〜悪の種はチートで花開く〜#5
更新!遅れ!ました!
二人はキャンプ地を出発し、少し開けた道を歩いていた。鳥はさえずり、心地よい風が吹く。
「それにしても昨日は災難だったな、あんなのに襲われるなんて…」
グロムは銀太に言う。
「いえ、ラッキーだと思いますよ。たとえ襲われなかったとしたらグロムさんとは会わなかったし、夕食にありつけなかったし…」
「ははは、お前意外と楽天的なんだな」
冗談まじりの銀太の発言にグロムは笑った。
「ところで、さっき言ってた村ってどんな所なんです?」
「ああ、オニヴ村って名前だ。中規模の集落で、主に狩猟と農業で成り立っている村だ。ただの農村だと思われるが、交通の要所だ。その分旅の人間を泊める宿が多い」
グロムはオニヴ村について詳しく語る。
「その村は経済的には結構潤っているんだ、だから盗賊や魔族の襲撃もある。俺は以前にそこの用心棒をやっていた」
用心棒!どうりで強いわけだ、と銀太は思った。昨日の獣は中型ながらも剣で多少斬りつけた程度では致命傷には至らないだろう。しかし、グロムは兜割りで頭を斬りつけ、あっさりと獣の頭蓋を粉砕して絶命させた。相当腕のある剣士であることは明白だ。
「あともう少しすれば村が見えてくるだろうよ、そうしたらお前のボロボロの服を新調してやる」
「いいんです?僕お金持ってないけど…」
「武器も一緒に買ってやる、金は仕事で返せよ?」
仕事、と言われて銀太は萎縮した。今まで虫ですら躊躇する自分がグロムのように戦えるだろうか、と考えた。
「え、でも僕全然強くないし…」
「いきなり多くを求めねえよ。どんな大英雄だって初陣はあったんだ。お前もこれから強くなればいいーーーーーお、見えてきたぞ」
道の先に少し開けた場所が見えた。さらにその先には家屋が何軒か見える。
「あれが…オニヴ村……!」
銀太の活躍、銀太の第二の人生、全てはこの村から始まった。
ごめん!なさい!