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アメリア&花子〜婚約破棄された公爵令嬢は都市伝説をハントする〜  作者: 荒瀬ヤヒロ
〜赤いチャンチャンコと弟の歪んだ愛情〜
21/88

怪21





「ユリアン。アメリアがどこにいるか知らないか?」

「殿下。朝も言いましたが、姉上を呼び捨てるのは止めてください」

「何を言う。アメリアの呼び方などどうでもいいではないか。それより……」

「良くありません! 姉上はも・う・殿・下・の・婚・約・者・で・は・な・い・ので!」


 やたらと力を込めて言って、ユリアンがクラウスを睨む。


「ど、どうした? 朝から様子が変だぞ?」

「いいえ! 変ではありません! 僕が姉上に寄り添うので、殿下はペンディル男爵令嬢に寄り添っていてください! 以上、解散!」


 ユリアンは冷たく言い放って、踵を返した。


(姉上……アメリアはどこだ?)


 ユリアンもまた、アメリアを探していた。いつも同じ馬車で帰るのに、いつまで待ってもアメリアが校舎から出てこなかったからだ。


(やはり、今日ぐらい休ませるべきだったか)


 昨日の今日で、愛しい少女が何かに巻き込まれていやしないかと、ユリアンは気が気じゃなかった。

 二年生の教室を見て回ったが、アメリアの姿はない。何故かついてくるクラウスにイラッとしながら、ユリアンは通りがかった女生徒を捕まえた尋ねた。


「すまないが、アーバンフォークロア公爵令嬢を見かけなかったか?」

「え? アメリア様でしたら、先ほどまでご一緒させていただいておりましたが……」


 呼び止められたハンナは目を丸くした。


「西棟のトイレから、こちらへ戻ってきて別れたのですが」

「西棟?」


 アメリアが西棟に何の用があるというのだろう。ユリアンには心当たりがなかった。


「ありがとうございます。一応、西棟を探してみます」


 ユリアンは少し焦って駆け出した。


(西棟なんて、人気のないところに何故アメリアが……まさか、誰かに呼び出されでもしたのか? くそっ!)


 学年が違うから学園ではアメリアと一緒にいられない。「弟」という立場が苛立たしかった。


「おい待てユリアン! どこへ行くんだ?」


 後ろからクラウスの声が追いかけてきたが、振り向かなかった。


「アメリア様、何かあったのかしら……」


 小首を傾げてユリアンを見送ったハンナだったが、やはりアメリアのことが心配になり、彼女もまた西棟へ向かったのだった。



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