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序幕 再開の決意
――風が吹いている。静かなような、騒がしいような風が。
「……」
再び、再び『私』はこの地に戻って来た。
見覚えがあるようで、『私』の知っていたそれとは大きく姿が違うこの地に。
「……、……」
今度こそ……今度こそだ。
今度こそ成功してみせる。あの日、無慈悲にも、無残にも阻まれた夢を、今度こそ『私』は成し遂げてみせる。やり遂げて見せる。
他の誰でもないでもない、『私』自身のこの強欲を満たす為に。
「……ッ」
だからこそ、その為に今。
ここで再びの、再来の、再開の決意を叫ぼう。もう一度、夢と欲に満ちた咆哮を上げるとしよう。
「―――、―――――」
音はない。だが、それでいい。
例え聞こえなくとも、見えなくとも――そうあった。ただ、それだけのことで良いのだから。ただ、この心の奥底で嫌になるくらい、いつまでも残響を残し続けていればいいのだから。
ああ……そうだ。今度こそ――、
――今度こそ、『私』は俺の強欲を叶えてみせる。