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 月籠り



 私は今、純白のウェディングドレスを着てあなたのもとへ向かう。もうすぐそこに私の幸せが待っている、正面に見える彩られたステンドグラスから様々な色の光があなたを照らし出している。その逆光であなたの顔ははっきりとは見えないけれど、その顔は微笑んでいるようにもみえ、私を待っている。私はヴァージンロードをゆっくり、ゆっくりと歩いていく。あなたのもとに歩く途中、その参列者の中に忘れかけた顔を見つけ、一瞬、ほんの一瞬立ち止まってしまう。そして、なぜか私の瞳から冷たいしずくを無意識にこぼしてしまっている自分に気が付いた。ほんの一滴。それが私のレースの手袋に染み、それを振り払うかのように私はまた歩き出す。もう彼の手を握ることは無い。そう、もうその手は離されたから……。



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