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亡国からの冒険者(無)  作者: 圭作
第1章 レベッカ
6/11

その後5

 ゆっくりと目を覚まし…王都があるか再び確かめてみるが……


 残念ながら見当たらない。


 と、と、とりあえず別の場所だな!うん!と言い聞かせ大英雄の言っていた祠を探しへと現実逃避する。


 探していると頑丈そうなバカでかい石が…


 『ゴゴゴーッ』


 轟音をたてながら動いていき、小さな祠が現れたのだ。

 大英雄もニクい演出出来るじゃん?と感心しながら進む。


 そして言われた通り奥まで進むと、大きな岩がありその中央には安っぽい剣が刺さっていた。


 サッサと抜いて王都の様子を探りに行くか!と、抜きにかかるがビクともしない……大英雄の罠である。


 (抜かずにこののまま帰ってやろうか!)


 何度となく思ったが…

 俺はそう物大切にする男だ!

 そのまま試行錯誤することにした。


 色々と試したがこのままじゃ抜けそうに無いし

 

 (初めて聖痕の力を使ってみよう!)


 剣を両手でしっかり掴み…両腕に集中し…心の中で(剛勇無双)と念じ

 一気に力を込めて引き抜いた!!抜けたっ!抜けた!!

 

 アレだけ力を込めてもビクともしなかったのが、アッサリと抜けたのだ!

 なかなか使い勝手が良さそうだ…とこれからの使い方を考えていると


 『カランカランカラーーンッ』


 祠の中に虚しい音が響き、抜いた剣に目をやると…案の定刀身がポッキリと折れていたのだ。


 大英雄の最後の言葉は一体なんだったんだ。

 落ちた刀身を脱力感に苛まれながらも拾い上げワンダーポケットにしまった。


 説明しよう!ワンダーポケットとは以前から持ってるスキルで、たまたまこれを獲得出来たのは14歳の誕生日に悪友3人から貰った記憶石がキッカケだった。


 記憶石とは少量の魔力をこめると、最初に使用した際の周囲の音や景色を大きさにより時間は異なるが、記憶できる便利な魔法道具(マジックアイテム)なのである。


 そしてその記憶石にはモーティシアさんの剥き出しなNICEBODYがバッチリと収められており、俺の秘密の宝物の一つだった。

 モーティシアさんに対する罪悪感もあったが思春期独特の好奇心から夜な夜な楽しむのが止められずにいた。


 そんな夜が3日続き王宮では……


 夜な夜な王子部屋から怪しげな光が見えると侍女達の間で噂になっており、心配した執事のセバスチャンが様子を伺う事になっていた。


 そんな事ともつゆ知らず友人達に感謝しモーティシアさんに心の隅で謝罪しつつも俺は今夜もお楽しみを開始したのだった。


 そして……その時が遂に来た


 『コンコンッ』


 お楽しみ中の部屋に残酷にもノックする音が響いたのである。


 「私執事のセバスチャンで御座います」


 俺は完全に不意打ちを食らったのだ!

 この時間なら大丈夫そんな油断が仇となり、挙動不審な声しか返せなかった。


 「え? あ? ええ!うん?」


 当然俺の異変を察知し


 「 王子!大丈夫で御座いますか!?」

 「だ、だ、大丈夫だからあぁ」


 「開けますぞ」


 やばい!やばい!やばい!やばい!やばい!!!


 只でさえ無能王子なんて影で言われてるのに、モーティシアさんのこんな記憶石まで見つかっちゃったら……俺いい加減王宮で生きてけないよ!


  (記憶石よ!!頼むから止まってくれえ!)


 記憶石は映像が終わるまで止めることは出来ないのであった。


 (クッソォーーッッ)


 このままじゃ俺の青春がぁぁ!あいつ等が頑張ってくれたのに…


 (見つかって台無しにしてたまるか!!)


 その強い羞恥心と少し友情が奇跡をおこしたのだ。

 手で握りしめた記憶石をポケットに思いっきり突っ込むと…


 「ポンッ」


 音同時に記憶石が消えたのである。

 それと同時に『バンッ』と勢いよくセバスチャンが突入し尋ねてきた


 「怪しげな光が見えた気がしたのですが…大丈夫ですか王子?」


 俺は自分でも嘘くさいなぁ…と思えるくらいの大根役者振りで、眠そうな演技をしていた。


 「え、あ、うん?ふぁーーうとうとしてたから…うん、気づかなかったよ」

 「そうですか…夜遅くに申し訳ありませんでした。ではおやすみなさいませ」


 疑惑の目を向けながらもポケットに突っ込んだ手見て…何かを察し深々とお辞儀をし、出来る執事のセバスチャンは出て行った。


 こうして俺は友情と努力と勝利によりワンダーポケットを得たのだった。


 後日リナルドにも教えてやると…どの位のサイズが入るのかとか、色々実験されたのもいい思い出である。


 因みに一般的なポケットサイズしか入らず、量もせいぜい馬車1台分位しか入らなかった。



 そんな思い出に浸りつつ俺は目を閉じた。





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