First therapy……片腕と耳の取れたテディベア……その3
「海、大丈夫?」
静留は心配そうに問いかける。
ちなみに、喋り方は女性的だが、静留は男性である。
仕事中だけ、喋り方を丁寧にすることを心がけて、化粧をスタッフにさせていたが、自分がモデルになれば良いと、服はスーツだがナチュラルメイク、長い髪を最近流行の髪型にと整えている。
しかも、それが似合うのだから、羨ましい限りである。
「大丈夫よ。この子たちは元気になるわ」
「違うわよ! 貴方のことよ。貴方のベアは本当に可愛かったわ! ドレスだって、綺麗にイメージ通り作られていたわ! それなのにあんな風に言われて、困るでしょう?」
「……ベアが可哀想だわ。布はあったかしら……汚れも落とさなきゃ……」
「海!」
「静留。お願いがあるの。しばらくこの子達にかかるから、ご飯手抜きになるかも」
「それは良いけれど、ちゃんと私がいない時にもご飯を食べて頂戴」
海は苦笑する。
ほとんど家賃も食費も静留が出してくれているのだ。
海はほとんど共同スペースの掃除に洗濯、料理担当である。
それなのに、OKだと言う優しさに。
「分かってるわ。ありがとう。静留が責められないように、直して見せるわ」
「分かってないわよ……全く」
「じゃぁ、静留。お風呂入って頂戴。後で入って洗っておくから。洗濯物も入れてね? 洗濯機回すわ」
「はいはい」
「今日のご飯は、貴方の好きなお刺身とサラダと味噌汁ね。ぬか漬けもあるわよ」
海の仕事部屋兼寝室を出て行った静留は、ネクタイを緩めながら、ため息をつく。
「……いつまで待てば良いのかなぁ……」
呟きながら一旦自室に向かい、パジャマがわりのスウェットを持ち風呂場に向かったのだった。




