〜悪の種はチートで花開く〜#3
3話目、新キャラクター追加、でございます。こっから面白くしていきますよ〜!
眼が覚めると銀太は森の真ん中にいた。見たことのない木々に囲まれていることから、ここは少なくとも彼の元いた世界ではないことは容易に想像できた。
「ここはどこだろう…」
あたりを見回しても人どころかネズミの一匹すら確認できない。「おーい、誰かいませんか」と遠くにいる誰かに聞こえるように声を出したが、全く反応がない。銀太は途方に暮れ、近くにあった切り株に座り込んだ。
「本当にどこだ…エリバさんは本当に見つけてくれるだろうな…」
ため息をつき、銀太は考えた、これからどう行動するかと。エリバが護身の力を与えてくれたと言っても、その力を過信して無茶な行動をするわけにもいかない。しかし、ずっとこの場所にいたとしても行き倒れて野犬の餌にでもなってしまうだろう。
「それなら町か村でも探すべきか。この世界の金は持ってないけど、仕事くらいは斡旋してもらえるだろうし、ここより安全に暮らせるはずだ」
とは言ったものの、町や村がある方角なんてわかるわけがない。だが行動しないと始まらないだろう。そう思い、銀太は立ち上がった。
その時だ、近くの草むらがガサリと音を出して揺れた。銀太に緊張が走る。ウサギか何かならいいのだが、野犬や狼ならこちらが危険だ。
「な、なんだ?何がいるんだ!」
銀太はとっさに近くに転がっていた棒切れを取る。気休めにもならないが、無いよりはマシだ。
「出てくるんなら出てこい!」
という銀太の言葉に答えるが如く、草むらにいる『その動物』は姿をゆっくりと表した!
体長約130cm、体重は70kgほど。白に茶色の斑点が入った毛皮。犬のような頭部を持ったその獣は鋭い牙を剥き出しにし、目の前の銀太を今すぐにでも仕留め、糧としようとすることが見て取れた。サバイバルナイフめいた爪を持ち、獣の肉体は毛皮の上からでもわかるほどに筋肉が隆起していた。
「あ…ああ……」
当然ながら銀太は蛇に睨まれたカエルのように萎縮し、足がすくんだ。獣は涎をたらし、唸り声を上げながらじりじりと銀太へとにじり寄っていった。
「や、やばい!助けて!!」
銀太は獣を近寄らせまいと両手を前に出した。無駄な足掻きだとわかっていた。しかし、どうすることもできなかった。
「グアアアーーッ!!!」
獣が雄叫びを上げ、鋭利な爪を銀太に突き立てようとした、その時である!
「そうはさせねえぞ!!このワンコロが!!!」
突如現れた青年が両手剣で獣の脇腹を突き刺した!
「アアアアーッ!グアアーッ!!」
獣は剣を抜き、青年から間合いを取る。しかし、それを許さないように青年はロケットめいて獣を追撃した!
「く!た!ば!れェーッ!!」
青年は大きく両手剣を振りかぶり、獣の脳天に振り下ろした!!兜 割 り で あ る !
直撃した獣は頭から血を吹き出し、断末魔の悲鳴をあげることなく倒れた。即死だった。
青年は剣についた血を振り落とし、銀太に手を差し伸べた。
「ケガねえかよ?ニイちゃんよお」
青年は「もう大丈夫だ」と言うように笑いかけた。
長文ながら、読んでいただきありがとうございます。初期と比べ、大分なろうに慣れてきました。
ここのところが読みにくい、などありましたらお手数ですが感想、レヴューなどで書いていただけると幸いです。