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高卒サラリーマンが脱サラして田舎でスローライフするだけの話  作者: らいお


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サクラコの学校②

 厨二病。

 それは、いかにも思春期らしいと感じる言動を生じさせる要因、またはそういう行動をする人を揶揄していう俗語。過剰に斜に構えた態度をとったり、自分を常人とは違う特別な存在だと考えたりするような言動について用いることが多い。

 ……まぁ、端的に言ってしまえば痛い人の事を言う。

 そして今、その厨二病と思われる……いや、もう厨二病のステージ三くらいにまで到達しているであろう人物を目の前にしているわけだが。


「サクラコちゃーん! この人怖いよぉーっ!」


 まぁ、こんな具合にメンタルブレイクすると素に戻るからまだ厨二病の治療の余地はあるんだろうけどさ。


「こら孝文! 先生にいじわるしないのっ!」

「いやいじわるというか、共感性羞恥が酷いもんだから辞めて頂こうかとだね」

「言い訳しないのっ!」


 言い訳じゃないですぅー。その先生がおかしいんですぅー。


「……フフフ、よくやったぞ”桜色の申し子(ブロッサムフェアリー)”っ! よぉし、このまま反撃だっ!」

「先生もふざけないのーっ!」

「ははは、小学生に怒られてやんのー」

「孝文ッ!」


 先生に矛先が向いたと思ったら俺に帰ってきた……いや、確かに今回は俺もふざけすぎたとは思っているが。


「まったくもう、孝文と先生は何をしてるんだよーっ! 楽しくてふざけるのはいいけど、場所を選びなさいっ!」

「「はいぃ……」」


 そこから俺と先生は、始業の鐘がなるまでサクラコに説教されるのだった。







 始業の鐘が鳴ったことでサクラコの説教も終わり、俺達は教室へと向かう事とした。ひとまずは、俺よりも生徒のほうが優先度高いからね。

 先生は教卓の前で教科書を開き、サクラコは着席してランドセルから教科書とノートを取り出す。俺は、教室の後ろからその光景を眺めていた。

 ……まるで、授業参観みたいだな。なんか、少し緊張してきたかも。


「では、授業を始める。一時間目は……国語だな。ブロッサ――サクラコくん、今日は漢字練習をしましょう。漢字ドリルは持ってきてる?」

「持ってまーす!」

「では、続きのページからやっていてね」

「はーい!」


 サクラコは漢字ドリルを取り出し、黙々と書き出した。うんうん、ちゃんと集中して授業を受けてて偉いぞ。


「さて……では喜多さん」

「あぁ、はい」


 先生は集中するサクラコを眺めていた俺の元までやって来た。

 サクラコに漢字ドリルで自習をさせたのは俺と話すためなんだろうな。なんだか、今日の授業予定を狂わせてしまったようで申し訳なく感じてしまう。


「先程は失礼しました。サクラコさんの担任の、鷺ノ宮(さぎのみや)です」


 成程、厨二病のスイッチは入っていないようだな。できれば、このまま厨二病を出すことなく話していきたいところだ。


「いえ、こちらこそすみませんでした。母校ではないとはいえ、久しぶりに学校に来たせいか、ふざけ過ぎてしまいました」

「私も、久しぶりに同い年くらいの人と会ったので、はしゃいでしまいました」

「……できれば、さっきみたいなキャラは控えて下さいね」

「あはは~、最近はずっとサクラコくんにあのキャラでやってたので、癖みたいになってまして……御見苦しい所をお見せしました」


 まぁ、そうだよな。こんな田舎で、生徒はサクラコ一人だけだとそうもなっちゃうわな。他に接する大人がいない環境だと開放的になってしまうのはなんか理解できる。俺もここに越してきてからは解放感から普段やらないことにも挑戦してるしな。


「それで、本日はどういったご用件で?」

「あぁ、そうでした。ちょっとここではあれなので、廊下でいいですか?」


 流石にこの静かな教室の中でサクラコの両親の話をしてしまうとサクラコに聞こえてしまうので、場所を変えるように提案した。


「あ、分かりました」






 俺と先生はそのまま教室を出て、少し先の流し台の前までやって来た。ここであれば、サクラコに俺達の会話が聞こえることは無いだろう。


「えぇと、それでですね……鷺ノ宮先生は、サクラコの両親が今こちらにいない事ってご存じですか?」

「えぇ、お仕事で世界各地を飛び回っていると聞いていますね」


 サクラコからは仕事で家に全然帰ってこないとは聞いていたが、まさか世界を飛び回っているとは。なんでそんな人が、こんな片田舎にサクラコを住まわせてるんだか不思議だな。


「成程、やはりそうでしたか……先生は、サクラコの両親の連絡先って知ってたりしますかね? 連絡を取りたいので、もし知っていれば教えて頂きたいんですよね」

「あぁー……」


 うん? なんだかバツが悪そうな表情になったぞ?


「……実はですね、私もサクラコくんが二年生になった事ですし、面談もできていなかったのでお電話でお話しようとしたんですけど……入学時の書類に番号が書かれていたのでそれに電話したんですけど、番号が変わってるみたいで」

「……まじか」


 どうやら鷺ノ宮先生ですらサクラコの両親の連絡先を知らないらしい。これは……万策尽きたか?


 なぁんだ、鷺ノ宮先生自分の意思で厨二キャラと素のキャラの切り替えできるんじゃん。よかったね、孝文くん!

サクラコ「先生は厨二キャラ?のほうが面白いのにぃーっ!」

 確かに面白いけどさぁ……ってか、サクラコちゃん前の閑話で色々小説読んでるって書いてたじゃん。その中に厨ニキャラ出てこなかったの?

サクラコ「えー、わたしが読んでたのには出てこなかったかもー?」

 え、何読んでたの?

 サクラコ「えー? 金色夜叉とか」

 渋ぅっ!? ってかその歳でそんなドギツい内容の本読んじゃダメでしょー!?


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