表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
I My Step  作者: ごまふ
1/1

#01 はじめまして

はじめまして、ごまふです。


小説を書くのは初めてなので、至らないところ多々あると思いますが、ご指摘頂けると嬉しいです。


「I My Step」をよろしくお願いします!

 私、芳川真衣はぴっかぴかの高校1年生。今日は高校の入学式。


今日から通う学校は、家から2kmくらいのところにある鯨浜高校というところ。この辺りの学校では唯一、制服がセーラー服なので、それが目当てで学校を受験する人もいるらしい。


ずっと憧れていた制服にゆっくりと袖を通す。それから、スカートの長さやリボンを鏡の前で念入りにチェック。ブラウスは少しぶかぶかだけど、これから身長も伸びるよね。

くるっと一回りしたら、スカートがふわっと広がって、本当に高校生になったんだと実感した。


高校に入学するのは楽しみな反面、不安もある。むしろ不安の方が大きいくらい。


私の1番の不安は、クラスに馴染めないかも、ということ。新しい学校になって、誰にでもそういう心配は多少なりともあると思うんだけど、私のは比にならないくらい。私はすごい人見知りで、自分から話しかけるのは苦手。誰かから話しかけられても、うまく返事が出来ないときがある。嫌われてないかな、とか、変に思われてないかな、とか考えちゃって、言葉が出てこない。


小学校のときは友達がたくさんいて、学校も楽しかったんだけど、中学校に上がってから、新しく友達を作る方法がわからなくなった。なんて話しかけたらいいのかわからなくて、結局ずっと小学校が同じ友達にくっついてばかりだった。中学校でできた友達は、同じ部活だった子が数人だけ。クラスには特に仲が良い子がいなかったから、教室でもどこか浮いてしまっていた。居心地は悪くて、あんまりいい思い出がない。


でも、高校ではたくさん友達作って、楽しい高校生活を送りたい。


そんな思いで、中学校を卒業してからロングだった髪の毛をばっさり切った。とにかく自分を変えたかった。髪型を変えたからって性格も変わるわけじゃないんだけどね……。


顔を洗い、歯を磨き、短い髪を整えて、準備完了。


「行ってきまーす!」

誰もいない家に向かって元気よく挨拶する。声を出すと少し落ち着くから。


お母さんは仕事が忙しくて休みが取れなかったんだけど、式の時間だけ来てくれる。


高校まではちょっと遠いけど、まだ自転車に貼る高校のステッカーをもらってないから、今日は学校まで歩き。歩いたらどのくらいかかるのかな。


中学校と逆の方向に歩いていく。何回か歩いたことがある道だけど、今日はなんだか景色が新鮮に見える。


まだ桜は咲いていないけど、空は雲ひとつなくて青空がどこまでも続いてる。


空を見ていたら全てなんとかなる気がして、学校までの道はすごく短く感じた。



『鯨浜高等学校 入学式』


私、本当に高校生になるんだ。


入学式の看板と並んで写真を撮っている親子がたくさんいるけど、ひとりの私は気にしないふりをして看板を素通りした。


玄関に貼ってある名簿を見て自分のクラスを確認する。「芳川」という名字はいつも最後から2、3番目くらいなので探すのが楽だ。和田森、芳川、ほら、もう見つかった。1年6組39番。学年色である青のシールに639と書いてある下駄箱を探す。


ぴっかぴかのローファーを脱いで下駄箱にしまい、上履きを、うわばき……って、あれ、ない!大変だ!あんなに準備していたのに、上履き忘れちゃった!


どうしよう。入学式なのに……。


とりあえず靴下のまま校内に入った。廊下の冷たさが足の裏に伝わってひんやり。不安が押し寄せて涙がでてきた。こんなんで友達できるのかな……。


「君、新入生?もしかして上履き忘れちゃったの?」


陽気な声が後ろから聞こえた。振り向くと、くるくるした灰色の髪の毛の先生が立っていた。眼鏡の奥の目はにこにこ笑っている。


泣いているのを見られてしまって恥ずかしくなり、下を向いて頷いた。


「スリッパ貸してあげるから、ついておいで。」


先生が貸してくれたスリッパは保護者用で私にはサイズが大きい。でも、安心して足の裏も心も暖かい。


高校って怖い先生ばかりだと思っていたけど、意外とそんなことないのかも。今の先生、すごく優しそうだった。


この学校の教室は1階から順に教務室、3年生、2年生、1年生となっているから、私たち1年生は4階まで登らなくてはいけない。私はスリッパをパタパタ鳴らしながら階段を上がった。長い階段も、緊張から何も考えられなくなって、気がついたら教室の前まで来ていた。


教室に入ると、もうすでに何人か座っている人がいた。やっぱりみんな緊張しているのか、本を読んだりケータイを見たりしていて、喋っている声は聞こえない。


黒板に貼ってある座席表で自分の席を確認して、席に着く。


名簿番号がうしろだと、最初の座席はだいたい窓側。ぽかぽかの日差しが差し込んできて気持ちいい。


ぼーっ。

一気に緊張感が解けて、眠くなってきた。



ぽんっ。

うしろから肩を叩かれて目が覚めた。


振り向くと、


「私、和田森 風佳。うしろの席なんだ。よろしくね!」


クラスの子が声をかけてくれた。嬉しい…!


「わ、私は芳川 真衣。よろしくね、風佳ちゃん!」


「真衣、よろしく!ねーね、真衣ってどこの中学なの?ちなみに私はねー、……



──ガラガラッ。


「ホームルームはじめるぞー。」

教室に先生が入ってきて、少しざわつき始めていた教室も一気に静かになった。


! 教室にいたのは朝スリッパを貸してくれた先生だった。


「1年6組担任の桜 広海です。1年間よろしく」


先生も私に気づいてくれたのか、にこっと笑った。スリッパを貸してくれたときと同じ優しそうな笑顔。


風佳ちゃんと仲良くなれそうだし、担任も優しそうな先生だし。少しずつだけど、私の心の中で、高校生活への不安がさーっと引いていく感じがした。


「それじゃ入学式の説明をするからよく聞いて。まずは、……



── 入学式後。



「それじゃ、明日はLHRと授業もあるから教科書等忘れ物ないように。じゃあみんなまた明日」


とりあえず1日目が終わった。朝、無駄に緊張しすぎていたせいでどっと疲れが押し寄せる。


「真衣、じゃあねー!」


「風佳ちゃん、ばいばいっ。」


お母さんは私が学校でうまくやっていけるか心配してくれていたから、はやくお友達ができたことを教えてあげよう。


玄関で靴を履き変えようとして、自分がスリッパを履いていたことを思い出した。教務室は生徒玄関を入ってすぐの場所だけど、とても入りづらい。でも、スリッパは返さないと…。


勇気を振り絞って教務室のドアをノックする。


コンコンッ。

「し、失礼しますっ。1年6組の芳川です。えーっと、さ、桜先生に用があります!」


緊張しすぎて裏返った声でそう言うと、奥から先生が来てくれた。


「先生、スリッパありがとうございました。とても助かりました。」


「明日は内履き忘れないようにね。えっと…なにさんだっけ?」


「芳川……芳川 真衣です!」


「真衣さん、不安なこととか心配なことがあったらいつでも相談してね。」


「ありがとうございます!失礼します。」


帰り道。朝と同じ道だけど、心は全然違う。今は、不安よりも頑張ろうっていう前向きな気持ち。


…明日、学校に行くの楽しみだな。

読んで下さりありがとうございます。


もしよければ感想、ブックマークしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ