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王様は魔法使い  作者: 萩野満月
第一部 名前を憶えてもらえない系女子
2/12

1.私の名前は、エリザベット


 私、エリザベットには、悩みがある。


「これはこれは、レディ・ホワイト。」

「まぁ!シシィ!相変わらず、可愛らしいですわ。」

「はじめまして、マーガレット嬢。」


 煌びやかなシャンデリアと豪華な赤い絨毯をしかれた大きなホール。ある者は、館の主に挨拶し、ある者は、子供を連れ添い和やかに歓談している。そんな中、館の主人の娘である少女は、子供らしい可愛らしい声で声をかけ、笑顔むける。

「ごきげんよう、皆様。」

 そんな可愛らしい表情とは裏腹に、少女は自身の胃がねじれそうになるのを感じていた。




「私の名前は、エリザベットですわ!」


 自室に戻ると、窓に向かって思わず叫んでしまった。

 もちろん白い窓枠の窓はきっちりとしまっている。


「まぁまぁ、リジィお嬢様。そうお気を落とさずに。」

「だって、みんな私の名前忘れたかのように言うのですもの。

 今回なんてひどいのよ!ダドリー伯爵にマーガレットって呼ばれたわ。

 きっとレディ・ホワイトだけ覚えてたんでしょうけど。」

「あらあら。困った殿方だこと。」

 侍女のマーサが困ったように微笑んでいる。


 私の悩み、それは”名前を間違えられる”だ。



 私の名前は、()()()()()()。愛称はリジィ。

 私が産まれる日、「雪のように白い肌、血のように赤い頬や唇、黒檀の窓枠の木のように黒い髪な子供が生まれるように」と願った母。母の願い通りの容貌で産まれた私は、御伽噺に出てくる「白雪(スノー・ホワイト)」のようだと口々に言い合った。そのせいか、ほとんどの人々は、「白雪(スノー・ホワイト)」と名付けられると信じて疑わなかった。

 しかし、私が生まれたトランティニャン家では、代々、産まれた子供が男ならば「フィリップ」、女ならば「エリザベット」と名付けられる。トランティニャン家の長女として生を受けた私も、母の願いはどうであれ、その慣例に従い「エリザベット」と名付けられた。

 

 月日が流れ、お茶会に出席できるようになってからというもの、平和が続き暇を持て余した貴族たちによって、「トランティニャン家の長女は、白雪姫のようだ」から「トランティニャン家の娘は、白雪(スノー・ホワイト)だ」に変わってしまった。

 その結果、白雪から()()()()()()()()と呼ばれるようになり、果てはそこから連想して「マーガレット(真珠)」や「マルグリット(真珠)」と呼ぶものまで現れた。


 そもそも愛称だって、最初は皆、普通にリジィとかリシィとか呼んでいたわ。

 でも、文通ができる頃合いから「リシィ(Lissi)」より、スペルの似ている「シシィ(Sissi)」の方が、可愛いくて呼びやすいという理由で、「シシィ」と呼ばれるようになった。


「シシィ」だなんて、エリザベットにかすりもしないじゃない!



「さぁさぁ、お嬢様。そろそろお召し変えをいたしましょう。

 本日のおやつは、お嬢様のお好きなチーズケーキですわ。」

「チーズケーキ!ありがとう!マーサ。」

 お気に入りのチーズケーキに思わず、マーサに抱きつく。

 マーサは、少し困ったような顔をしながら、優しく頭を撫でてくれた。


 きっと怒っていたから気を使ってくれたんだわ。

 

 エリザベットは、お呼ばれ用のドレス姿から普段着のワンピースに着替え、マーサに引いてもらった椅子に座る。

「本日の紅茶は、インペリアル社のものです。」

「ありがとう、いただくわ。」


 インペリアル社の紅茶はおいしい。

 どれも美味しいが、特にお気に入りなのがこの()()()()()()()()


 以前、お父様が外国から取り寄せたという白い紅茶。

 紅茶なのに、ミルクのように白い色をしていて、ほのかに甘いナッツの味がする不思議なお茶だ。


 名前が気に入らないけれど、紅茶と違って、ミルクやお砂糖を入れなくても甘いので

 ついつい飲みすぎては、マーサに叱られる。


「リジィ!」


 エリザベットが、優雅にお茶を楽しんでいると、ドアの方から声が聞こえた。



がんがん書いて、がんがん修正します。

なので、がんがん読んじゃってください。

(by 萩野満月)


責任感のない大人は嫌われますよ

(by エリザベット)


その日の満月は真ん中に大きなクレーターがあったそうな。

(by マーサ)

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