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亡国からの冒険者(無)  作者: 圭作
2章 再会
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始動3

 朝が来た。


 差し込む日差し…海沿いの宿ならではの心地よい風で目覚めると…

 何だか気分は詩人なのだ。


 調子にのってリナルドに向け

 『パンバンッ』と手を叩き


 「紅茶の準備をせい」


 しかし何も言わずに朝食を取りに行ったのだ。

 昔はもっとこう…ガト兄、ガト兄ってついて来て可愛かったのに…くぅ…


 しかし俺は打たれ強い男!

 というかお腹空いたので俺も朝食を取りにきたのだが…


 今日もティプルだ。


 因みにこの町ではティプルフィッシュがよく取れるのか

 あっちでもティプル、こっちでもティプル、どこでもティプルなのだ。

 そして、今朝はティプルの目玉焼きというグロテクスな料理だったのだが

 温室育ちな俺には流石に難易度が高かった。


 が、隣で平然と奴は食べていたのだ…

 そうむしゃむしゃと……軽くトラウマである。


  そして町の外に用事があるらしく外まで来たので聞いてみた


 「で、どこに行きたいんだ?」

 「王都の東側にある山沿いの洞窟だと思う」


 きっとあやふやな記憶なんだろうと納得し向かうことになったが、正直場所はどこでも良かったのだ!


 なぜなら…


 そう!リナルドはいまや性別は可愛らしい女の子なのだ!

 胸もまだ小さいながら確実にあるのだ!

 この下心を気取られないように…慎重に言葉を選び冷静に…

 

 口笛を吹きながら誘ってみた。


 「スキルで早く行けるしおぶってやるよ」

 「僕は大丈夫だよ」


 何が大丈夫何だ…?こっちは昨日から楽しみにしてるってのに!!


 「いやほら?お前運動音痴だろ?」

 「待ってね!」


 すぐにリナルドは何かブツブツと唱え始めた


 「虚無より生まれし神々の無数の力を今示せ冥李(メリー)!!」

 「メェーー」


 煙の中から現れたのは…

 ちょっと大きめのどう見てもただの羊だっただが…

 なぜかリナルドはドヤ顔なのである。


 「おい…ただの羊じゃねーかー!後で泣いて乗せてって言っても知らねーぜ!お嬢ちゃんよ」

 「ティヒヒ、ガト兄!冥李(メリー)さんを侮らないほうがいいよ?」


 リナルドはどう見ても羊な自称冥李(メリー)さんのモフモフにしがみ付き

 いつでも行けるぜ!と親指を突き出した。


 俺も先ずは右足に集中し親指を突き出し、合図し、3、2、1一斉に…


 「「ゴーーーー!」」


 俺達は 一気に駆け出した!!まずリードしたのは俺だ!


 当然羊なんてぶっち切り…

 

 の予定だったんだが…


 羊の癖についてくる!ついてくるのだ!

 それもピッタリとへばり付くように……


 まさか!?羊の癖に風の抵抗をうまく避ける気で!?

 と、チラっとリナルドに目をやると…


 ニヤッと不気味な笑みを浮かべたのだ!!

 間違いないこいつは知っている!!


 くっ…魔法意外は駄目な奴だと思っていたが、忘れていただけだ!

 こいつは俺より頭が良い事を!!


 羊なんぞに負けてたまるかっ!!

 限界まで力を込め大地を蹴りあげ最大加速(トップギア)で疾走した。

 そしてようやく洞窟らしき物を発見して

 俺は勝利を確信し背後を見たがリナルドはいなかった。

 だが同時に心配し立ち止まると…


 頭上から


 「ティヒヒ、上だよガト兄!!」


 そう、冥李(メリー)さんは、高く高く飛んだのだ、高く高く…飛んだのだ。



 諦めちまえよ



 その言葉が一瞬頭をよぎる!だが俺はここまで来たら負けられない!羊なんぞに負けてたまるか!!ただただ一心に力を込め飛び出した。



 そして…俺達は同時だった

 …なのにリナルドは俺を見て


 「ティヒヒ、やっぱりガト兄は凄いや、そんな奥の手があったなんて…」


 奥の手?何の事か分からず、様子を確認してみると…

 いつの間にか毛皮のフード付きのポンチョと手足には

 獅子をモチーフにした装備をしていた。


 気づいて返事をしようとしたがリナルドはもう何かを探しに行っていたし

 少ない見栄を張っとこうとそのままにした。

 しかし聖痕のスキルは獅子舞(シシモード)とでも呼んでおくか!


 そして、しばらくするとリナルドは何か本を一冊持って戻ってきた。

 一応尋ねてみる。


 「用事は済んだのか?」

 「うん!ティヒヒ」


 どこか嬉しそうに答え、なんだか可愛かったから頭を撫でてやると

 冥李(メリー)さんに乗せてくれのんびりと帰ったのである。




 そして昼前にはディステネに戻ってきた俺達は、出航時間までまだ余裕があるそうなので雑貨屋に立ち寄っていた。


 「なぁリナルド、船で行くのに何か必要な物なんてあるのか?」

 「ガト兄のポケットまだ、ガラクタしか入ってないでしょ?だから今の内に傷薬とか保存食とか買っておきたかったんだ。」

 「ガラクタじゃない、お宝と呼べお宝と!じゃぁ先に俺も用事済ませてくるから、港で落ち合わせでいいか?」

 「うん!」


 リナルドと別れ俺は1人通いなれたあの場所へ向かっていた。

 着くなり俺は昼前から飲んでるおっちゃんを発見し話しかけた。


 「おっちゃん!実は俺今日にはここを発つことになったんだ」

 「なんだってぇ?あの嬢ちゃんに何かされたのか?儂はあれから火がだめでねぇ…」

 「まぉそんなとこさ!だから挨拶だけはしとこうと思ってな」


 おっちゃんは少し寂しそうな顔をした後、思い出したように何かを投げてきた。


 「それは餞別だ!この間いいとこ連れてってやれなかったしな」

 「ありがとよ!童貞卒業(オトナ)になったらまたくるよ!じゃぁな!」

 「そりゃいつになるかわからねーな!かっかっか」


 そんな安っぽい別れを済ませ俺は港へ向かうと、もうリナルドが待っていた。


 「待たせて悪かったな」

 「もうすぐ出航みたいだしガト兄早く早く!」



 俺達は慌ただしく船にのりこんだ。



 乗り込むやいなやワンダーポケットにアイテムとおっちゃんとの思い出を詰め込み、ようやく落ち着き甲板から島を眺めてるとどんどんと島から離れていき、何気ない風景のはずなのに…


 小さくなって行くにつれ凄く辛くなった。


 「ティヒヒ、また来ようね」

 「そうだな、また来れたらいいな」


 そうこうしているうちにだいぶ日が傾いてきたし、今日は色々あったから早く寝ようと思いリナルドに聖痕スキルの眠り呪文を唱えてもらう事にした。


 「じゃぁ頼むわ!先に悪いな」

 「ティヒヒ、僕は本でも読んでるよ」


 目を閉じるとそのまますぐに意識が飛んだ。


 ………

 ……

 …



 久しぶりに夢を見た

 手を伸ばしても、伸ばしても、一向に届かない夢をみた。




 そしてようやく、両手で鷲づかんだけど…

 それは…とっても柔らかく、だけど妙に硬い?なんだろ?

 

 パッと目を覚ますと…


 俺は、知らない女の子の胸をガッツリと揉んでいた

 目があったが、揉んでいた。

 そしてある事に気づいたらまた意識がとんでいた。


………

……


 また目を覚ますとそこは…

 薄暗い洞窟のような場所で何本もの鉄の棒で仕切られ、手を縛られていた。


 「こんなのばっかじゃねーかー!!」


 ついつい叫んだ。


 「ガト兄、ガト兄、」


 すぐ後ろに、リナルドもいた。


 「何があったんだよ」

 「それが、海賊に襲われて僕も抵抗できずに捕まっちゃった。」

 「まぁ無事で良かった、で数はどれ位だ?」

 「多分、」

 言いかけた所で、海賊らしき奴等が3人ほどやってき牢を開け


 ヒヒッ女子供は連れてけ」


 リナルドと視線を合わせると、見頷き合い2人牢に入ってきた所で、俺は近くに来た1人の膝裏に蹴りをいれ、勢いのままもう1人に回し蹴りを放ち、すぐさま、踏みこみを強化して、扉の向こう側の奴の腹に飛び蹴りを加え無力化した。

そして、最初のまだ伸びてない奴を捕まえ、尋問した。


 「おい、お前ここのボスは女なのか?」

 「ガト兄…」


 視線が痛いが、あの夢で揉んだ胸が本当なのかとにかく気になったのだ。

 聞かずには居られなかった!


 「へっ…誰が教えるかよ」

 足に力を込め、バンッと下っ端の目の前で足元をへこませると…


 「そ、それは多分キャプテンの娘のレツです」

 「リナルドは冥李(メイリー)でみんなを連れてけ」

 「でもガト兄の所のが安全かも!?」

 

 「じゃぁみんなで行くか!」


 正直負ける気がしなかったから安請け合いしてしまったのだ。

 そして下っ端に案内させると取り巻きと、赤髪の眼帯まで付けた、見るからに海賊ですよっていう女の子と、2mくらいの大男が酒を飲んでいたのだ。


 赤髪の子がこちらに気づくなり


 「あ!変態野郎!」


 お返しに気づいた事を堂々と言ってやった。


 「あ!偽乳女!」


 辺りがどよめきはじめた


 みんなそんなバカな!?姉貴の胸は本物ですよね?っと女の子に注目が集まると…顔がみるみる赤くなり俯いた。


 俺は続けてこう言い放つ


 「あの乳は偽乳だーー!!」


 すると…ある所では、やってられないとばかりに武器を置いてく者や、俺は知ってましたよ!と慰めるものも出始めたのだ。


 それだけ女海賊の胸は重要なのだ!!


 そんな中ついにキャプテンが動いた。


 「クハハハ、儂は貧乳派じゃ!!」


 そう言い切った瞬間、キャプテンは何故か倒れた。

 なんの前触れとなく倒れたのだ。

 静かにリナルドが倒れたキャプテンに向けゴミを見る様な目で一言。



 「僕は嘘つきは嫌いです!」



 と、とにかく勝ったのだ!そ、そして、みなキャプテンが倒れ逃げ出した。

 そんな中偽乳は1人呆然と立ちすくんでいたが、俺達はそのまま船を奪いキャプテンを縛り上げ、連れて海賊のアジトを後にした。





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