一話:そこは異世界~後編~
自分は今森をホースと一緒に歩いている。
この森はとても静かで少し居心地がいいようにも思えるのは何故だろうか。
少しずつあやふやになっていく記憶の中を探りながら考える。
そこでふと思った。自分はこの世界に受け入れてもらえるのだろうかと。
ピト「ねぇ、ホース。」
ホース「なんだ?」
ピト「自分は迷い子なんでしょ?」
ホース「あぁ……多分な。」
ピト「ホースはなんで、迷い子って言うとそんな気まずい表情をするの?」
ずっと気になっていた。
きっと前にはなかっただろう勇気を振り絞って言ってみた。
彼は凄く嫌そうな顔をして足を止める。
ホース「言わなきゃダメか?」
ピト「嫌ならいいよ。多分だけど察したから……ホースは兵士とか騎士とか何かを守る役割の人でしょ?」
ホース「その通りだ。」
ピト「自分はさ、多分消されるんだよね?忌み子として……」
彼の表情は一瞬図星を突かれたように反応した。
自分は予想から確信へと変わった瞬間でもあった。
ホース「何故そう思う。」
ピト「居ないはずの子どもが現れる……それってさ、死者や空想の人物って事でしょ?ようするに居ちゃいけない存在……何も覚えてないって言ったけどさ。なんとなく覚えてるんだ、この気持ち。これはまたかって、何処へ行っても必要とされていない。諦めの気持ち。」
ホース「……」
ピト「でも、諦めの中にただ根強く残ってるのはね。存在はしてたいって。存在していいって認めてもらいたいって言う気持ちなんだ。」
何を言ってるんだろう自分は。多分らしくない。
そう思いながら自分は彼の表情を見た。
彼は何処か吹っ切れた顔をしていた。
ホース「一つだけ消されない方法があるぞ。」
ピト「?」
ホース「俺の子になることだ。」
ピト「!?」
ホース「なんだよ……」
自分は驚いてバカみたいな表情になる。
彼は顔を赤くして何を言ってるのだろうか?
子?ホースの子ども?ちょっと理解が追いつかない。
ピト「ホース……ホースって実はおっさんだったの?」
ホース「ばっ!俺はまだ23だよ!バカ野郎!」
ピト「じゃ……じゃぁ頭打った?」
ホース「そろそろ張っ倒すぞ……」
ピト「嘘嘘嘘!!嘘です!超嘘です!ご説明お願いシャス!」
ホース「はぁ……」
ホースは深く溜息をし、頭を抱えるが真面目なのか懇切丁寧に説明してくれた。
要するに子になると言うのは、ホースが自分の里親になるという事らしい。
ホースは、森の巡回者で国を守る騎士でもあるらしく独り身だが里親になるだけの地位はあるらしい。
ホースの言う国と言うのは幻想の森の中心に広がる「フォレスエル」と呼ばれる、
犬種、猫種、馬種の住まう国らしい。その国の掟では里親になれるのは権力の高いものでないといけないらしい。
しかし彼が言うには、その国は鳥種に対する対応が酷いらしく辛い思いをする可能性が高いという事だ。
王や女王は人がいいらしいく、偏見を持たない人らしいのだが国民は鳥種に恨みを持ってる者も多いらしい。
その国の歴史などは教えてくれなかったが、居ても良いと言われた気がして嬉しかったので自分は彼の子になると言った。
彼は何処かホッとした表情をしていた。あぁ……彼はきっと優しいのだ。
きっと、この仕事をしていて辛く思っていたこともあるのだろう。
こういう奴は大抵早死にする。言わば損をするタイプの人だ。
何故見ず知らずの自分を、ましてやホースの国で忌み子として扱われる迷い子を。
鳥種らしい自分を助けてくれるのだろう。確かに嬉しい。でもそれと同時に深く広がっていくこの感情は多分、疑心だ。
少し考え込む自分が心配になったのか、ホースは話しかけて来た。
ホース「ほら、もうすぐ国に着くぞ!」
そう言えば、ホースは目の前を指を指す。
そこを見れば大きな壁のある門を見つけた。
ピト「大きな壁、でも鳥種は空を飛ぶんでしょ?余裕でこんな壁飛び越えちゃうんじゃない?」
ホース「あの壁の高さは鳥種の平均限界飛行高度より少し高い位置にある。鳥とはいえ体力や筋力には限界があるからな。」
ピト「でも平均ってことはそれより上も居るんだよね?」
ホース「あぁ……そういう奴は大抵強い奴でな、だから国民は鳥種が大嫌いなんだ。国内で戦えば犠牲者が増えるからな。」
ピト「へぇ……じゃぁ入れないようにすればいいじゃん。」
ホース「それが出来たら苦労しないぜ。」
ピト「簡単だよ。上から侵入すると作動するトラップを設置すればいい……簡単には越えられなくなるでしょ?」
ホース「……」
別に考えれば普通に思いつく事なのにホースは驚いて沈黙してしまう。
ピト「え?なんかまずい事言ったかな?」
ホース「いや、別にそれは不可能ではないしダメな事でもない。だが現状では無理なんだ。」
ピト「なんで?」
ホース「なんでって……能力者が必要になるだろ。」
ピト「能力者?」
ホース「それも分からないのか……能力者は神々から与えられた加護、能力を持っている者の事だ。」
ピト「神……」
ホース「神の加護は皆がもらえるわけでは無い。ましてや自然に関わる加護を与えて貰った者は神に等しい扱いをされる。鬱陶しいくたらいにな。」
ピト「神……神か……どの時代も、どの世の中も神が偉いのか。目の前に居ない空想にも等しい存在、大嫌いだね自分は。」
ホース「!……お前、それ絶対国の中とか他の人前で言うなよ?殺されるから……」
ピト「ホワッツ!?マジで!?じゃぁ言わない」
ホース「お前変な所で素直だな。」
ピト「お互い様でしょ……」
ホース「え…?」
そんな他愛無いやりとりをしていた。
でも突然ホースが何かを感じ取ったのか私を突き飛ばした。
私は少し離れた地面に転がった。
視界が安定し起き上がるとホースの目の前には6人の……なんだあれは。
動物ではない、悪魔に近い何かだ。
驚きを隠せず硬直していた自分にホースは怒鳴った。
ホース「何してるピト!悪魔種だ!逃げろ!」
ホースの手には茶色の槍があった。
ホースは確か武器何て持って無かった。もしかしてホースは……
そんな事を考える暇もなく攻防が始まる、ホースは自分を守りながら戦ってる。
自分が邪魔になってる。でも相手は六人、ホースは勝てるのか?
でも自分に戦う力はない。知識もない此処は逃げるしか選択肢は、
???「逃がさないよ?」
ピト「ッ!?」
逃げようと立ち上がり駆け出そうとした瞬間、体の左側に痛みを感じた。
そして熱い、炎で攻撃されたんだ。能力者だったんだ。
神にも等しい、悪魔種の能力者。
ホース「ピト!!」
熱いし痛いし何なんだよ。
ホース来ないでくれよ、そんなんじゃ君まで怪我をしてしまうじゃないか。
敵は手練れだ、ホースの隙なんて見逃さない。
次はホースに向けて、火を
ピト「そんなことさせるか!何が神だ!何が能力者だ!そんなもん大嫌いだ!そんなもん全部吹き飛んで消えてしまえ!!!」
私は痛み何て忘れて駆け出した。ホースを庇うように前に立った。
でも、その先の事は覚えていない。あぁ、これ絶対死んだんだろうな。
短い人生だった。
次回はキャラ紹介と言ったな…
あれは嘘だ!いや本当にすいません、マジで…(´;ω;`)
言い訳をしますと、キャラデザが間に合ってませんでして。
もう少し待って下しや!




