その後のちょっとしたお話。
■即バレした
僕とみのりの初体験のあと、その日のうちに双方の家族になにがあったかバレて、なんでちゃんと避妊しなかったんだって僕は双方の親から殴られた。反省はしてるんだけど、そもそも初えっちしてることを怒ったりしないものなの?
……しないらしい。ここぞとばかりに色々言われた。
「いつかやると思ってた」「むしろ遅いくらい。ヘタレか」「幼馴染なら女子小学生のうちに手を出しておくべき」
ちょっと、最後の言ったの誰?
まあ家族会議というか双方の家族総出で今後についての話し合いがあったわけで。僕はまだともかく、初体験の甘い?思い出を当日に家族みなで共有されるとか、みのりは怒っていいと思う。
みのりのお父さんは僕を殴ったことで、「なんで悠くんだけが悪いわけじゃないのに一方的に責めるのっ!?」ってみのりに怒られて三日間くらい口を利いてもらえなかったらしい。
いや悪いのは僕だし。お父さんは許してあげて。
いくら相手が幼い頃から知ってる娘の幼馴染でも、中学一年の可愛い愛娘が同意とはいえ交際始めたその日に初めてを生で散らされたら、そりゃ怒るに決まってる。僕でも怒ると思う。相手が足腰立たなくなるまでぶん殴るわ。
たぶんみのりは、繋がる直前にさすがに一瞬だけ冷静になってコンビニに行こうとした僕に「いま離れちゃやだ」「後悔だけはしないしさせないから」とかいって続行させたことを指してるんだと思う。つまり共犯だと。
でもそれ、みのりのお父さんに言うわけにもいかんでしょ。というわけで若さで気が回らずにしちゃったことにしたし話してない。なのにその事で責められるみのりのお父さん。理不尽すぎる。
いやうん。なんかすいません本当に。会議でも宣言しましたけど、娘さんは力の及ぶ限り絶対幸せにしますので許して下さい。
「お母さんには買い物に行こうとした悠くんを止めたの私だって言った」
「怒られた?」
「止めたくなくても、悠くんが好きなら止まらなきゃダメって」
■色々と大変だから、気をつけて
みのりは初体験の翌日にお母さんにレディースクリニックに連れて行かれて、追い服用で妊娠確率がほぼなくなる薬を処方してもらったと後日聞いた。アフターピルとか緊急避妊薬っていうあれ。
診察はなかったけど、待合室で恥じらいを覚えてすごく反省したらしく、18歳になるまではちゃんと付けてしようねってもじもじしながら言われた。いまの僕らの年齢で普通にしちゃうことには家族も誰もツッコまないんですかねぇ。
処方代は僕とみのりのおこづかいから数ヶ月間分割で負担した。やっちゃった報いは本人に受けさせるのがうちの教育方針なので。
後日、妊娠検査薬でのセーフ判定を経て、みのりに生理が来たときには安心でへたり込んだのは二人の秘密にしておきたい。重ね重ね反省してる。みのりにこんな思いは二度とさせたくないし。
生理が終わったあと、みのりと二回目の体験をした。お互いに気を使いすぎてて初めてみたいになってたけど、手さぐり感があるのもいいと思う。またしようねって言って一緒に眠った。
避妊具――ゴム代は親が出すって。家計簿に中学生の息子の避妊予算を計上するとか正直どうかと思うけど。足りなかったら自分で買うべきか追加してもらうべきかは悩ましい。
「うちもお母さんから言われた。それぞれもらえば二倍できる」
「どうせ情報共有されて回数把握されてると思うよ」
「……ドラッグストアで安いのいっぱい買う?」
「レシートよこせって言われてる」
■いつもと違う場所もいいものだけど
ラブホテル?レジャーホテル?にすこし興味があったので父さんに聞いてみたけど、さすがに代金は出してもらえなかった。というかラブホや学校やら多目的トイレを含めて互いの家の外では一切するなってきつく言われた。さすがに当面は年齢面で家族以外にバレると色々まずいって。
しくみに興味があると思われたのか、ラブホがどんなところかは小一時間ほど父さんから解説があった。興味はあるけどそっちじゃないよ。
あと内部の写真は出さなくていい。見たくないから。その画像の端で見切れてる裸の女性の後ろ姿、すごい綺麗なお尻だけど母さんでいいんだよね?
……日付が今年なんだけど!?
「悠くんの匂いがするから、やっぱり悠くんの部屋がいいよ」
「……ソウデスネ」
「悠くんどうしたの?」
「来年あたりに弟か妹ができるかもしれない」
「……うちも」
■自撮りは禁止で
外でのえっち禁止令には、盗撮とか盗聴を万が一にもされないようにってのもある。らしい。
成人後ならまだともかく、たしかに今の僕らの姿がネットで流れたりしたら色んな意味で人生に影響が出てくるのは想像に難くない。
スマホやデジカメでの互いの行為中や裸の撮影も厳禁。データがないものは流出しない。どうしても撮りたければ顔出しせずに水着姿とか僕の裸だけにしろって言われた。
その後、みのりに何枚か撮らされた。
もちろん顔は入れてないんだけど……せめてモザイク無しですむように、後ろ姿とかにしない?
「悠くんの成長記録」(パシャッ)
「みのり寄りすぎ」
「きちんと剥いたからもう一枚撮るね」(パシャッ)
「それ保管しておいてどうする気なの?」
■みのりを召喚したい
ラブホの件で思うところがあったのか、僕の部屋を防音工事しようかとか父さんから提案された。いらないんじゃないかな。みのりはそんなに声出さないし。
それよりも両親の部屋を先に防音にしてほしい。夜中に前を通るとたまに母さんの乱れた声が漏れてくるとか気まずいってレベルじゃないから。
夜にみのりと会いたくなるとか困る。でもさすがに夜這いとかはなあ。
マンションが隣とか窓が向かい合って行き来できる、物語の幼馴染とかならこっそり会いに行くんだろうけど。
「来るべき。悠くんに閉ざされた扉は、うちの家には存在しない」
「僕に対する謎の信頼感」
「もうすでにうちの息子みたいな感覚だと思う」
■確信
みのりはあの日以前から、僕のことを異性として好きっていう感覚はあったみたい。
でも、付き合いたいとかはっきりした気持ちではなくて、いつか僕のお嫁さんになるのかも、みたいなそのまま消えてもおかしくないぼんやりとした想いだったとか。
それが、未来を見てから急に積極的にぐいぐい押してくるようになったのは、なにか未来の出来事に影響でも受けたんだと思ったんだけど。
「将来に自信がなかったけど、おっぱい大きくなってたからいけるかなって思った」
「そっち!?」
「対悠くん用決戦兵器」
「いや、大きいのも小さいのも好きだし」
「すごく好きと、まあ好き、くらいの差はつけるのが悠くん流」
「………………そんなことは、ない……んじゃないかな?」
「もうすこしだけ待ってね」
「いや、いまの大きさも好きだし増える過程もすごく楽しみだから。嘘じゃないから!」
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