その後2
俺は再びとゆっくり目を覚ましていき、ここには今来たばかりだと、自分に言い聞かせ薄眼で確認した。
が、どうやら悪夢は終わってなかったようだ。
観念したように頭を擦りつけたまま相手の出方を伺った。 そう俺は2度も同じミスは犯さない男だ!
「むぅ…確かにわしも最初に怒鳴り散らしたしな…DOGEZAまでされたらこれ以上怒るのはわしの流儀に反するしな!よし、今回だけは許してやろう」
「は、はぁーーーー」
俺は許しを得て擦りつけた頭をゆっくりと持ち上げ、初めてしたDOGEZAの効果を噛み締めて小さくガッツポーズをし思った。
(大英雄チョロいな)
なんて口元をうっすら吊り上げ調子にのっていると、ギロッ!と急に大英雄様が睨みを利かせながら尋ねてきた
いや、お尋ねになった
「で、あの話は、やるのか?」
俺はそう2度は間違えない男だ!
答える前に何の話かまた、探りを入れてやろうじゃないか
……ごくり
「レベッカですか?」
そこで意識が途絶えた…
またまたゆっくりと目を覚まし、辺りを確認する…おかしい…先っきまでの事が思い出せない…
そうだ!DOGEZAだ!あの後からだ……しかし今はそれどころではない!先ほどまで鬼のような形相だった大英雄様が、何だか少しホッとしているみたいなのだ。
そこで思い切ってこちらから話を切り出した。
「大英雄様は、先ほど呼んだと仰られていましたが、意味をお教え頂けませんか?」
「ふむ…そこからか…いいだろう教えてやる!まずそもそもわしは呼んだというより応えただけなのだ。純粋に力を欲するお前の強い想いにな!!」
でもそれだけじゃ別に俺じゃなくても良さそうな気がするけど…むしろ力を望むやつなんて山ほどいるだろう
「確かにあの時俺は自分の無力さを思い知り、心の底から力を求めましたがそれだけの理由ですか?」
「フフッ…只の無能じゃなくて安心したわい!では何故お前には聖痕が無かったかわかるか?」
どういう事だ…?俺の聖痕がないのとこの場に来れた事の何が関係あるんだ…??
考えろ俺…王宮で色々学んできただろ!
(温室育ちの意地をみせるときだ!)
「フフッ分かりましたよ大将軍!」
「大英雄な?それにお前分かってないだろ?」
はぁ~…何でこんな奴なんだようという、明らかに嫌そうな眼を向けられながらも仕切り直すように教えてくれた
「な~に簡単な話だ…お前が産まれる際誰が聖痕を与えるかで大喧嘩になったらしい!普通は1つでも稀だし複数の神々に気に入られ、何個も宿す事もあることにはあるが、ワシでも3つだった。
この意味が分かるな?」
「はい!気に入られれば契約し放題ってことですよね?」
「そうだ、聖痕はこの世界で同じ物は1つもない事から分かるように、当然誰も手にしてないもので試練を突破出来たらの話だがな…」
むしろ試練を突破できれば、聖痕が手に入ると思えばやらない手はないな
それに、あの時の悔しさはもう2度と味わうのは嫌だしな!
決意を新たに、大英雄に向かい堂々と宣言する!!
「やってやるよ!その試練とやらを!」
「そうか、やってくれるか!フフフッ流石わしの子孫だなっ!よし、この試練を突破出来たらもう1つの秘密について教えてやろう」
あれ……なんか大英雄が無茶苦茶機嫌がよくなってるんだけど大丈夫?大丈夫だよね?ね?不安になりビクビクしていると…伝わったのだろう何も言わなくても説明してくれた。
「この先にある試練はわしが昔宿していた聖痕で、お前が元々授かるはずのものだった奴だ!だから簡単な試練しかだして来ないだろうし、サクッと行って終わらせてこい!」
「分かりました!大英雄の子孫としてサクッと片付けやりますよ!」
初めから相性がいい事を知り、先ほどまでの不安な表情は一切なく調子にのって言い切り奥にある扉らしき物に向け歩み始め扉の前につき
「では、行ってきます」
大英雄は不安そうに見送るも、どこかにこやかな表情なのである
まぁ一応血筋だし、気分は孫にお使いさせてる程度なんだろう
(試してみるか)
「おじいちゃんっ」
ビクッ!と大英雄が反応し、顔赤くし口元を緩ませる。
ある意味最強のカードを手に入れたと確信し、何かあればおじいちゃんに頼ろうと心に決め重い扉をこじ開ける。
すると扉の奥は眩しい光に覆われていた。
もう後戻りもできないしするきもない!迷うことなく一歩二歩と踏みだした。
光の先は大きな空洞になっておりそこは、まるで幼い頃に連れて行ってもらった望月大陸にあるコロシアムを思わせる作りだった
そして、その中心には身長2メートルはゆうに超えるであろう大男が、何故かブーメランパンツ一枚で仁王立ちし、こちらに気づいたのか、ニヤッと口元を一瞬緩ませると、何かを誘うようにいきなり!
『パァーーーーーーーーーーーーーーーン』
ブーメランパンツを引っ張り弾かせ、広い空間にパンツを弾いた音が轟いたのだ!
違うこれは!轟かせたのだ!!
そう、これがこいつとの初めて出会いだった
………
……
…
もう何時間経っただろうか?
先ほどの位置で少しでも不審な動きをすれば、すぐさまアイツは自分の兵器に手をかけ、いつでもやれるんだぜ?っとチラつかせてくる
だめだ…これ以上は近づけない!そう思った次の瞬間……奴はなんと!ハンデだといわんばかりにこちらに背を向けたのだ!!
考えろ俺、温室育ちの意地を見せるんだ!
胸に手を当て、落ち着き、限界まで思考を巡らせる!
そもそもこれは試練の筈だ。
だが何の試練なんだ?分からない…
いや!分かりたくもない!!だが覚悟を決めろ!ガトラス!!
俺はやるときはやる男だ!!!
そして…………
俺も全てを脱ぎ去り、あいつと同じいや?あいつを超えた!確かに越えてはイケナイ一線を俺は超えた!!超えたんだ!!!
そして堂々と、一歩、また、一歩と、コロシアムの中央に向け歩いて行った。
が、ここまできたらただ歩くだけじゃダメだ!と勝手に思い込み、昔パーティで聞いたセレブな奥様方に人気なウォーキングスタイルで近寄っていったのだ!!一歩毎に「シュッ」「シュッ」っと
そして…腹の底から声を出し遂にたどり着いたのである!!
流石にこのウォーキングまでは想定していなかったのか「グッチョブ!ブラザー」と意味深な言葉を残し、ヘソのすぐ下あたりにハッキリと聖痕が刻まれたのである!!
俺は何故産まれた時1つも聖痕が刻まれなかったのか詳しい状況の1つも聞くことが出来ずに勝ってしまったのだ!
どこかの偉い人が勝利とは虚しい物だと言っていたが、初めて理解できた瞬間であった。
そしてまた、ゆっくりと、目を閉じた…