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最弱勇者の英雄譚  作者: ギン次郎
3章 伝承の伝説
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3章幕間 疑問

 疑問がある。

 伝承の賢者たる私にも、答えが分からない疑問がある。



 彼、アメミヤ・ハルマは転生者だ。

 何者かが転生魔法によって呼び寄せた存在、それは確かなこと。

 だが、彼は不可解な『最弱』を背負っていた。

 私はこれを、彼に『術者が何らかの意図でデバフをかけた』と言ったが……。


 本当にそうなのだろうか? 


 その疑問の一番の原因は彼の『魔術適性』だ。

 彼は魔術適性を持たない、それは普通はあり得ないはずのことで……つまり彼の魔術適性は異常だということになる。


 魔術適性が異常だということは、それが示しているオドが異常だということ。

 そしてオドが異常だということは……その根本にある『魂』が異常ということなのではないだろうか。

 それなら、彼が『最弱』で転生したのは『魂の欠損』が原因になるのだが……。


 それはあり得ない。


 普通に生きてきた、ましてやここよりさらに平和で、魔術も魔法も存在しない世界の住人が魂を欠損させるなどあり得ない。

 それは確かなことだ。……だが、では何故?



 そして、それよりもさらに根本的な疑問があった。

 それは――彼自身のことだ。


 彼は以前、ホムラに『自分は昔から病弱だった』と言っていた。

 それは別になんら不思議なことではないのだが……。

 こと、それが転生者であるとなれば話は別だ。


 転生魔法によって呼ばれる存在には一つ条件がある。

 それは『健康であること』だ。

 まあ、当然の条件だろう。だって、転生魔法は他の世界から強力な存在を呼び寄せることを目的とする魔法。

 それで病弱な人間を呼び寄せては意味がない。

 つまり、病弱な人間は本来召喚される時に選択肢から外れるはず、なのだが……。


 何故か、彼が選ばれた。


 何故、どうして、アメミヤ・ハルマが選ばれた?

 どうして、何らかの理由で『最弱』となってしまう彼が呼ばれた?

 何故、何故、何故。



 疑問がある。

 伝承の賢者たる私にも、答えが分からない疑問がある。



「……ねえ、アメミヤ君」




 ――君は一体、何者なんだい?


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