立ちだった。

 

 イケメンでしょ?と自慢げに聞き返す葵に、みくはそうだね、と適当に頷く。


 確かに。

 名前が聞けるチャンス。

 葵の言う通りだ。


 1組の窓側に座っていた新入生。

 彼女の名前が分かるチャンス。


 みくは彼女が座っている方に目を向ける。


 背筋を伸ばし、ステージ上をぼんやりと見ている。

 教室では顔全体をまじまじと見ることができなかったが、改めて見ても本当にきれいな顔立ちだった。


 1組である彼女の名前が呼ばれる順番が着々と近づいてくる。

 

 あと3人。


 あと2人。


 あと1人。


 ――ガシャン!

 唐突に背後から鳴ったその音に思わず振り返る。


 「ごめんごめん。落っことしちゃった。」

 どうやらBGMの調節を行っていた先輩がCDファイルを落としてしまったようだ。

 急いで床に散らばったCDを拾い集める。


 「傷になってないですかね。」

 心配そうに葵がそう言ってCDをひっくり返して確認していた。


 あぁ。

 そうだ、名前。

 みくは立ち上がって彼女の方に目を向けるが、もう名前を呼ばれた後なのだろう。

 椅子から立ち上がっていた。


 

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