その後1
ゆっくりと意識が戻ってき目覚めると、そこは見た事のない謁見の間のようなでもどこか懐かしいと思えるそんな雰囲気の場所だった。
(あ、俺死んだな…)
心の中でそう確信すると、目頭が急に熱くなり、ぽつり…ぽつり…と熱い涙が頬をつたって落ちていく。
しばらくしてどうしてこうかったのかを考えるようになっていた。
そして何故リナルドは裏切ったのか?
それだけは、どうしても分からなかった。
だから、結局は自分の力不足で大切なもの全て失ったんだと無理やり納得した。
「&¥@%}?€£{*+」
でも今度は、やり残した事について考えるようになっていた。
そして思い出したかのようにポツリと呟いた。
「侍女のレベッカちゃんどうしてるかなぁ」
「&¥@%}?€£{*+」
俺ならもっといけたんじゃないか?
死ぬなら積極的にもっとこう…ご主人様の言う事が聞けないのか!?
お仕置きだー!!的な…
これについては後悔が尽きない。
「&¥@%}?€£{*+」
さっきから横でいい加減何か煩いので聞いてやると…
「いい加減にしろよおぉ!おい!?気付いてるんだろ?気付いてるんでしょ?若造がぁブッ殺すぞ」
″ブッ殺す″その一言だけは、今の俺にはどうしても許すことが出来ず、気付いた時には、思いっきり右頰にエグルような右ストレートを決め、殴り飛ばし、吐き捨てるように言い放つ!
「ブッ殺す!?ふざけんなよー!こっちは童貞も捨てれず、既にお亡くなりなんだよ!?しかもまだ21歳だぞ!ふざけんなよ!クソ野郎!」
さっきまで威勢のよかったやつは急に殴られ罵倒され、何が何だかわからず目をパチクリさせ、童貞を不憫に思えたのか……どこかシュンとした。
その様子を見てもまだ、まだ、怒りが収まりきらず変なことを口にする
「本当おじさん何なの?来世は積極的に攻めるチャレンジャーになろうと決心した今の俺なら、男でもいけるんじゃないかって思えてきましたわー!」
チラッ!
ビクッ!と震えかつて味わった事のない恐怖が、おじさんを襲い額から汗を滲ませ隙のない動きで、お尻をしっかりと手でガードし…
距離を取るおじさん、そして詰め寄る俺
「ちょちょちょちょちょ…落ち着こうかお互い冷静になろう」
ジリリッ 詰め寄る俺、離れるおじさん
「いや、ほんとに、やめよ?こういうのは、やめよ?ね?ね?それにお前は、まだ死んでないぞ」
「え?」
色々と酷い事になっていたが、深呼吸して、ここは一旦落ち着こうか。
「すぅーはぁー」
落ち着きを取り戻し、再度確認してみる
「え?本当か?本当なのか!?」
「安心しろ本当だ!保証しよう」
「それで、実はなーーーーーー」
生きている!そう分かり俺の気持ちは一気に舞い上がっていった!しかし冷静になり…待てよ!?力不足な俺が帰ったところで何が出来る?出来る事なんて限られていて、勿論うまくいく保証もない、でもやるしかないんだ!と言い聞かせ俺の覚悟は決まった。
(そうレベッカに会いにいこう)
「という事情があり、お前をここに招いたんだが分かってくれたか?」
おじさんが、何を言っていたなんて俺には分からない!今の俺には小さな問題でしかない!覚悟は決まった。
「俺の戦いはこれからなんだ!」
「そうだ。辛い試練になると思うがお前なら乗り越えてくれると信じている」
おじさんに向け満面の笑みで親指を立て
「あぁ!童貞卒業になってくるよ!」
「ちょっちょっ君話聞いてたー!?お願い、真面目な話なんだからちゃんと聞いてーー?何かお前を招いたのは失敗した気がするんだけど、はぁぁ」
そんなおじさんを見て俺は凄い今更ながら、ある疑問を抱いていていた。
そうそれは…
(このおじさんは誰なんだ!?)
当たり前といえば当たり前の疑問で、しかもどこかで見たことがある気はするんだ…が…
どこだったか…俺はこれでも王子なのだ!その俺が知っているとなると中々のお偉いさんだろうな…
(おし!軽く探りをいれてみるか!!)
「失礼と承知した上でお名前をお聞かせ頂けませんか?」
これも今更ながらの対応だが、おじさんは…フッと鼻で笑い答えてくれた。
「シュワルツ・ノートだ!大英雄のがお前には分かりやすいか?」
俺はすぐさま、この世界で最上級の謝罪形式であり、償えるなら命をも差し出すというDOGEZAを敢行し地面に頭を擦りつけた。
おじさん≠大英雄は呆れたように
「最近の若造はキレやすくていかんな」
(せっかく生きてたのにもう駄目かもな)
悪い幻である事を祈りつつ俺は再び目を閉じた。