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高卒サラリーマンが脱サラして田舎でスローライフするだけの話  作者: らいお


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奮闘、庭づくり編 第二話

 翌日、俺は相も変わらず庭を耕していた。ザックザックと軽快なリズムで耕す。辺りには土の匂いが充満していた。この匂いは、別に不快だとは思わない。むしろ、俺は好きな匂いだ。

 昨日の夜から手が痛い。いつの間にかマメができていたらしく、耕してる最中にそれが潰れた。

 だが、俺はそれに気付かなかった。痛いとは思っていたが、耕す作業の楽しさが勝って作業を黙々と、集中しながら続けている。

 そして、額の汗を拭うために(くわ)を離した時にはじめて気が付いた。軍手が血で真っ赤に染まっていたのだ。


「うぉっ、なんだこれっ!」


 気付いてしまうともう遅い。ゆっくりと、じわじわと。痛みが強くなっていく。


「いってぇぇぇ……」


 軍手を取ってみると、それはもう酷い有様だった。皮は剥がれ、肉が顔を出していた。

 俺はすぐに冷水をバケツに汲み、両手をそれに突っ込む。

 急に冷やされた事で痛みは強くなったが、次第に和らいできた。無色だった水が、じわりじわりと赤く染まっていく。


 痛みが引いてくると、水から手を出し手当てをする。念のためと思い、こういった時のために消毒液やガーゼなど、手当てをする道具を一通り揃えていてよかった。

 手当てを終えると、俺は手を見ていた。こんな怪我をしたのは久しぶりだ。きっと、学生の時以来だろう。

 ……何だろう、俺は別にMというわけでは無いが、ワクワクしているな。普通の人であれば怪我をした時点で今日の作業を終えるだろう。だが、俺は今作業を再度始めようとしている。

 確かに手は痛いんだけど、着実に成果が出ている庭を見ていると今は休んでいる場合では無い、と思ってしまうのだ。

 俺はマメができていた部分を消毒してガーゼをし、その上から運動する時に使うテーピングをキツめに巻く。これなら作業再開できそうだ。

 そして再度鍬を持つと、俺はまた鍬を振り出した。


 庭全面を耕し終わる頃には、もう夕方になっていた。マメが潰れてからは作業効率が落ち、時間がかかってしまった。だが、終わらせる事ができた。

 手は相変わらず痛かったが、テーピングをしたのが良かったのか悪化する事は無かった。これから鍬を使う作業をする際はテーピングをしてからやろう。

 これで、庭全面を芝生にするための土の準備が整った。後は先日注文していた芝の種が届くのを待つだけだ。


 あと庭づくりでする事と言えば何だろうか……あぁそうだ、畑。小さめの家庭菜園を作ろうと思っていたんだ。明日は畑にする位置を決めて、そこだけもう少し深めに耕しておこう。育てるのは……ジャガイモでいいか。まだこの土地にはどれくらいの養分が含まれているのかが分からないので試験的に育ててみよう。

 あとは柵も用意しないとだな。動物を飼うのに紐を繋げたまま、ってのも可哀想なので、柵を設置して自由に歩き回れるようにしよう。柵は、買うか作るか、どうしようかな。


 やる事がいっぱいで大変だけど楽しくなりそうだ!という話をほなみさんに電話でしたのを覚えていたが、連日の作業の疲れからか寝落ちしてしまったらしい。ほなみさんが耳元でワーキャー騒いでいるような夢を見た気がするが、あれは夢だったのか電話だったのか。謎は深まっていった。





 翌日俺は、またしてもホームセンターに来ていた。今回は作業着と散水用のスプリンクラー、それから土壌改善のためにバーク堆肥(たいひ)を買う。

 作業着は土をいじっているとめちゃくちゃに服が汚れるからだ。今まで運動用のシャツでやっていたが、ああいうシャツは通気性を確保するためにシャツの目が細かいので、そこに土が入り込むとかなり厄介だ。なので、元々汚れてもいいような服を用意しておくと良いだろう。

 そして散水用のスプリンクラー。これは、もうじき芝の種が届くので、一度に広範囲に散水が出来るようにするためだ。もちろんジョウロなどを使ってやるでもいいのだが、庭は結構広いので、他の作業をやりながらでも勝手に散水してくれるのでスプリンクラーを買う。

 バーク堆肥は初めて聞いたんだが、これはどうやら土壌を良いものにしてくれるものらしい。落ち葉や枯れ葉、樹皮を発酵させたもので、土に養分を与えるらしい。このバーク堆肥自体も微生物に分解され、やがては土の養分へと変わるらしい。なんとも便利なものだ。


 まずは作業着から見てみるが、これはもう何でもいいだろう。前の会社で使っていたようなツナギタイプのものがあったので、それを多めに5着程度まとめて買う。試着なんてしなくても、元々会社で使っていたサイズは覚えているので同じものを買えばいいだけだ。なので作業着は楽々と選ぶことができた。

 スプリンクラーを買うにあたって、長めのホースも必要になるだろう。だがこれは、スプリンクラー側の対応しているホース径にもよって変わってくるので、先にスプリンクラーを選ぶ事を優先した。

 スプリンクラーは種類が豊富だった。田舎のホームセンター恐るべし。やっぱり周りが農家が多いから、こういった場所のホームセンターは品揃えが豊富なんだろう。選び放題だったので、家の水道にも合わせて内径12Φの物にした。あとはジョイントと内径12Φのホースを買うだけだったので、そこそこ長めの20メートルのホースも一緒に購入した。

 さて、バーク堆肥だが……外の園芸コーナーに、大量に置いてあった。しかも、格安。20L入りで500円もしないのだ。こんなに安いとは思っていなかったので嬉しい誤算だった。畑用にもそうだが、芝が良く育つためにも、多めに購入した。200L買ったが5000円程度だ。


 俺は買った荷物を車に積み込むわけだが、バーク堆肥が200kgもあるせいで積み込むだけで汗が吹き出てくる。もっと少量にすればよかったと後悔したものの、何度も片道30分かけてホームセンターまで来るのは面倒だったので、良しとしよう。うん、そうしよう。

 積み込みが終わったので車を走らせるが、なんとも鈍い反応だった。それもそうか、いつもは乗っていない200kgもある土を乗せているのだ。そりゃアクセルが重くなるはずだ。

 俺は走りの鈍くなった車で、そのまま帰宅した。


 帰宅すると、玄関先にジャガイモが山積みになっていた。ご近所さんが置いて言ってくれたんだろう。ありがたや。

 そうだ、この頂き物を使ってジャガイモを栽培しよう。正直こんなにあっても一人では食べきれないので残った分は種芋として使わせてもらおう。


 やりたい事がいっぱいだ。怪我もするし、苦労もするし。だけど不思議と嫌じゃないんだよな。これが”やりたい事”を実現しているって事なのかな。良い気分だ。

 俺は山積みのジャガイモを玄関内の風通しの良い比較的涼しい場所に移動すると、買いこんだバーク堆肥を庭に移動させるために買ってきたばかりのツナギに着替える。


「うん。やっぱり作業着は気合が入るな」


 俺はそう呟くと、作業を開始した。


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