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短編集【不思議】

終末に焦がれて ×

作者: ポン酢
掲載日:2022/12/29

朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであと七日になりました」と言う。


何年前から、この始まりを聞いているのだろう?


聞き慣れた朝の挨拶は、そこにあるはずの意味を誰にも教えてはくれない。

俺はいつも通り、歯を磨き、ちょうど焼けたトーストを齧る。


「四季、帰りに卵買ってきてよ。卵焼き作ったら終わっちゃって。」


お弁当を受け取りながら、俺は渋い顔をした。


「母さんが買えばいいだろ?」


「今日はおじいちゃんのホームにおばあちゃん連れてく日でしょ?」


ああ、と思う。


「夕飯、弁当なら、俺、カツ丼がいい。」


「わかったわかった。早く行きなさい。」


「行ってきます。」


世界の終わりまで後、7日。

今日も何の変わりのない1日が始まる。


俺は履き古したスニーカーを履いた。

10日後に、ずっと欲しかった新作が出るので、それまで我慢だ。


「おはよう、しーちゃん。」


玄関を出ると、幼なじみが待っていた。


「はよ。」


「今日も気持ちのいい、終末日和ですな。」 


「そうか?なんもかわんねえけど。」


見上げた空には、太陽が2つ浮かんでいた。


世界の終わりまで後、7日。


はじめてそのフレーズがテレビから流れた時、それはもう大騒ぎだった。

それを信じて全財産使う人とかかなりいたし、経済活動も一時期止まったから、本当に大変だった。

来年の教科書に「終末騒動パニック」として乗るらしい。

学校までの道を、俺たちは変わらずに歩く。


「世界の終わりまで後、7日か~。いつ終わるのかな~。」


「まあな~。」


「宇宙人もきたし、太陽も増えたし、ポールシフトも起きたし。今、何で7日前なの?」


「知らねえ~。」


世界の終わりは何度か迎えたが、結局は何も変わらなかった。


「たぶんさ~世界はとっくに滅んでるんだよ。」


俺は言った。

幼なじみは不思議そうだ。


「何で?生きてるじゃん?」


「生き残ったんだろ?ゴキブリみたいに。俺たちは。」


「マジで?」


「で、ゴキブリにさらに世界の終わりが来るんだけど、やっぱり生き残ってんだよ。しぶといから。」


「ヤバいね。」


「だから多分、何回終わりが来ても、残念ながら期待されるような事は何も起きなくて、俺たちは何も変わらない日々を送らないといけないんだよ。」


「嫌だな~早く世界、終わらないかな~。」


「ホントそれな。」


世界の終わりまで後、7日。


俺たちはいつも通り、学校までの道を歩いている。

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